彼は死神

こあら

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42 「ちさ?その人は…」

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「おい!誰だか知らねぇがこいつは連れて行かせねぇぞ」


「っちょ、セツさんっ」

花穂カホを離して!花穂カホのこと何も知らないくせに!!」


私の腕を引っ張るセツさんは、今から喧嘩でもするみたいに敵意を剥き出しにしている
それに負けじとちさまでもが喧嘩腰になってしまった



「ちさっ!…。二人とも…」


「なんだこいつ。女だからって甘く見てっと…」


「ストォーーップ!!殴り合いとかしないでくださいよ。…、ちさ、こちらセツさん、今お世話になってるの。…、セツさん!彼女はちさ。施設から出るのを手伝ってくれた私の親友。」


「施設?…」


そう、ちさは私が施設に入って一番最初に仲良くなって、誰よりも私を気にかけてくれた大事な親

私より1歳年上のお姉ちゃんみたいな存在だった

私の説明を聞いて一瞬動きを止めるがまだ喧嘩腰のセツさん


「…、お世話になったのは感謝します。でも、もう大丈夫です。花穂カホは私が面倒見ますので。行こう花穂カホ

「っ、ちさ…。」

彼女に手を引かれ歩き出そうとする私の反対の手を引いたのはセツさんだった

眉を尖らせて、「そんなことさせない」とちさの動きを止めた


「俺は、たとえ花穂カホが嫌だって言っても…行かせるつもりはない」


「あなた、花穂カホに、なにするつもり。この子は嫌なことは嫌だって言えないの。優しすぎるから、周りの人のことを自分より優先に考えるから、あなたはそこにつけ込んでるだけじゃないの。花穂カホを苦しめないで!」


「っ!」


「ちさ…、そんな風に言わなくても…。」


花穂カホ、あなたには、私みたいな思いしてほしくない。あんな監獄みたいな施設のことなんか忘れて、自由に生きてほしいの…。言いたいこと、わかるでしょ?」


(確かに、自由になることが夢だった。施設から出ても結局見つかるんじゃないかって思って自分から戻ろうかとも思った。でも…)


今は思いが違うと彼女が握る手を解き、セツさんへと走り出た

離された手に少し寂しそうな顔をしていたけれど、でもやっぱり彼の所にいたい
それが心からの願い


「私、セツさんが好きなの。今は自由よりも、この人と居たいの。…ごめんね、ちさ。」


花穂カホ…、そんなこと言ったって…」

「おい、探したぞ。何だこいつら」















「…っ。」

「ちさ?その人は…」

「…っ!?」

何故かちさは後ろからやってきた人を見るなり驚いた顔をしている
知り合いなのかな?
しかも、セツさんまでもが、今まで見たことのない動揺に似た何かを見せていた



「私の友達とその…、彼氏。花穂カホこの人は雇い主…。」



「っ!は、はじめまして!花穂カホといいます。ちさがお世話になってます!」



雇い主さんにお辞儀した

顔の整った、どこか日本離れした顔立ちと銀髪の髪の毛を持つ男性は最初こそ冷たい雰囲気だったが、自己紹介をするとニコッと笑顔に変わっていた
その笑顔と首元からちらつくものにも少しの違和感を覚えた



「いえ、こちらこそ。ちさにはいろいろとお世話になってます。申し訳ありませんが、我々は買い物が残っていますので、これで失礼します。」

「っあ、そうですか。どうぞ、お邪魔しました。」


「おい、ちょっと待て」


セツさん?」




急にちさの雇い主さんを呼び止めると「あんた、…もしかして。」と何かを言いかけるセツさん
「どうしました?」と動きを止めさせてしまう


「…。いえ。なんだか、すごく感謝したい気持ちがこみ上げてきたんで。」


「はい?」

「気にしないでください。引き止めてすいません」




いまのは何だったんだろう
なんでセツさんは雇い主さんを呼び止めたんだろう?
それに、あの雇い主さん…不思議な感じの人だった
よく見なくても目に飛び込む首元のタトゥー
服の襟からはネックレスなのか、金属がちらついていた

そのまま2人は歩き出したので、ちさも1人じゃなかったんだ…と、ホッと一安心した

(ちさ、元気そうで良かった)



「…」


「っ!?」



急に後ろから強く抱きつかれた

それはもちろんセツさんだった





「あの女に言ったこと、本当か?」


後ろから抱きつかれているせいで顔は見えないけど、何となく弱気に感じた

ちさに言ったことは嘘じゃない
いつだってセツさんとことしか考えていないし、セツさんがいない未来なんて未来じゃない


「さぁ?どうかな。」

そう言うと彼の体は少しビク付き強張った






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