逍遙の殺人鬼

こあら

文字の大きさ
256 / 333

257

しおりを挟む
(暖かい……)
大きな大きな綿菓子に優しく包み込まれてるみたい
落ちないように、しっかり支えてくれてる

「ぅん…」

前からぎゅうぅっと、まるで大きなクマのぬいぐるみに抱きしめられてるみたいだ
安らぎ…その言葉が今の情緒にピッタリくる

我ながらそんな夢を見るのは恥ずかしけど、ぎゅっとされて嫌な気分にはならない
むしろ穏やかな気持ちになる
ふわふわと空中を不安定に彷徨う私を、大きな大きなクマさんが捕まえてくれる
もふもふで私からも抱き締めたくなる

『朝から癪に障る奴だな、ふざけるなよ。』

『っえ!?』

どこからか、荒げた声が聞こえてくる
少し怖いくらいに近くに聞こえる
そのおかげで、私は今夢の世界にいるのだと突き付けられ意識がハッキリする









(誰かが喧嘩してる…?)

重いまぶたを頑張って開ける
寝起きの私には衝撃の強すぎるものが目に飛び込んで来た

「ジャン…さん?」

なんで?どうして目の前に?
って言うか、なんで抱き締められてるの??

(確か昨日…)
”寒い”って私を毛布代わりに抱き締められたんだった
それで…私も寝ちゃったんだ

「俺は働いている、イコールニートでは無い。オカマこそ2日に1度は、ショッピングだマッサージだって1日中だらけてるだけじゃねぇか!」

「2日に1度じゃないわよ!!あんたアタシを監視しつるつもり?ちょーキモいんですけど。」

「誰かオカマなんて見るかよ。それならバード・ウォッチングしてる方がマシだ!」

「おうおう、それはご苦労なことですわね。暇人はいいですわねー。」

じゃない、作家だ。認知レベルの低下は加齢の証拠だぞ。」

「腹立つ…あんた26でしょ!アタシは23だけど、あんたよりよっぽど社会に貢献してるわよ。人の話を碌に覚えられないそちら様の方が認知レベルを疑うわ。」

(また喧嘩…?)
そぉ…とジャンさんの腕を退かして、今からでも止めなきゃと試みる
でも…退かそうとすればする程、それを許さないと言わんばかりに締め付けてくる
そして何処にも逃さないようにグッと寄せては、腕の中に仕舞われた

抱き枕か何かと勘違いされています‼︎
春さんと朔夜さんの喧嘩を止めに入るどころか、逆に私が助けてもらいたい状況になってしまった…
心なしか息も苦しい………

「ジャンさ…ん、離して」

「ん?あんた何してんだ…」

「それはですよ…。あの…離してもらえませんか?」

「…。ヤダって言ったら?」

「それは困ります」

「困らせたい」

えぇ??
そんなこと言われたらもうどうしようも無いじゃないですか!?
男の人の力には勝てない
…えっと、と困っているとまだ続いていた喧嘩の声がヒートアップしていた

「ほんと品の無い野郎ね。」

「は?おい。」

「何だよ!!」

今にも殴り合いしそうだ…
止めなきゃと動く私に「まだ話は終わってねぇぞ」って阻むジャンさん
すぐそこで喧嘩してる2人はどうするんですか!?って言わないと分からないの?
春さん達止めなきゃと言えば、渋々離してくれた

「お前らうるせぇぞ」

「ほら御覧、あんたの金切り声で起こしちゃったじゃないの。」

「春さん、朝ですし…ね?朔夜さんも、取り敢えずお水でも飲んでください」

殴り合いを回避出来た…
朝一番で、こんなに疲れるなんて

動悸に近いドキドキがまだ心臓を占拠している
血みどろなんて、…見たくない
ジャンさんに抱き締められてから、ドキドキしてるわけじゃない
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...