彼は死神

こあら

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39 「すいませーん、試着いっすか?」

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「書類の方確認できました?」

「っあ!」

(今までの出来事に夢中すぎて書類のこと忘れてた…)


「焦らなくて大丈夫です。大事なことですから、ゆっくりで構いません。」

私はシノさんに教えてもらいながら書類の確認を進めていった

最後まで目を通し、サインと拇印をする


書類をシノさんに提出し、書類と交換に黒色のドックタグを渡される

そこには私の名前が彫られていた



「通行書です。ようこそ死神の世界へ。」


「通行書?」


「死神の通行書は自らが所持している狩道具ですが、あなたは持つことはないので作らせました。これで、ここや道端で死神に出会しても殺される心配はありません。」


「っあ!ありがとうございます!!」




「シノ~、これ今日中?」

「…。それじゃ、明日の夜までに提出して。」

「よっしゃ!」

「手抜きは受け付けないから。」

「…兄貴、元気そうだったか?」

「私と同じで事務処理に追われていたわ。向こうも元気か?って。」

「お互い一回死んでんのにな…。変わらねぇな、兄貴は…」






















セツさんいいんですか?書類仕上げなくて。」

「帰ったらちゃんとやるよ。それより、花穂カホの服買いに行くぞ」



花穂カホ…)



二人の時は名前で呼んでくれるセツさん


どうやら死神も普通の人と同じように買い物したりできるらしく、一般の人に姿を見せることができるらしい

便利な能力だ






「こっち」


繋いだ右手を優しく引きお店へと向かう


周りから見たら、私は恋人に見えているのだろうか?




(待って、私たち両想いだよね?って事は私はセツさんの彼女!?)



私はって言った


セツさんもって言ってくれたよね?




(いやいや、待って、私だけ浮かれてるだけかも…)


昨日も、もう会えないかもしれないからしてくれただけで、本当は何とも思ってないんじゃ…

そんなことが頭に浮かぶ






「ここだ、入るぞ」


お店に入り私の服を一生懸命選んでいる彼を見ながら、私は物思いにふけっていた



「これも似合いそうだな」

(どうしよう…)



「この色とかいいな」

(こうして一緒にいるのも、議会がそう決めたからかも…)



「パジャマも買っとかねぇとな」

(今も嫌々だったりして…)



花穂カホはどんなのがいい?」

(誰だって面倒は背負いたくないもんね…)




花穂カホ?」

(私、セツさんに捨てられたら…施設に戻されるのかな…)




そう思うと急に目元が曇った


「!?どうした!?何で、泣いて…」


「!…泣いてなんか…ない。」


私は彼から顔を背けた

泣いてた

こんな顔見られたら、ウザがられるかもしれない…


「…」


(涙っ、止まって…)





「すいませーん、試着いっすか?」

「どうぞ、左の奥です。」






無言のまま腕を引かれ歩き出す

掴む手は優しく解こうと思えば簡単にできた



試着室に入りドアを閉め、服を置くと掴んだ手をグッと自分の方へ引き寄せる



「っ!」


「何で泣いてるの?」

「だから、泣いてないって…。」



下を向き続けるわたしの両頬を大きな手が包み顔を上に向ける


「泣いてるじゃん。嘘つくなよ」


「…。」

何も言えず、目を逸らす





「…」

「っ!」


瞳から流れ出た涙を拭くように泣き後に沿ってキスをする

お互いの顔の距離はほぼゼロで、彼の柔らかい唇が私の顔に触れる


「っ!せ、セツさん!?」


「…、俺のせい?俺と一緒の家はいや?」


「違っ!」


花穂カホに泣かれたら、どうしていいか分からない…」


キスを止めずに続ける






「ち、違うの。もしかしたらセツさんは、私のこと…なんと思ってないのかもって、思って…」


「は?」


「昨日は、もう会えないかもしれないから…、私のわがままを最後に聞いてくれたのかもって…思って…」


「…」


「本当は面倒くさいって、思ってるのか持って…」


「思ってるよ」




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