彼は死神

こあら

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43 「ただいま。」

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いつだってセツさんとことしか考えていないし、セツさんがいない未来なんて未来じゃない


「さぁ?どうかな。」

そう言うと彼の体は少しビク付き強張った


「俺との未来はまだ可能性はあるか?」

「どぉかなぁ?」



「ないって言わないってことは、まだ…希望持ってもいいのか?」

「うーーーーーーーーーーーん。」

「そんなに悩むのか…?」






段々弱々しくなる彼に愛しさを感じる

やっぱり彼だ

セツさんじゃなきゃ、やっぱりダメ



「なあ…。もう、どっかに行かねぇだろ…」

(そろそろ許してあげようかな?)


そっと頭を手で撫でる

いつかのとき、弱気になった私を励ますようにセツさんがしてくれたように、優しく優しく撫でる
なんだか小さな子供にしているみたいで、少し可笑しかった
こんな大きな子ども見たことないもん



「ちさに言ったこと、全部本当だよ。」

そう言うと、抱きついた体を離したかと思ったら向きを変えてまた抱きしめられる

向かい合うように抱きしめて、少し強く力を入れたのが分かった


「俺は…、あの女が言ったこと、グサッと来た。。って…確かにそうかもしれないって…」


セツさん…。」


「お前は優しい。優しすぎる。だから…俺みたいな男を見捨てられないだけなのかも知れないって、今になって…」


「そんなことないよ。私だって誇れたことなんかないし、世の中のことなんか全然わかんない。今までお人形さんみたいだった私だけど、セツさんに出会って、少なくとも単なるお飾り人形じゃなくなった。」


悲しい顔してるセツさんの顔に触れた
クロさんが晩ごはん作って待っているはず
帰ろ!と笑顔で言えば「そうだな…帰るか」って、眉毛を垂れさせた














セツさんの家に着くとすでにクロさんが夕食の準備をしていた
包丁がまな板に当たる音が玄関まで聞こえている

ただいまーと彼が言うと、エプロン姿のクロが夕食作りを中断し出迎えてくれた


「おじゃまします。」

靴を脱ごうとすると、セツさんの動きが止まる
じゃないだろ、そう言うと頭をポンっと軽く叩いて「、だろ?」と私を諭す


いいのかな?
私が口にしてしまっても…

もう家族だってそう言って手を取る
…その言葉はとても心地よくて、心に響くものだった


「ただいま。」

「あぁ、おかえり」「花穂カホさん、おかえりなさい。」


、この言葉をずっと聞きたかった気がする
たった一言が心を熱く、コーヒーに砂糖が溶けるみたいに、心がじわっとした


「今日の晩飯はー?」

「その前に手洗いうがいをしてください。」

「へいへい」



こんなやり取りが嬉しいって感じる日が来るなんて思ってなかった
少し誇張しすぎかもしれないけど、私今1番幸せかもしれない


「腹減った、腹減ったー」

「主少し静かにしてください。今出しますから。」

「わぁ!カレーライス!美味しそう!!」

(あれ?セツさんのカレーライスに目玉焼きが乗ってる)


カレーライスに目玉焼きが乗っているのをはじめて見た私は、それをまじまじと見た

美味しいのかな?
単純にそんな思いで見ていたら、食べさせてほしいの?っと意地悪に聞いてくる
違う違う!と慌てふためく私の手を掴んでくる


「あーんしようか?」

「っい、いい!大丈夫!!」


やってやるよとお店の時と同じように攻め寄って来る
そんな彼に、もう1度怒ってみる


「もぉー!セツさん、話聞いてくれないから嫌!」

プイッと顔をそむけ、頬を膨らませてセツさんの隣からクロさんの隣へと移動した
こっちで食べる、そう言って手を合わせていただきますをした

クロさんはやれやれと言った感じでカレーライスを食べている
反対にセツさんは、またしゅんっとした感じでこちらを見てくる




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