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じりじりとゆっくり確実に距離をつめてくる臼田さん
その顔は僅かな笑みが残っているものの、今までのチャラけた顔とは違って見えた
彼のその行動に思わず身をすくめ、両手を胸前で身を守るかのように構える
無言のまま近づき身長差からなる、彼は上から、私は下から互いを見ていた
真っ直ぐな瞳に思わず視線をずらし床の方へ顔とともに目を向ける
特に何もなかった床に、自分以外の足が入って来る
それは紛れもなく臼田さんだった
当たり前か……
この家には2人しかいないのだから、臼田さんの足以外なわけがない
_____そうだ……今、2人なんだ………。
彼の足は私の足と向き合うように止まる
その距離は短く、前に出ようものならぶつかってしまうだろう
下を見続ける私に追い打ちをかけるみたいに、両手で流し台に手を置く
両腕で逃げ道を塞がれ、手をついたことにより少し前かがみな体勢の彼の顔がすぐそこにあることを薄々感づく
「臼田さん…近い、です」
「近づいてるからね」
だから、何故近づく!?
話があるならそんなに近づかなくてもちゃんと聞きます
こんなに接近する必要があるのか?
お風呂上がり特有の石鹸のいい香りがふわっと私の鼻奥をくすぐった
それ程近くに居るということだ
顔を上げられずに居ると、ねぇと急に口を開く
それに少しビクッと体が反応する
なんでしょうか…なんて言うと耳元に顔を持ってきて吐息交じりの呼吸が聞こえてくる
「今、2人っきりだよ。」
「…っ!」
この人は心が読めるのか?
先程考えていたことを復唱するみたいに言われ、徐々に頬が紅色に染まっていく
耳元で囁くみたいに言うなんてずるい
この人の声はこんなにもいい声だったのだろうか
今までそんな風に感じたことはなかった
それとも、こんな状況だからそう感じるのだろうか
「ジャっ、ジャンさん遅いですね!?」
この絶妙な空気を変えるべく、明らかに明るい声で変に大きく言い放った
雰囲気ぶち壊しにしてやった
声…、裏返ったけど…
これでもう開放されるだろうと高をくくっていた私は、自分の不甲斐なさを感じながらも彼を見ることはできずに、今もなお下を見続けている
「ジャンなら帰ってこないよ」
顎をクイッと持ち上げ、強引ともとられるその行動によって強制的に彼と顔を向き合わせる
口は狐を描いていたが目が笑っていない様にも見えた
今日は2人だけと言うと少し乱れた髪を耳にかける
そのまま下に指を持って行き、毛先に到着すると1束掴み自分の口元へと運ぶ
親指と人差し指で摘んだ毛先を遊ぶみたいに動かし、私の反応を楽しんでいた
臼田さんはこんなキャラだったのか…?
「ジャンは朝まで仕事。」
さぁどうする?と言った感じで私のリアクションを待っている
相変わらず私の髪を持ったままだ
もういい時間だと気づき、寝ますか…。なんて言うと遊ぶ指を止めて固まる手首を掴んだ
「一緒に寝る?」
「っえ!!??」
なにおっしゃってるんですか…?
流石に冷静にはいられなくなり、頬だけに留まらず耳まで赤くなっていく
それすらも楽しそうに眺める彼は手首を離すことなく話し続ける
「急に決まったからちさちゃんの寝床とか用意できてなくて、昨日も居間に寝かせちゃったでしょう?仕事でそこまで頭回らなかったけど、夜はまた冷えるからちゃんと布団で寝たほうがいいよ。」
「全然…居間も快適でした」
そんな言葉は無視して掴んだ手首を繋ぎとして台所から移動させられる
その顔は僅かな笑みが残っているものの、今までのチャラけた顔とは違って見えた
彼のその行動に思わず身をすくめ、両手を胸前で身を守るかのように構える
無言のまま近づき身長差からなる、彼は上から、私は下から互いを見ていた
真っ直ぐな瞳に思わず視線をずらし床の方へ顔とともに目を向ける
特に何もなかった床に、自分以外の足が入って来る
それは紛れもなく臼田さんだった
当たり前か……
この家には2人しかいないのだから、臼田さんの足以外なわけがない
_____そうだ……今、2人なんだ………。
彼の足は私の足と向き合うように止まる
その距離は短く、前に出ようものならぶつかってしまうだろう
下を見続ける私に追い打ちをかけるみたいに、両手で流し台に手を置く
両腕で逃げ道を塞がれ、手をついたことにより少し前かがみな体勢の彼の顔がすぐそこにあることを薄々感づく
「臼田さん…近い、です」
「近づいてるからね」
だから、何故近づく!?
話があるならそんなに近づかなくてもちゃんと聞きます
こんなに接近する必要があるのか?
お風呂上がり特有の石鹸のいい香りがふわっと私の鼻奥をくすぐった
それ程近くに居るということだ
顔を上げられずに居ると、ねぇと急に口を開く
それに少しビクッと体が反応する
なんでしょうか…なんて言うと耳元に顔を持ってきて吐息交じりの呼吸が聞こえてくる
「今、2人っきりだよ。」
「…っ!」
この人は心が読めるのか?
先程考えていたことを復唱するみたいに言われ、徐々に頬が紅色に染まっていく
耳元で囁くみたいに言うなんてずるい
この人の声はこんなにもいい声だったのだろうか
今までそんな風に感じたことはなかった
それとも、こんな状況だからそう感じるのだろうか
「ジャっ、ジャンさん遅いですね!?」
この絶妙な空気を変えるべく、明らかに明るい声で変に大きく言い放った
雰囲気ぶち壊しにしてやった
声…、裏返ったけど…
これでもう開放されるだろうと高をくくっていた私は、自分の不甲斐なさを感じながらも彼を見ることはできずに、今もなお下を見続けている
「ジャンなら帰ってこないよ」
顎をクイッと持ち上げ、強引ともとられるその行動によって強制的に彼と顔を向き合わせる
口は狐を描いていたが目が笑っていない様にも見えた
今日は2人だけと言うと少し乱れた髪を耳にかける
そのまま下に指を持って行き、毛先に到着すると1束掴み自分の口元へと運ぶ
親指と人差し指で摘んだ毛先を遊ぶみたいに動かし、私の反応を楽しんでいた
臼田さんはこんなキャラだったのか…?
「ジャンは朝まで仕事。」
さぁどうする?と言った感じで私のリアクションを待っている
相変わらず私の髪を持ったままだ
もういい時間だと気づき、寝ますか…。なんて言うと遊ぶ指を止めて固まる手首を掴んだ
「一緒に寝る?」
「っえ!!??」
なにおっしゃってるんですか…?
流石に冷静にはいられなくなり、頬だけに留まらず耳まで赤くなっていく
それすらも楽しそうに眺める彼は手首を離すことなく話し続ける
「急に決まったからちさちゃんの寝床とか用意できてなくて、昨日も居間に寝かせちゃったでしょう?仕事でそこまで頭回らなかったけど、夜はまた冷えるからちゃんと布団で寝たほうがいいよ。」
「全然…居間も快適でした」
そんな言葉は無視して掴んだ手首を繋ぎとして台所から移動させられる
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