TAXI戦記 日本崩壊の序曲

自由言論社

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#2 奇妙な乗客

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「バカが! 踊らされやがって!」

 そう吐き捨てた男の額には脂汗が浮かんでいる。
 信号が青になった。
 出雲がクルマを発進させ内堀通りを北上する。

 後部シートから呼び出し音が鳴った。
 男のスマホのようだ。

「もしもし……そうか、わかった」

 男はタップして通話を切ると出雲にいった。

「行き先変更だ。中板橋の弥生公園まで頼む」

「承知しました」

「なあ、あんた。さっきのデモ隊、どう思う?」

「どうって?」

「ヤツらの主義主張に賛成するのかどうかってことだよ」

「さあ」

「こたえられねえか。そうだよな。ヘタに政治的主張をすれば客の気分を害することもありうるからな」

「平和が大切なのはわかります。でも――」

「でも、なんだい?」

「もっと大切なものがあるのではないでしょうか」

「ほう。そりゃなんだ?」

「自由と独立です。いくら平和でも収容所にいれられたんじゃたまりません」

 すると、男は左の脇腹を押さえながら笑った。

「気にいった。それでこそ、おれが求めていた答えだよ」

「恐れ入ります」

「気にいったついでに、あんたにいいことを教えてやろう」

「なんですか?」

「あんた、ワジャムって知ってるかい?」



    次回へつづく

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