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私の口を拘束する布を外しては、今走って来たんだろうその額の汗を落とした
少し荒くなった呼吸のまま微かに眉に力を込めて、今度は私の足首を支配する縄を解き始める
「どうして…」(ここにいるの?)
「遅れてごめんな。これでも急いだんだ」
「なんで私を助けるんですか?…あなたは…、」
「"なんで"って、当たり前だろ」
"当たり前"って何が…?
助けてとは願ったけど、まさかあなたが助けてくれるなんて…思わなかった
だって、出会って間もない人じゃない…
それに、どうしてここに居るって分かったの?
私ですらここがどこで、教会からどれくらい離れているのか分からないのに
あなたは何者なの…?
手首の拘束を焦りながら外そうとしてくれる
私を助ける義務なんて無いでしょ…
たかがシスター見習いの真似っこしかしていない私を、あなたが助ける理由が私には見つけられない
「まだ分からないのか?」
「え…」
「まあ、見た目は少し違うしメイクはして無いけど、流石に気づいてると思ったよ。ほら、これでどうよ」
「!?っえ、」
彼は自ら前髪を後ろに上げてその小さな顔全体を見せてくる
全身黒ずくめだからこんなに小さく感じるのか…
少し女性的な中性顔
整った目鼻口は、確かに見覚えがあった
その顔にリップやシャドウをつけたら一層華やかな顔に変身しそうだなと想像すれば、自ずと答えが出てきた
「春さん?本当に春さん!?」
「ピンポーン!あなたの味方、綺麗な綺麗な春さんよ」
「その声色…本当に春さんだ…。でもどうしているんですか?しかも男装して」
「元男って言っても身体は男のままなんだぞ。それに、"どうしても"って頼みこまれちゃったからなー」
バーで話した時よりもずっとずっと男らしく低い声で話す春さんは、メイクを落としてもお綺麗だ…
それに華奢なのに男を殴り倒すなんて、ちゃんと男性だった
「全く電話くれないんだな」だなんて口調と声色をちゃんと使い分ける春さんは、男らしく漢だった
もう大丈夫と私を立ち上がらせ、少し急かすように走り出した
春さんが走り出して、私も走った
行き先なんて分からなかったけど、私も春さんも男が意識を戻す前にその場を離れたかった
森の中に居たらしく、木と木の間を駆け抜けた
春さんは道を知っているのだろうか?…
だとしたら、どうして知っているんだろ
ふと、何だか臭ってきたそれに振り向いた
森から出た瞬間に飛び込んできたのは、オレンジ色に燃え盛る炎でパキパキッと建物を食い荒らしていた
(教会が……、燃えてる)
夕餉の時までは静まり返って鬱蒼としていた教会が、今は眩しいくらいの光と10月だというのに汗が出そうなくらいの暑さに私は立ち尽くした
まだ中にギュウ君やシスターシオリが居るはず…
てことは、今2人や他の人達は…
「っちょ、何してんの。早く逃げるよ」
「待ってください!まだ中に、」
「まずは自分の事優先的に考えろ!ここから離れるんだ」
「っでも、でも春さんっ」
春さんは私の手を取って、強制的にその場を離れさせた
私は泣く事しかできなくて、振り向いて教会が焼け進んでいく姿をただただその目に焼きつけるだけだった
(ギュウ君……シスターシオリ……、どうか2人とも無事でいて)
そう叫びたかった
でも、唇を強く噛んで堪えた
春さんも意地悪をしてる訳じゃない
私を救い出そうと必死なんだ
それなのに、私の身勝手で台無しにしたく無い
だから心の中で言うだけなら許されるだろうと、そう強く願った
少し荒くなった呼吸のまま微かに眉に力を込めて、今度は私の足首を支配する縄を解き始める
「どうして…」(ここにいるの?)
「遅れてごめんな。これでも急いだんだ」
「なんで私を助けるんですか?…あなたは…、」
「"なんで"って、当たり前だろ」
"当たり前"って何が…?
助けてとは願ったけど、まさかあなたが助けてくれるなんて…思わなかった
だって、出会って間もない人じゃない…
それに、どうしてここに居るって分かったの?
私ですらここがどこで、教会からどれくらい離れているのか分からないのに
あなたは何者なの…?
手首の拘束を焦りながら外そうとしてくれる
私を助ける義務なんて無いでしょ…
たかがシスター見習いの真似っこしかしていない私を、あなたが助ける理由が私には見つけられない
「まだ分からないのか?」
「え…」
「まあ、見た目は少し違うしメイクはして無いけど、流石に気づいてると思ったよ。ほら、これでどうよ」
「!?っえ、」
彼は自ら前髪を後ろに上げてその小さな顔全体を見せてくる
全身黒ずくめだからこんなに小さく感じるのか…
少し女性的な中性顔
整った目鼻口は、確かに見覚えがあった
その顔にリップやシャドウをつけたら一層華やかな顔に変身しそうだなと想像すれば、自ずと答えが出てきた
「春さん?本当に春さん!?」
「ピンポーン!あなたの味方、綺麗な綺麗な春さんよ」
「その声色…本当に春さんだ…。でもどうしているんですか?しかも男装して」
「元男って言っても身体は男のままなんだぞ。それに、"どうしても"って頼みこまれちゃったからなー」
バーで話した時よりもずっとずっと男らしく低い声で話す春さんは、メイクを落としてもお綺麗だ…
それに華奢なのに男を殴り倒すなんて、ちゃんと男性だった
「全く電話くれないんだな」だなんて口調と声色をちゃんと使い分ける春さんは、男らしく漢だった
もう大丈夫と私を立ち上がらせ、少し急かすように走り出した
春さんが走り出して、私も走った
行き先なんて分からなかったけど、私も春さんも男が意識を戻す前にその場を離れたかった
森の中に居たらしく、木と木の間を駆け抜けた
春さんは道を知っているのだろうか?…
だとしたら、どうして知っているんだろ
ふと、何だか臭ってきたそれに振り向いた
森から出た瞬間に飛び込んできたのは、オレンジ色に燃え盛る炎でパキパキッと建物を食い荒らしていた
(教会が……、燃えてる)
夕餉の時までは静まり返って鬱蒼としていた教会が、今は眩しいくらいの光と10月だというのに汗が出そうなくらいの暑さに私は立ち尽くした
まだ中にギュウ君やシスターシオリが居るはず…
てことは、今2人や他の人達は…
「っちょ、何してんの。早く逃げるよ」
「待ってください!まだ中に、」
「まずは自分の事優先的に考えろ!ここから離れるんだ」
「っでも、でも春さんっ」
春さんは私の手を取って、強制的にその場を離れさせた
私は泣く事しかできなくて、振り向いて教会が焼け進んでいく姿をただただその目に焼きつけるだけだった
(ギュウ君……シスターシオリ……、どうか2人とも無事でいて)
そう叫びたかった
でも、唇を強く噛んで堪えた
春さんも意地悪をしてる訳じゃない
私を救い出そうと必死なんだ
それなのに、私の身勝手で台無しにしたく無い
だから心の中で言うだけなら許されるだろうと、そう強く願った
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