逍遙の殺人鬼

こあら

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扇子で軽く仰ぐ彼女の後ろには取り巻き2人が居て、早く答えなさいよと目で圧をかけてくる
どう答えればいいのかな…?

「先程レイモンド様と一緒に居るところをお見受けしましたわ。」

「あ、私はジャっ、レイモンドさんの助手として参りました。」

これで…合ってるんだよね?
"助手"という言葉に彼女は反応し、扇子を勢い良く閉じると、それで私の顎下を触れ軽く上に向ける
私の隅々を確認すると「貴方が?」と疑問に聞こえる言葉を投げかけてくる

「レイモンド様が貴方みたいな女、助手にするはずないわ。貴方、レイモンド様の追っかけでしょ。」

「っえ?」

「困るのよね、レイモンド様に近づこうとする虫が最近増えて」









彼女は取り巻きにサインを送ると、途端に私を取り囲むように移動し、ジリジリと詰め寄ってくる
なんだ、なんだ?
扇子をバシバシと掌に打ち付けては近寄ってきて、警告するような口ぶりで忠告してくる

「勘違いしないでくださる?レイモンド様は貴方のこと何ともお思いではなくてよ。こんなボロを着た貴方なんて」

「ボロって…これは、レイモンドさんがくれた物です。それにどこも破れたりしてませんし」

「あら、本当?でも袖の部分なんて、」

そう言うと掴んで、ビリッと引っ張り破る
それを合図に取り巻きまでもがチュールや襟部分を壊していく
破かれたドレスは、家を出る前の綺麗さは跡形もなくなくなっていて、胸元に刺繍されていた細やかなビーズが床に落下していく

どうしてこんなこと…
せっかく臼田うすたさんに買ってもらったのに
私はまた彼からのプレゼントを壊してしまった……

「っなんで…こんなこと……」

「貴方のためよ。そんな変な色の髪も薄気味悪いし、これ以上レイモンド様に近づかないくださいな。」

そう言って取り巻きを連れ行ってしまう
私が何をしたって言うの?ジャンさんとの居ただけなのに…
どうしてこんな目に合わなきゃいけないの………

(こんなズタボロのドレス、臼田うすたさんに見せられない…)

パフェを持って帰ってくるのを待っている彼の元に、このままの姿で戻るのはできない
だけど、予備を持っているわけじゃない……
どうにもならない現状に、私は逃げるようにバルコニーへと向った

「うぐっ…っ………」(泣いたら、せっかくのお化粧が……)

重力に勝てない涙は、止めようと必死にもがくが頬を伝って落ちて行く
それが無性に虚しくて悔しい感情を煽ってくる
あんな性格の悪い人に久々に会った…

あんなのに負けた自分にも腹が立つし、お金しか味方についていなさそうな彼女にも大いに腹が立つ

「はぁ…どうしようっ……」

「お嬢さん、涙なんか流してどうしたの?」

「……え?」

「麗しき乙女よ、どうして泣いているのかな?」

なんて胡散臭いセリフ
ピエロを描いた仮面を着ける男性は、バルコニーの椅子にひっそりと座る私の隣に座ってくる
何故か優しげな雰囲気に、口が勝手に動いてしまう

「買ってもらったドレスを…駄目にしてっ、しまって…」

「そのようだね。でも、これは相当な仕上がりだね。」

「こんな格好じゃ、中には居られないから…逃げてきたんです…」

あと、お金持ちのご令嬢からも逃げてる
可愛い感じの雰囲気出しといて、おっそろしいことする子だった…
哀しみに暮れている私にその人は「じゃ、着いておいで」とだけ言って私の手を引く
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