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「ちーちゃんグラス取ってくれる?」
「はい。どうぞ、ママさん」
「ありがとう。毎日のように来てもらってごめんなさいね。」
「いえ、好きで来てるので。お料理楽しいです」
私は未成年でお酒は飲めないし、住まわせてもらってるからとお店で心ばかりの仕事をしている
と言っても料理しているだけなのだが…
たまに来るあのお得意様…クジラと言うのが正しいのか……
その人はえらく機嫌が良い
どんな話をしているかまでは聞こえないからむず痒いところではあるが、私の仕事は調理することなので気にしないようにしてみる
そんな絶妙な心境の私にママさんが見かねて、いつも話しかけてくれるのだった
「そう言えば、また届いてたわよ。」
「本当ですか?!」
「ええ、真っ白なお花。でも変ね、1輪だけだなんて。普通花束で贈るものでしょ?」
確かに、お花をプレゼントする時はたいてい束にしてリボンで縛って、花束として贈るのが一般的
でもこの、飾り気のない素の花の存在がどうにもこうにも愛おしくて、私は好きだった
毎日のように届く1輪の白い花は数を増し、部屋の窓辺に置いた水の入ったコップに挿すのが、夜の日課になっている
月明かりに照らされる真っ白な花びらは少し透け、増えた花たちと重なり合って儚げにも見える
そして、花の香りを堪能しながら眠りつくのは表現できないほど穏やかだった
「花が好きなのか?」
「好きだよ。私と違って可愛いでしょ?それに良い香り。別に毎日迎えに来なくてもいいんだよ」
「迎えに来られたら迷惑なのか?」
「そう言う意味じゃないけど…、迎えがなくても真っ直ぐ自分の部屋に帰るのに」
ギュウ君は下のお店まで私を迎えに来る
まるで保護者みたいに
監視するみたいに…
なんだか最近、やけにギュウ君と春さんの仲が近い気がした
まさかと思って彼に、春さんは男性だと伝えたけど「変なこと言うなよ!」って怒られた
どうやら見当違いだったようで、珍しく拗ねた彼の姿を見ることができた
「今日は夜空が綺麗だな。」
「そうだね。教会に居た時は、星がもっと鮮明に見えてた。今じゃ、掠れたみたいにぼやけて見えるね」
「同じ空とは思えないな。場所が違うだけで、こんなにも見え方が変わるんだな。」
「そうね…。ギュウ君も、変わったかもね」
「俺もか?」
「うん。何だか教会に居た時より頼もしくなったし、同時に保護者みたいになったね」
なんだろれ…って顔を歪ませる彼の顔を見て私は笑った
だって本当に保護者みたいだったから
同い年なのに、まるで年上みたいに振る舞う時がある
それが嫌ってわけじゃないけど、何だか可笑しい
「また1輪」
そっと持っていた花をコップに添える
やっぱり綺麗だ
香りも良い
今日もいい夢が見れる気がする
この花で、私達はコミュニケーションを取っている気になっている
確かな事はないけれど、私はそれを受け取り想いをとどめている
どこで見つけてきたのかな?
どんなことを思っていたのかな?って
私は完全に乙女思考になっていた
「はい。どうぞ、ママさん」
「ありがとう。毎日のように来てもらってごめんなさいね。」
「いえ、好きで来てるので。お料理楽しいです」
私は未成年でお酒は飲めないし、住まわせてもらってるからとお店で心ばかりの仕事をしている
と言っても料理しているだけなのだが…
たまに来るあのお得意様…クジラと言うのが正しいのか……
その人はえらく機嫌が良い
どんな話をしているかまでは聞こえないからむず痒いところではあるが、私の仕事は調理することなので気にしないようにしてみる
そんな絶妙な心境の私にママさんが見かねて、いつも話しかけてくれるのだった
「そう言えば、また届いてたわよ。」
「本当ですか?!」
「ええ、真っ白なお花。でも変ね、1輪だけだなんて。普通花束で贈るものでしょ?」
確かに、お花をプレゼントする時はたいてい束にしてリボンで縛って、花束として贈るのが一般的
でもこの、飾り気のない素の花の存在がどうにもこうにも愛おしくて、私は好きだった
毎日のように届く1輪の白い花は数を増し、部屋の窓辺に置いた水の入ったコップに挿すのが、夜の日課になっている
月明かりに照らされる真っ白な花びらは少し透け、増えた花たちと重なり合って儚げにも見える
そして、花の香りを堪能しながら眠りつくのは表現できないほど穏やかだった
「花が好きなのか?」
「好きだよ。私と違って可愛いでしょ?それに良い香り。別に毎日迎えに来なくてもいいんだよ」
「迎えに来られたら迷惑なのか?」
「そう言う意味じゃないけど…、迎えがなくても真っ直ぐ自分の部屋に帰るのに」
ギュウ君は下のお店まで私を迎えに来る
まるで保護者みたいに
監視するみたいに…
なんだか最近、やけにギュウ君と春さんの仲が近い気がした
まさかと思って彼に、春さんは男性だと伝えたけど「変なこと言うなよ!」って怒られた
どうやら見当違いだったようで、珍しく拗ねた彼の姿を見ることができた
「今日は夜空が綺麗だな。」
「そうだね。教会に居た時は、星がもっと鮮明に見えてた。今じゃ、掠れたみたいにぼやけて見えるね」
「同じ空とは思えないな。場所が違うだけで、こんなにも見え方が変わるんだな。」
「そうね…。ギュウ君も、変わったかもね」
「俺もか?」
「うん。何だか教会に居た時より頼もしくなったし、同時に保護者みたいになったね」
なんだろれ…って顔を歪ませる彼の顔を見て私は笑った
だって本当に保護者みたいだったから
同い年なのに、まるで年上みたいに振る舞う時がある
それが嫌ってわけじゃないけど、何だか可笑しい
「また1輪」
そっと持っていた花をコップに添える
やっぱり綺麗だ
香りも良い
今日もいい夢が見れる気がする
この花で、私達はコミュニケーションを取っている気になっている
確かな事はないけれど、私はそれを受け取り想いをとどめている
どこで見つけてきたのかな?
どんなことを思っていたのかな?って
私は完全に乙女思考になっていた
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