逍遙の殺人鬼

こあら

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これは夢、これは夢と自分に言い聞かせる
いつまで私を拘束しておく気なのか、今も尚抱きしめ続ける臼田うすたさんは嬉しそうに言った

『さあ、行こうか。みんな待ってるよ』

『え、何処へ行くんです?それに"みんな"って……』

『何言ってるの、ちさちゃん。今日は僕たちの結婚式じゃないか。もうみんな会場で待ってるんだよ。僕たちを祝福してくれてる』

『っえ、え!?結婚?誰と誰が結婚するって言いました?』

私の手を握りながら臼田うすたさんは『ちさちゃんと僕だよ』と優しく言った
夢なのに、なのに…それがリアルに聞こえて思考停止だ
夢なのに………

私…が、結婚…するの?本当に?
だからこんなドレス着てるの?…









『僕を焦らすなんて、悪い子だよ。そういう君も好きだけどね』

『結婚するなんて初めて聞きました…。私、探して、』

『大丈夫、緊張してるんだね。そこも可愛いよ』

(そうじゃないんです、臼田うすたさん…)

私、なんでの夢の中の臼田うすたさんに困ってるの?
夢なら私の思う通りに動いてよ…

あの…とどもる私の手を引いて、臼田うすたさんはこの迷路の道を進んで行く
自分の庭のように、道を知っていたかのように躊躇ちゅうちょなく進んで行く彼の後ろ姿は、夢と言えど逞しく見えた

(結婚、か…)
彼との結婚なら幸せかも知れない…と、気持ちが傾く
前方から吹く風に煽られる髪、光に照らすと綺麗だと言ってくれた臼田うすたさんとの結婚生活は理想的なものだと夢心地にしてくれた
夢の中にいるのに変な話だけどね

手を引いて走る彼は、たまに後ろを振り返って私を確認する度に、子供みたいな笑顔で嬉しそうな顔を見せる
その顔を見ると、不思議と私も笑顔になった
ドレスの裾を持って走る私に『綺麗だよ』と言ってくれる臼田うすたさんは、夢の中だとイケメン度を増して眩しかった

『幸せにするよ、絶対に』

臼田うすたさん…』(こんなに心に響く言葉だって知らなかった)

『さ、ベールを着けておいで。僕は中でちさちゃんを待ってるから』

『分かりました。すぐに着けてきます』

促させるまま衣装部屋へと向い、ティアラと綺麗に刺繍されたベールを着ける
大きな鏡に写る私は、ベールに包まれて詳細には見えないものの今までの自分とは違う者に見えた
花束を持って、臼田うすたさんの居る会場に向かおうとした時、見えた

扉の隙間から見えた、何だか急いでいるように感じる
私はそれを見て、また追った
部屋を出て、もうひとりの行った方へと歩き出せば、急に腕を掴まれて私の意思を無視して後へと動かされた

誰!?と振り返れば、そこにはジャンさんが居た
私の腕を掴んで、その高身長のせいか私を見下ろしている
見上げる私の目には、金髪の彼でも黒髪の彼でもなく、最初に会った時と同じ銀髪のジャンさんだった

夢の中ここで…何してるんですか……?』
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