WILD GUNS 最果ての町

自由言論社

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#15 〈ゴズ・ベント〉

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「酒がきれた。買ってくる」

 ゴズがライフルを手に立ちあがった。
「1時間遅れの列車がそろそろ着くころだ。我慢しろよ」
 ホセが馬の背にまたがるゴズに声をかける。
「1時間遅れたらもう1時間遅れるのがここ南西部の鉄道だ。なあにすぐもどる」
 いうが早いか馬の腹を蹴って駆け出してゆく。
 ホセとロイは互いの顔を見合わせため息をついた。
「あいつ、抜け駆けしねえかな?」
 ロイがぼそりとつぶやく。
 ランズロウは狭い町だ。買い出しに向かった先でライアンと鉢合わせなんてことも充分あり得る。
「あいつだって馬鹿じゃない。おれたちは死神トリオだ。トリオだからこそ無敵でいられる。ひとりじゃなにもできねえことぐらいわかっているさ」
 ホセはそういうと酒瓶の底に残ったわずかな滴を飲み干した。
 


 ランズロウの町並みは閑散としていた。表通りに人影がない。
 ゴズは馬から降りると酒屋に直行した。
 ドアを開けると店主の姿がない。
 無人かと思うとなにかにつまづいた。床に酒瓶を抱えた酔っ払いが寝ていたのだ。
 ゴズはこの酔っ払いに見覚えがあった。
「おまえ、モランドじゃないか!?」
 酔っ払いを立たせ、頬をはたく。モランドの右手の人差し指は包帯がぐるぐる巻きになっており添え木が挿しこまれてあった。
「おめえ……ゴズ……か?」
 ようやく酔夢から覚めたようだ。モランドがゴズをみて目をしばたたく。

 モランドとゴズは中西部の同郷の出で、少年のころブドウ畑の農園に売られ、奴隷労働に従事していたことがあった。ゴズはその農園主を撃ち殺し、モランドとカネを分けあって逃げ出した過去があるのだ。
「町のみんなはどこだ?」
「クソ教会のクソ牧師の説教を聞きにいっているさ」
 ろれつのまわらない口調でモランドがこたえる。
 窓越しに住民たちがぞろぞろともどってくる姿がみえた。
 ゴズはそのなかに憎んでもあまりある怨敵を発見した。
「あの野郎!!」
 ゴズよりもいっそう憎悪をつのらせてモランドがライアン・クロウをにらむ。
「おまえ、あの男になにかされたのか?」
 モランドは包帯が巻かれた人差し指を持ち上げるとゴズの目の前に突きつける。
「この指はヤツに砕かれたようなもんだ!!」
 正確には違う。ライアンが連れてきた賭博師のパートナー、女ガンマンのレベッカに撃たれたのだ。だが、その前日の出来事と相まってモランドのなかではすべてライアンの仕業に変換されていた。
 ゴズは素早く頭を巡らせた。ドンは多分、この町にライアンがいることを知らないだろう。彼の到着時にライアンを片付けたことを告げれば恩を売ることができる。
「そうか、じゃあ仇を討たせてやる」
 ゴズは懐から大振りのナイフを取り出すとモランドの左手に握らせた。

「おれが協力する。恨みを晴らせ」

    #16につづく
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