決戦の朝。

自由言論社

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第12奮

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 グラグラ…ガタガタと安アパートが、建物全体が揺れている。
 かなり大きい。

 おれは慌ててトイレから飛び出そうとした。
 ここで死んだら、まさしく糞死だ。
 下半身丸出しのまま死ぬなんて最悪だ。
 カッコ悪すぎる。
 おれは急ぎ便座から腰をあげた。
 が……


 いや。
 待てよ。
 思い直して座りなおす。

 慌てて出ていき本棚の下敷きになるかもしれない。
 トイレの方が却って安全といえる。
 さっきのGは地震がくることを予知して騒ぎ出し、トイレから出ていったところヤモリに捕食されたのだ。
 そのことを身をもって教えてくれた親切なGかもしれない(そんなことあるか!)。


 とにかくパニックになるのは危険だ。
 落ち着け。
 落ち着くんだ。

 ガスの元栓が気になったが311のとき、ガスは自動的にシャットダウンされることを知った(このとき初めて知って復旧にしばらく手間取った)。

 ガタガタガタガタ……
 ガタガタ…

 ガタ……

 ガタ…

 ぴし。


 揺れが小さくなってきている。



 ……おさまったようだ。

 ふう。

 おれは深いため息をついた。
 当然、便意の波も直腸の彼方へとひっこんでしまった。

 おれはスマホを見た。

 震度3を計測している。
 おれには長く感じたが10秒ほどだったらしい。

 とにかく、おれは生き延びた。
 もう、やることはひとつだ。
 なんとしても出すのだ。

 出さいでかっ!!!



   第13奮につづく
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