TAXI戦記 日本崩壊の序曲

自由言論社

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   終章。

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 そのときだ、朝焼けの空を横切る飛翔体を出雲は見た。
 目も眩む閃光とともに地軸が揺れた。
 大地が揺さぶられ、出雲のタクシーはガードレールを突き破って物流倉庫のターミナルへと放り投げられた。

 幸い横転はせず、スピンする車体を懸命に制御して駐車中の大型トラックとの衝突を免れる。
 路面を削ったタイヤスモークが白い帯のように流れている。

 出雲はクルマを降りた。
 巨大なキノコ雲がもくもくと沸きあがっている。
 あれは、あの方角は、先ほど髪の長い女性客を下ろしたイギリス大使館のある地域ではないか!?

「まさか…まさか……」

 営業本部がいっていた『非常事態』とはこのことだったのか。

『なにをしてるんだ!?』

 エフェクトのかかった声が大型トラックの陰から響いてきた。

『レッドボタンの入力命令は下されているはずだぞ』

 大型トラックの陰からでてきたのは全長8メートルの“ロボット”だった。

『いまに死の灰が降ってくる。のんびりと眺めている場合じゃないぞ』

 同僚の八重垣やえがきの声だ。

「ヤツらはアレを使ったのか!?」

 がなり立てるサイレンの音に負けじと出雲は声を張りあげ、“ロボット”の操縦者に訊いた。

『そうだ、龍華人民強化国はついに戦術核を使用した。同時に尖閣にも上陸したとの報もある。本格的な日本侵攻が開始されたんだ!』

 そのときだった、ザッ…ザッ…という規則正しい足音が響いてきた。
 最新型の防護服に身をつつんだ人民強化兵だ。
 その手に持っているのは81式軽機関銃(口径5.45ミリ)か。見つけ次第、日本人を皆殺しにする作戦に違いない。

 出雲はクルマに戻ると、レッドボタンを押した。

 ガシャン……ガシャン……
 ガッ……ウィーン……ギギ!

 出雲の乗ったタクシーが立ちあがった。
 変形して二足歩行型戦闘デバイスとなる。
 空は暗黒に塗りつぶされ、死の灰が降ってきた。
 ここから先は絶望的な戦いになるだろう。

『戦力を放棄すれば相手は攻めてこない。対話でなんでも解決できる』

 そんな脳天気な思想がいまの事態を招いたのだ。
 敵はチカラの信奉者だ。叩きつぶす以外に打開策はない。
 平和よりも尊きもの。
 自由と独立を守るため、

 Tactical Around eXtra Insightforce

 通称TAXIの戦いがいま、はじまる。



   TAXI戦記 日本崩壊の序曲 了。

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