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ようやく夕食を食べ終えることができた
食べる時間が長く感じた、しかも疲れがどっと重くのしかかった
食べ終わったお皿を流しに入れると、待ってましたと言わんばかりに颯爽と立ち上がりこちらに歩み寄る臼田さん
にやにやに近い破顔がやたらと目につく
いったい…なんなんだろう………
その笑みの理由を聞くと、髪の毛切って、と詰め寄って来る
だから何故寄ってくる…
「わかりました。わかりましたから、ちょっと離れてください…」
その言葉にやったー!っと無邪気に嬉しがる臼田さんは20歳とは思えないほどはしゃいでいた
意外と子供っぽいところもおありの様で、手を引っ張ってお風呂場へと導いてくれる
そんなに髪の毛を切ってもらうのが嬉しいのだろうか…
ゴミ袋を使って美容師さんが着けてくれるカッパみたいなものをはさみで切って作っていく
ガムテープで貼り付け準備OK
小さな脚立をお風呂の真ん中に置き、臼田さんを中に招く
「はいよー」と心地良い返事をしたかと思うと、急にスエットを脱ぎ始めた彼に喫驚する
__________いきなり何をっ!?……
ふぅっ、と脱いだスエットを捨てるとタンクトップ姿でこちらに近づいてくる
今まで気づかなかった男らしい体と程よい筋肉はスエットによって隠されていたらしく、妙に彼を男性と意識させてくるみたいで、胸を衝くみたいな衝撃が体に走り、カチコチに固まり動くことができなくなる
丸眼鏡を取り軽く前髪をかき上げたその姿は、私の知っている臼田さんとは別の人の様でなんだか変な感じだ
「っさ、お願いします。」と脚立に座る彼のその言葉に我に返る
即席のゴミ袋カッパを失礼しますっと首に巻きつけ、下の方を溝ができるように折り目をつける
「どうぞどうぞ。髪型はちさちゃんにお任せするよ」
目の前にある鏡越しに私に話しかける
鏡の彼にわかりましたと言い、コームで髪をとかす
サラサラで絡まりのない、ボリュームのある髪がどこか気持ちよく感じられた
「それでは…いきます。」
「はいよー。ちさちゃん好みの男にしちゃってくださーい」
「それ、は…ちょっと……」
(困ります…。)
実はあまり男性に会ったことがない
だから、好みと言われても、自分のタイプすら分からないのに……
施設にいた時も女性職員が多くゼロでは無いものの、会う機会は少なかった
唯一会う男性と言えば事務長
中年男性で背が高く、なんとも言えない不気味なオーラを垂れ流した人だった
今では思い出したくもない人物
忘れたい過去の一つだ
考えただけで、吐き気がする…
そんな暗い考えを巡らせていると「大丈夫?」その言葉でっは!とし、断髪に集中する
美容師が書いた本を読んだことはあるが、実際に人の髪を切るのははじめてだ
失敗しないように、慎重に慎重に少しづつ様子を見ながら切っていく
前と後のバランスをあらゆる角度から見て違和感を取り除いていく
無言でやっているが、それは集中している証拠だ
そんな私を見守りながら、口を出さずにいる臼田さんは、いつもみたいなおちゃらけた感じを出さずに静かに座っている
「前髪切るので、目を閉じてください。」
「はーい」
すっと閉じると彼の長いまつ毛が際立って、本当に男なのか?と思わせるほど肌も綺麗で驚く
シャキ、シャキっとハサミの音がお風呂場に鳴り響き、ようやく髪の毛を切り終える
顔についた小さな髪を指ではらい、カッパを首から外す
終わったことを告げるとまぶたを持ち上げ鏡で髪を確認する
スッキリとした前髪に短くした後ろ髪
全体的に重みを取り除いて、アレンジのしやすいような髪型に仕上げた
「おぉー!いいじゃんいいじゃん!!頭が軽いよ!」
何度も鏡を見て前、後を確認する
何度見ても同じですけどね
満足いただけでなによりです
食べる時間が長く感じた、しかも疲れがどっと重くのしかかった
食べ終わったお皿を流しに入れると、待ってましたと言わんばかりに颯爽と立ち上がりこちらに歩み寄る臼田さん
にやにやに近い破顔がやたらと目につく
いったい…なんなんだろう………
その笑みの理由を聞くと、髪の毛切って、と詰め寄って来る
だから何故寄ってくる…
「わかりました。わかりましたから、ちょっと離れてください…」
その言葉にやったー!っと無邪気に嬉しがる臼田さんは20歳とは思えないほどはしゃいでいた
意外と子供っぽいところもおありの様で、手を引っ張ってお風呂場へと導いてくれる
そんなに髪の毛を切ってもらうのが嬉しいのだろうか…
ゴミ袋を使って美容師さんが着けてくれるカッパみたいなものをはさみで切って作っていく
ガムテープで貼り付け準備OK
小さな脚立をお風呂の真ん中に置き、臼田さんを中に招く
「はいよー」と心地良い返事をしたかと思うと、急にスエットを脱ぎ始めた彼に喫驚する
__________いきなり何をっ!?……
ふぅっ、と脱いだスエットを捨てるとタンクトップ姿でこちらに近づいてくる
今まで気づかなかった男らしい体と程よい筋肉はスエットによって隠されていたらしく、妙に彼を男性と意識させてくるみたいで、胸を衝くみたいな衝撃が体に走り、カチコチに固まり動くことができなくなる
丸眼鏡を取り軽く前髪をかき上げたその姿は、私の知っている臼田さんとは別の人の様でなんだか変な感じだ
「っさ、お願いします。」と脚立に座る彼のその言葉に我に返る
即席のゴミ袋カッパを失礼しますっと首に巻きつけ、下の方を溝ができるように折り目をつける
「どうぞどうぞ。髪型はちさちゃんにお任せするよ」
目の前にある鏡越しに私に話しかける
鏡の彼にわかりましたと言い、コームで髪をとかす
サラサラで絡まりのない、ボリュームのある髪がどこか気持ちよく感じられた
「それでは…いきます。」
「はいよー。ちさちゃん好みの男にしちゃってくださーい」
「それ、は…ちょっと……」
(困ります…。)
実はあまり男性に会ったことがない
だから、好みと言われても、自分のタイプすら分からないのに……
施設にいた時も女性職員が多くゼロでは無いものの、会う機会は少なかった
唯一会う男性と言えば事務長
中年男性で背が高く、なんとも言えない不気味なオーラを垂れ流した人だった
今では思い出したくもない人物
忘れたい過去の一つだ
考えただけで、吐き気がする…
そんな暗い考えを巡らせていると「大丈夫?」その言葉でっは!とし、断髪に集中する
美容師が書いた本を読んだことはあるが、実際に人の髪を切るのははじめてだ
失敗しないように、慎重に慎重に少しづつ様子を見ながら切っていく
前と後のバランスをあらゆる角度から見て違和感を取り除いていく
無言でやっているが、それは集中している証拠だ
そんな私を見守りながら、口を出さずにいる臼田さんは、いつもみたいなおちゃらけた感じを出さずに静かに座っている
「前髪切るので、目を閉じてください。」
「はーい」
すっと閉じると彼の長いまつ毛が際立って、本当に男なのか?と思わせるほど肌も綺麗で驚く
シャキ、シャキっとハサミの音がお風呂場に鳴り響き、ようやく髪の毛を切り終える
顔についた小さな髪を指ではらい、カッパを首から外す
終わったことを告げるとまぶたを持ち上げ鏡で髪を確認する
スッキリとした前髪に短くした後ろ髪
全体的に重みを取り除いて、アレンジのしやすいような髪型に仕上げた
「おぉー!いいじゃんいいじゃん!!頭が軽いよ!」
何度も鏡を見て前、後を確認する
何度見ても同じですけどね
満足いただけでなによりです
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