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#13 〈死神たち〉
しおりを挟む馬の背に揺られ、ロイ・バモスが駅舎にやってきた。
斜め掛けした帆布のダッフルバッグがぱんぱんに膨れている。
屋根と柱だけの簡易待合所にはホセ・ボダスとゴズ・ベントが先着しており、退屈そうな顔を風にさらしていた。
「遅かったじゃねえか」
遅れてやってきたロイをホセがにらむ。
ロイはどこ吹く風で馬から降りると、膨れあがったダッフルバッグをどさりと木目のテーブルに置いた。
「食料を持ってきた。どうせ待ちくたびれているだろうと思ってな」
待合所の脇にある馬留の柵柱に乗ってきた馬をつなぐ。すでにホセとゴズの馬はそこにつながれており、『おれたちにもエサをよこせ』といわんばかりにいななく。
ゴズがバッグを逆さに振ってテーブルの上に店を広げる。塩煎りローストのアーモンドナッツとビーフジャーキー、コーンウイスキーの酒瓶が1瓶転がり出てきた。
「なんだ、酒はこれだけかよ」
ホセが不満を鳴らす。
「ひと仕事が控えてるんだ。我慢しろ」
ロイが顔をしかめる。
「おれたちゃ、泣く子も黙る死神トリオだぜ。銃なんか抜かなくてもドンの前にひれ伏すさ」
ゴズがさっそく酒瓶の口を開け、喉に流し込む。
「いいや、そうともいいきれねえ」
ロイはしかめた顔を崩さずつづける。
「おれは買い出しに寄った途中でヤツをみた」
「ヤツ? だれだ?」
アーモンドナッツをカリリと噛んでホセが訊く。
「銃弾を百発ぶち込んでも足りねえ野郎だ」
「だからだれだ? 早くいえよ」
ゴズがイラついて先を促す。
ロイはしかめた顔を怒りに替えて吐き捨てた。
「ライアン・クロウだ!!」
#14につづく
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