逍遙の殺人鬼

こあら

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着替えを終え、玄関で臼田うすたさんを待つ
女の私よりも支度に時間がかかるみたいで、3人の中で1番バタバタとしている
「かめ早くしろ!」と明らかに苛立ちを見せるジャンさんは、腕組みをしながら彼を待っていた

ゆったりめのズボンにTシャツをinするジャンさんは、ただでさえ長い脚をさらに長く見せてくる
イケメンは何を着ても似いますもんね…

「なげぇ!」と怒るジャンさんの飛び火が来ないように、出来るだけ離れて背を向ける
しかし場所は玄関、どれだけ離れても距離は近い
臼田うすたさんの支度の長さに痺れを切らしたのか「ああぁ!」と乱暴にみつ編みを1つに結っている、私の髪留めを強引に奪い取った

「んなっ!何するんですか!?」

「うっせ」

全く理由にならない言葉を放つと、奪った髪留めで自分の髪を1つに結びはじめる
何故私から奪う………
横暴だと言うと「ここ俺の家」何しても許される、と何とも子供じみたことを仰っている

取った髪留めを返してくれなさそうなので、髪の毛を結い直す
元々1度1つ結びにしてからみつ編みををしていたので、幸い髪留めはもう1つ残っている

もう1度みつ編みすることはできるけど、髪留め1つだと崩れやすく、たるんでしまうのであまり好きではないがポニーテールにし「ぶっさ」と暴言を吐くジャンさんを無視した










「お待たせー」と、ぜはぜはしながら玄関に来た臼田うすたさんは、どこからその自信がくるのか分からないが「早かったでしょう!」と少し誇らしげだった
そんな彼を置いて車の方に向かってしまう彼を、私と臼田うすたさんも後を追った

「あんた助手席」

「っえ!?」

そう言うと運転席から"早く座れよ"と口を動かす
そこは臼田うすたさんが助手席なのでは?…と疑問に思ったが、私を助手席に座らせた理由はすぐに分かった


「…、寝ちゃいましたね」

「あぁ、」

昨日、寝ずに仕事してたみたいだし当然っちゃ当然か
車が動いたのとほぼ同じくらいに臼田うすたさんはウトウトしはじめ、すぐに寝てしまった

それを確認すると目的地につく前に、一時停車し後部座席の背もたれを少し倒してあげる
まるでこうなる事を分かっていたかのように、動くジャンさんは臼田うすたさんのお兄さんみたいで少し微笑ましかった


「優しいですね」

「はぁ…?馬鹿じゃねぇの」

(言うと思いました)

クスクスと笑っていると「きっしょ」とドン引きされてしまった

信号が赤になると急にジャンさんの手が伸びてきて、反射的にビクっと避けてしまう

「あー?んだよ」

「…いや、手が……」

「あんたを触るとでも思ったのか?自意識過剰」

そう言うとグローブボックスを開け中から何かを取り出す
別に、触られるかもとか思ってませんし…
急に来たから、驚いただけだし……
そう思いながら、何を取り出したのか気になりジャンさんの方を見ると、赤い包み紙をビリビリと破りそれを口に運んだ

(ジャンさんもチョコレート食べるんだ…)

へぇーと謎に感心していると、視線に気づいたのかこちらを見るジャンさん
チョコレートを見ていたと思ったのか「なに、食いたいの?」と聞いてくる

食べたいですと言えばくれるのだろうか?

「貰えるなら、食べたいですね」

「ふーーん、」

「…、えくれないんですか?」


あと2口ぐらいのチョコを加えながら「誰かやるって言った」と私を馬鹿にしてくる
確かにとは言ってなかったけど、今の流れは完璧くれる雰囲気だったでしょ……

(ジャンさんに弄ばれた…)

もういいです、と窓の外を眺める私に「しゃーねぇなー」と言ってくる
こちらに、ほらっと顔を向けてくる
それに、なんですか?と困っていると「自分で噛め」と言いい、早くしろと私を急かす

「っ、いいですよ、全部食べてください」

「早くしろ」

「いりませんって…」

「事故るよ」

なら止まってからくれればいいのに…
そう思いながらも事故は嫌だからと彼に顔を近づけ、チョコを噛じった
正直全然噛じれていなくて、全く味は分からなかった

「そんなんじゃ味分かんねぇだろ」

「誰のせいですか…」

ブーブー不貞腐れていると、赤信号で車が一時停車
「おい」と呼ばれて、なんですか…と彼の方を向いた
急に首裏掴まれ彼の方に引き寄せられ、開いたままの口に一口サイズのチョコレートを入れるために顔が近づき、そのままの勢いで互いの唇が触れる
チョコレートが甘いのか、それとも彼の唇が甘いのか私には分からなかった
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