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第1章

第五話 「新しい先生はあの人!」

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リリアの実家。

「ただいまぁ~。」

「ネル、どう思う?この人。」

「ん?フツー。」

「!?」

「フツーってあなた!こんなにかっこいいじゃなーい!」

「フツーと言ったらフツーなの!あ、こいつもフツーだなぁ~。」

「もう!この子ったら!あなた、なんか言ってあげて!」

「ネル、これはお前の将来を決めることだ。どの男がいいか、決めなさい。」

「フツーと言ったらフツーなの!てか、あたしには好きな人がいるし!結婚ってのは、親が決めるものじゃなくて、子供が決めるものなの!部屋で寝る!」

「ちょっ……ネル!」

「もう、あの子ったらぁ。」

「どうしたの?」

「あ、リリア。」

「実は、ネルの結婚相手を探しているの。」

「そしたらあいつ、ぜ~んぶ断るんだよぉ。」

「そう……。」


                                     ☆


「ったく、見合いはしねぇって言ってんだよぉ!それなのに、なーんで見合い話をするんだよぉ!マジでムカつく。」

ガチャッ。

「久しぶりね、ネル。」

「あ!リリア!てめぇ、なにしに来たんだよ!」

「ちょっとね。」

「ちっ。」

「あなた、彼とは最近、会ってるの?」

「!?ウルフ一郎のことか。」

「えぇ。」

「2年前から、一度も会ってねぇ。」

「そう……。」

「風呂に入る。」

「ちょっ……ネル!」

バタン。
ガチャッ。

「風呂はどこだ?」

「あだ―っ!あなた、23年間ここに住んで、お風呂場もわからないの!?」


                                   ☆


シャー。
ふぅ、気持ちいい~。
何年ぶりだろ。風呂に入ったの。
2年ぶり……かな。
あたしは、シャワーを止めて、お風呂に入った。
ふぅ、気持ちい~。
桜の香りの入浴剤……好きだなぁ~。
ふぅ。風呂に入ると、いやなことも忘れる。
……いやなことも……。

「『俺、ジュンブライトは、結婚することになった!』」

……。
あたしはあれから、みんなの前から姿を消した。
悔しくて、悲しくて。フラれたようだ。
あちらこちらで酒を飲んだり、修行をしたりしていた。
で、実家に戻ったってわけ。
……ウルフ一郎……。

「『よっ、ネル。』」

「『どわっ!なんなんだ、お前!』」

「『あたし、こわ~い夢を見た!』」

「『どんな夢だ。』」

「『……ウルフ一郎が、死ぬ夢。』」

「『って、勝手に死なせるなよ、おい!』」

「『超~こわかったぁ~!』」

「『ネル……。わかった。俺様はお前より先に死なねぇ。約束する。』」

「『うん……。』」

チュッ、チュッ、チュ……。

「『……ねぇ、汗が出てきたよぉ。やめようよぉ~。』」

「『やだ。』」

チュッ、チュッ、チュ……。

「『……お前、別の男としゃべっていたろ?だからそのバツ。』」

「『ちがうよぉ~。あれは道を教えてくれって言われて……。』」

「『ふっ、方向オンチのお前が、道案内してどーする。』」

「『バ、バカにすんなよ!あの時、あたしはおまわりさんにたのんできてくださーいって、言ったんだ!』」

「『そう……。なら、よかった。』」

「『あ……。』」

「『ネル、愛してるよ。』」

「『あたしも。愛してるよ、ウルフ一郎。』」

チュッ……。

「『ネル、背中、こすってやろっか?』」

「『あぁ。たのむ。』」

ゴシゴシゴシゴシ。

「『ふぅ、気持ちいいなぁ~。』」

「『だろ?』」

「『今度は、あたしがこすってあげる。』」

「『えっ!?いいのか!?サンキュー!』」

ゴシゴシゴシゴシ。

「『ふっ。ネルがした方が、もっと気持ちい~。』」

「『えへへへへ。』」

……。
あの時、失礼だったのかなぁ~?
むやみに姿を消して。

「『ネル、まて!俺様を置いて行くな!ネル、ネル、ネル!』」

……謝りたい。
あいつ、元気かなぁ~?
早く会いたい……。


                                    ☆


「兄貴ぃ~、今日の夕食は、グラタンっスよ~。」

うぇ!俺様の苦手なものを出すなっつーの!

「それだけではありません!ドリアに、チーズドックに、チーズハンバーグ!」

「シーザーサラダに、ピザもあるんですよぉ~。」

今日はチーズ祭りじゃねぇか!

「あと、バナナヨーグルトも、食べてくださいねぇ。」

うぇ!ヨーグルトも苦手だ。

「ウルフ一郎。これはあんたの乳製品嫌いをなくすためのもんだよ。38になったから、好き嫌いするんじゃないよ。」

……はーい。
チーズは、俺様の強敵だぁ~。
あと、乳製品も。


                                  ☆


シャー。
ふぅ~。気持ちい~。
俺様はシャワーを止めて、風呂に入った。
ふぅ、サイコー!
風呂に入ってると、疲れがぶっ飛ぶ!
……ネル……。

「『ただいまぁ~。』」

「『お帰りなさい、リリアさん!』」

「『どうでしたか?久しぶりの実家は!』」
                                             ・・・・・・・・・
「『え……えぇ。なんか、とんでもないお客さんがいたけど。』」
       
        ・・・・・・・・・・
「『とんでもないお客さん?』」

「『それって、まさか……。』」

「『そう、ネルよ。』」

「『!?』」

やっぱり、ふるさとに戻ってたのか、あいつは。
ちっ、心配させやがって!
さーて、そろそろ、あがろっかなぁ~?
俺様は、お風呂場のドアをガラッと開けた。
ふぅ~。このバスタオル、いい香りがするぜ~。
ん?んん!?この香り、まさか桜!?

「ニヒニヒニヒ~。」

あんにゃろ~!俺様をからかってぇ~!
ま、いっか。

「ウルフ一郎兄貴の彼女って、誰っスか~?」

「お前には教えねぇーよ。」

「ふーん。」


                                     ☆

ギロさんがやって来て、これからますます、毎日が楽しみになってきました☆

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