逍遙の殺人鬼

こあら

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お風呂を終えた私は、家の戸締まりをして自室に戻る
その途中で待ち構えていた臼田うすたさんに出会う
どうしたんですか?と彼に聞くと「寝る前に」と私を抱きしめてくる
何度やっても慣れないそれは、ギュッ締めてすぐ離された

「一緒に寝る?」

「っ!え、遠慮しておきます」

流石にそろそろ1人で眠りたい…
「えぇ~」とか言っているが丁重にお断りを入れた
渋々引き下がる臼田うすたさんだったが「じゃあ、最後に」と私の腰元を掴んでは、自分の方に引き寄せてくる

そのまま真っ直ぐ近づいてくるそれに私は掴まれていて動けずにいた









思わず近づいてくるそれを手で抑えて止めた
眉をハの字にする臼田うすたさんは、なんで?と言った感じで見てくる

「不意打ちは…、やめましょう」

「寝る前のちゅーは?」

「するのが当たり前になってません?」

そう言うと「するまで離さない」と、ちょっとジャンさんみたいなこと言ってくる
それに困っていると、抑える手をぺろっと舐めるもんだから驚いて手を離してしまい、その隙きをついてキスをする

ジャンさんのように強引に、けど優しい彼のキスに思わず見入ってしまいそうで困る
こういう時に思い出してしまう春さんの言葉、"女はすぐその気になる"
それが自分のことのようで辛い

触れる唇を離して、やめましょうと私から終わらせた
終わらせたかった訳でも、続けたかった訳でもない…
自分でも分からないその気持ちに、ほどほど呆れる

彼とのキスは嫌じゃない
優しくて、不思議と特別なものにしてくれる
だけど、続けていたら踏み込んでしまいそうで、虜になってしまいそうで私には勇気が足りない
そもそもそんなものは無くて、私の中をどんなに探しても見つけることはできない

あったとしても、私が追いかけると共に逃げていく
そうして一生見つけ出すことができない
だから、虚ろな気持ちで踏み込んじゃいけない

「どうして?嫌だった?」

「そうじゃなくて…臼田うすたさんも困るでしょ。私なんかがその気になったりしたら…」

誰だって困る
こんな陰気臭い女が、ちょっと優しくされたからって勘違いして…
困るどころか、迷惑だ
そんな私の顔を掴んで上を向かせると、ムッとした臼田うすたさんの顔があった

「その気になって欲しいからやってるんだけど」

「え……、あの…」

「いつになったら気づくの?」

そんなこと言っておきながら「おやすみ」とおでこにキスして行ってしまった
その場に残された私は、ひとりぽつんと立っているだけで、いくら考えても結論の出ないその問いに悩まされている

"その気になって欲しい"って言うのは…そういうこと?
いや、どういうことよ……
"気づく"もなにも…

っえ、っえ、とこれから寝るというのにアドレナリンマックスの私は、部屋に入ってベットに横になってみても全く寝付けない

臼田うすたさんは、私のことが……好き?
いや、そんなはずない
あるはずがない

だって、あんなイケメンがこんな排泄物みたいな女を好きになるわけない…
例え、都合良いけど、仮に私を好きだと仮定して…
彼が私を好きだとしたら…………

私は彼のことが好き
彼も私のことが好き
てことは両思い?でも、私の好きは……LOVE…なの…?

つまり………どう言うこと?

彼と……付き合うってこと…?
そんなことになったら、私は………

世の女性に殺されるかもしれない……
一応まだ生きていたい、死にたくはない
どこにいるか分からないが、臼田うすたさんに恋心を抱いている人にでも刺されるのは御免だ

結局どうすればいいのか分からず、無理やり眠りにつく
まぶたを閉じただけで寝れてはいないが、その内寝るだろうと思ってそのまま放置したら、本当に寝ていた
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