彼は死神

こあら

文字の大きさ
12 / 46

12 「いちごジャム…」

しおりを挟む
セツ…さん?」




「わりぃ、起こしたか?でもお前泣いてたから」




セツが目の前に居る…夢?)



「っ…!」



「うぉ!?どうした?」


私は現実か確かめたくてセツに抱きついた


「怖い夢でも見た?」



私は震えながら無言でうなずいた


「どんな夢だ?」


震える私の体を優しく包み込むように抱きしめ返す


セツさんが、…私を置いて、どこかに行っちゃう…」



「言っただろ、離さねぇって。今も離す気ねぇから」


「居なく、ならない?…」


「あぁ、お前のそばにいる」


「よか…った…」

私はもう一度眠りについた





「…また、俺のせいで泣いてたのか」





















「やっぱり!ケダモノに…」

「しーー…」

「おや?」

「今寝たところ。寝かしてやってくれ」

「仕方ありませんね。そんに気持ちよさそうに主の膝の上で寝られたら、起こす気にはなりません。」

「わりぃーな。」

「…。朝食、作ります。」












『…。』


花穂カホさん。』


『…!クロさん‼』


『嬢ちゃん』


『…、青路セイジ…さん?』


『お嬢さん。』


『眼鏡の…、皆さんどうして…』


花穂カホ。』


『誰?光の逆行でよく見えない…』


花穂カホ。』


セツさん?…っセツさん!』

⦅夢だと分かっててもうれしい。名前を呼んでもらえて、両腕を広げて私を待っててくれて、今抱きしめてくれてる。⦆




『僕の花穂カホ。』



『っ!違う!セツさんじゃない‼離して!』


『迎えに来たよ、僕の花穂カホ。もう逃がさない。』


『やだっ!」




「おう、どうした、そんな大声上げて」


夢から覚める


セツさんの膝の上で私は叫んでいた




「また怖い夢でも見た?」

体を起こしながら、不安そうな顔をする



「…。よくわからない、けど…なんだか、嫌な予感がする…」


「それは夢だ。大丈夫だよ」


「…。そんな夢は忘れて、朝食にしましょう。」



リビングに案内される


綺麗に焼かれたスクランブルエッグに程よく油の乗ったベーコン、バターが均等に塗られた食パンにバランスの良いサラダが用意されていた

紅茶です、とクロさんがマグカップを差し出してくる


(暖かい食事…)


「俺のいちごジャムは?」


「昨日ご自分で食べきってましたよ。」


「まじかぁー、まだあると思ってたー」


「いちごジャム…」

(意外とかわいい)



さっき見た夢を忘れさせてくれるくらい、暖かな朝の光景に微笑みがこぼれる



(ずっとこのままだったらいいのにな…)

















「今日ですが、一応有休を申請しときました。」


「なんでー?審問は午前中だろ、午後は狩れるぜ」


「審問会がきっちり時間を守ったことがありましたか?今回対象者は花穂カホさんです。今までのように適当にあしらうことはできませんよ。」


「へいへい」




(私の審問のせいでセツさんとクロさんに迷惑が…)



「あ、今とか思ってんな?」


図星をつかれてあたふたする


どうしてセツさんにはバレちゃうんだろ


「俺はしたくてしてることだから、気にすんな」

わしゃわしゃと豪快に頭を撫でる



セツさんまた、子ども扱い!」


はははと笑うセツさんの手今日も優しかった




頭を撫で続けるセツさんを無視して、ケチャップをつけたスクランブルエッグをフォークで口元へと運ぶ


「毎回思うけど、お前の髪の毛柔らかいよなー」

撫でていた手を止め、今度はぼさぼさになった髪の毛を耳にかける

「っ!」


髪をかける際にセツさんの指が耳に触れ、びくついた私はフォークの持った手元が狂った

その振動がフォークに伝わり、スクランブルエッグが落下してしまう


「っお、わりぃ、大丈夫か?」


ティッシュを取り、ケチャップを拭く



「ちょ、セツさんっ!自分で拭けますっ」





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

処理中です...