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#1 長い夜のはじまり
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嫌な臭いのする夜だった。
タクシードライバー出雲蓮は、日比谷公園の南側を流していた。
歩道のガードレールに、もたれかかるようにして手をあげている男が目にとまった。
顔色が悪い。左の脇腹を左手で押さえている。腹痛でも患っているのだろうか?
出雲は歩道の脇に寄せ、クルマを停めた。
「市ヶ谷の駅前まで頼む」
男はそういうと後部シートに体を預け、ブリーフケースを隣の座席に置いた。
「かしこまりました」
出雲がクルマをだす。
バックミラーでもう一度、男の様子を確認する。
ネルのジャケットの下は白いワイシャツ。ボトムズはコーデュロイのズボンといったラフな服装はどこかの通信社の記者のようだ。
その記者ふうの男が肩で息をしている。
いかにも辛そうだ。
「大丈夫ですか?」
と訊こうとしたとき――
「なにを見ている? 前を見て運転しろよ」
男がいった。じろじろ見るな、といわんばかりの高圧的な物言いだ。
国会議事堂前に差しかかる。
赤信号で止まると、横断歩道をデモ隊が横断する。
『戦争法案反対!!』
『憲法九条を守れ!!』
『自衛隊を即刻解体せよ!!』
彼、彼女らは幟や旗を振り立て、盛んに自らの主張を拡声器で連呼して練り歩いている。
男は眉間に深いしわを刻むと吐き捨てるようにいった。
「バカが! 踊らされやがって」
次回につづく
嫌な臭いのする夜だった。
タクシードライバー出雲蓮は、日比谷公園の南側を流していた。
歩道のガードレールに、もたれかかるようにして手をあげている男が目にとまった。
顔色が悪い。左の脇腹を左手で押さえている。腹痛でも患っているのだろうか?
出雲は歩道の脇に寄せ、クルマを停めた。
「市ヶ谷の駅前まで頼む」
男はそういうと後部シートに体を預け、ブリーフケースを隣の座席に置いた。
「かしこまりました」
出雲がクルマをだす。
バックミラーでもう一度、男の様子を確認する。
ネルのジャケットの下は白いワイシャツ。ボトムズはコーデュロイのズボンといったラフな服装はどこかの通信社の記者のようだ。
その記者ふうの男が肩で息をしている。
いかにも辛そうだ。
「大丈夫ですか?」
と訊こうとしたとき――
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国会議事堂前に差しかかる。
赤信号で止まると、横断歩道をデモ隊が横断する。
『戦争法案反対!!』
『憲法九条を守れ!!』
『自衛隊を即刻解体せよ!!』
彼、彼女らは幟や旗を振り立て、盛んに自らの主張を拡声器で連呼して練り歩いている。
男は眉間に深いしわを刻むと吐き捨てるようにいった。
「バカが! 踊らされやがって」
次回につづく
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