逍遙の殺人鬼

こあら

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ハロウィンのための飾り用のかぼちゃを作りはじめてどれくらい経っただろうか?
無言で作業に取り組むと、どうしても他のことを考えてしまう

悪い癖だ
普段口に出さない分、心の中での私は大変お喋りで困る
疑問に思ったことなんか勝手に自己解決して、誤解して結局空回りする
分かってるならやめればいいのに、人と言うものはそう簡単には変わることはできないみたいだ

口は動くのに、肝心の声が出なければ無意味で
機会を失っては、嘆いてる
言えばよかっただなんて、何回想っただろうか?
今も…無言で作業しているせいでこんな事を考えてしまっている……









「ふうぅ~」

「疲れたか?休んでもいいんだぞ。」

「いや…疲れた訳じゃないんだけど、無言だとちょっと……」

ブツブツとよく聴き取れないだろう言い方をしてしまう私は、まるで駄々をこねる子どもみたいだ
そんな私に、くしゃっと笑みを見せては「そうか」と私の態度に小刻みに肩を揺らした

「最近とか言う人が、この教会に興味があるみたいで出資の話が出てるらしい。相当お金持ちで、日本の教会に関心があるんだって。」

「へぇ~、クリスチャンって名前から信仰がありそう。私ももっとそれっぽい名前だったら泊がつくのにね」(私なんて漢字にしたら萵苣レタスになりかねない…。)

「"ちさ"って名前可愛いと思うけどな…。」

「ギュウ君は優しいからそう言ってくれるけど、間に"い"入れたらちさになるし、二文字って…ねぇ?」(だいたい三文字、四文字な気がする)

名前は平凡で、ありきたりでいいからもう少しまともなものが良かったな…
それこそ、花子とかの方が愛らしさってもんが出て良いじゃない?
逆に覚えやすくて良いかもしれない
"花子"………良いな…

漢字も簡単だし
あえて華を使っても良いかも

「そんなこと言ったら、俺はどうなる。漢字で書いたら牛になるぞ?それこそ変だろ。」

「そお?"岌"って漢字もあるじゃん。山の高いことをいう字、ギュウ君ってちょっと山に似てるかも」

「山?どこがだよ。」

「こう…どっしりしてて、寛大で落ち着いてる感じとか?でも、なんとなくかな」

ほら、今だって本来なら話さなくていい会話までしてくれるじゃん
優しい彼の性格は、自然を集めた山の様におおらかで、でもしっかりとしている

毎日毎日仕事をして、こうやってシスターの仕事の手伝いも率先して行う
たまに彼を見かけることがあるけど、大抵大きな袋を担いで運んでいる
明らかに重そうなそれは、中身が何なのか全く分からない
分かるのは、ギュウ君が力持ちなことくらいだ

「そう言えば、ギュウ君の主な仕事って何?」

「俺は下っ端だから、荷物運びがメインかな。1日大量の荷物を教会に運んだり、逆に教会からの荷物を運んだりしてる。」

「"教会からの荷物"?それって、中身は何が入ってるの?」

「さあ?俺は運んでるだけだからな、中身は何なのかは把握してないな。でも、小麦粉の袋を担いだ時と同じ感触がするんだよな。なんだろうな?」

(小麦粉…?一度教会に入った小麦粉を、教会から出すわけないし…。何だろう?)

何故か妙に引っかかる
別に気にする事じゃないはずなのに、何だかモヤモヤする

きっと、それが何か知らないから
だから気になるんだ
そうだ、そうだ
別に…嫌な予感とかじゃ、ない………?

だけど、それが何なのか突き止めようとしている自分がいた
きっと良くない
詮索したら、きっとまずい
でも、気になってしまったからには知りたいと無駄に好奇心を出してしまう
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