逍遙の殺人鬼

こあら

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膝の上でおでこを出しながら横になる臼田うすたさんは満足そうな顔をしていた
もう怒りは収まったみたいで胸下まである、赤みがかった私の髪をくるくる自分の人さし指に巻くのをやめ、三つ編みを結っていく
難しい、と真面目な感じで一束一束左右に移動させる
「ヘタだなぁー」っと苦笑いしながら蕪雑ぶざつなミつ編みを解く

ふと、おでこを出し寝転ぶ彼の髪に触れる
ボサボサな彼の髪は絡まっているかと思いきや、指でするするととかすことができた
髪は柔らかく、癖になるほどさらさらしていて、夢中で髪に触ってしまう


「ボサボサでしょ?」そう言うと体を起こし、再度隣に座りなおす
思った通り仕事が忙しく、髪を切りに行く時間がなくそのまま放置していたら、すっかり無法地帯になってしまったらしい

1度自分で切ったことがあるみたいだが、前髪はパッツンになるわ、後は切るのが難しくて階段みたいにだんになるわで諦めたんだとか


「ジャンにも言われたよ。見苦しいって」


あははははっと笑いう彼は両手で前髪をグッと後ろにかき上げ、その整った顔を見せてくれる
前髪をかき上げただけでイケメン度が増した気がした
普通な格好をして髪を整えていたら町行く女性が、きっと臼田うすたさんを凝視するだろう

前髪で見えにくくなっていた目はくっきりとした二重でぱっちりとした大きな瞳が輝いていた
髪の毛のボリュームが大きすぎて顔とのバランスが取れていなかったが、今は調和が取れている
非常に勿体ない
素材がいいのに、まるで滅多にお目にかかれない高級食材を食べずに腐らせているみたいだ









「やっぱり…モッサリしてて変だよね?」

ハの字にした眉で聞いてくる
本人も気にしていたんだとこのとき気づく



「よかったら…私が髪の毛切りましょうか?」

「え、いいの!?」

是非お願いしたい!と目を輝かせ、ありがとうーっと抱きつかれ周章狼狽しゅうしょうろうばいしてしまう
男性に抱きつかれたのははじめてだ

そろそろ、夕食食べましょう!と体を引き離し、彼から距離を取る
心臓はどくどくと血液を体全体に運びなんだか熱くなってきている気がした
「食べる食べるー」と後ろからついてきて夕食の確認に台所へと移動していく


肉じゃがはしっかりと味が染みていていた
わかめごはんを電子レンジで温めたながら居間に料理を運ぶ

(そういえば、ジャンさん…)


臼田うすたさんによれば、彼は明日まで帰ってこないらしく、今日の夕飯は臼田うすたさんと2人で食べることになった


(ということは、今日もご飯食べてもらえないのか…)

どうにかして彼と仲良くしたいが避けられている気がする


臼田うすたさんはよくジャンさんと一緒に暮らしているな…
私が女だからかな?仲良くなれないのは…





「では!」

「「いただきます!」」



臼田うすたさんと食べながらする会話はキャッキャ、キャッキャと盛り上がる

彼は密かに悩みがあるようで、その不審者みたいな格好のせいで実年齢より老けて見えるらしい
なんと、実年齢20歳
確かに…、2歳年上とは思えないほど老けて見える……
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