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第1章

第三十四話 「ジュンブライトのおじいちゃんの話」

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ー5年後ー
ガチャッ。

「じいちゃん、本、貸してくれないか?」

「ああ……って、おい、ジュンブライト、声、変わっているじゃないか。」

「ああ。そうだけど?」

「ジュンブライトはもう、声変わりしたんだよ。」

「なぬぅ!?」

「ジュンブライトはもう、男らしくなったのよ、あなた。」

「そ、そんなぁ~。あのキラキラしていたころに、戻してくれーっ!」

「なーに言ってんだか。」


                                 ☆


                         ー11年後ー


「じいちゃーん、準備はできたかぁ~?」

「ああ。バッチリだ!」

ばあちゃんが死んで、元気をなくしたけど、よかったな、元気を取り戻して。

「あぁ!今日は、家族で初めて、ピクニックに行くからのう。」

来月で孫も産まれるんだし、ちゃんと、元気に生きないと。

「そうだなぁ。それに、かっわいいお前と、ずーっと、これからも、すごしたいから、長生きできるよう、がんばるよ~ん♡チュッ、チュッ、チュッ♡」

気持ち悪りぃよ。

「さぁ、ピクニックに行くぞぉ~!はぁ、早くリアンさんの弁当が、食べた~い!」

ズキン!

「ゔ……!」

じいちゃん、大丈夫!?

「あぁ。大丈夫だ。」

まあた、ぎっくり腰じゃねぇのか?
もう、やめてくれよ……。
と、次の瞬間、じいちゃんが、目の前にいたじいちゃんが、ばたりと倒れた。

「じいちゃん!」

お、おい!じいちゃん、大丈夫か!?しっかりしてくれよぉ!
う……うそだろ……。
揺さぶっても、全然、声がしねぇ……。
じいちゃん、息、してない……。

「じいちゃーん!」

俺は城の中に響くように、泣き叫んだ。


                            ☆


じいちゃんの葬式が終わって、俺は、真っ暗な部屋で、一人でしくしく泣いていた。
ゔぅ……。
じいちゃん、じいちゃん……。
なんでポックリ、逝っちまったんだよぉ!
俺、じいちゃんが死ぬなんて、予想すらしてなかったのに、なぜだ……。
じいちゃん……。

「「ジュンブライト!お前が欲しがってたおもちゃ、買って来たぞぉ!」」

じいちゃん……。

「『ジュンブライト、どうしたんだ?そんな顔をして。おじいちゃんに相談しなさい。』」

じいちゃん……。

「『ジュンブライト!おじいちゃんはお前のことが、大好きでちゅよぉ~♡』」

じいちゃん……。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

俺、初めて声を上げて泣いた。
大切な人が……大好きな人が……逝っちまうなんて、まるで夢を見ているみてぇだ。
じいちゃん、じいちゃーん!
トントン。

「ジュンブライト、入っていいか?」

その声は、バカ親父。

「あぁ。入っていいよ。」

「では、おじゃまする。」

ガチャッ。

「ジュンブライト……。」

なんだよ。

「……悲しんでいるのか?」

あたり前だろ?見ればわかるだろ?

「お前の悲しみはわかる。私だって、悲しいよ、親だったから。」

親父は、俺の方へ向かって歩きながら、言った。
そして、親父は俺をだきしめた。

「人はいずれ、死ぬ時もあるんだ。だから、その悲しみを乗り越えて、前へ進め。そしたら、また、新たな出会いが、来るはずだ。」

お……親父……。

「うわ~ん!」

俺は、子供のように、親父に泣きながら、だきついた。

「うわ~ん!」

「よしよし、そんなに泣くんじゃない。」

ゔ……ゔぅ……。


                               ☆

そして、現在。
へえー。そんなことがあったんだぁ。
ゔぅ、なんで感動する話なんでしょー!

「なんで泣くんだよぉ。」

だ、だって、感動するんだもん!こんな話をすると!

「ふっ、そうだな。」

ジュンブライトは、道華をだっこしたまま、スッと立ち上がった。

「親父の言う通り、前へ進めば、新しい出会いが来たから、今の俺は、ここにいる。」

ジュンブライト……。
そうだね。
おじいちゃんも、きっと、見守ってると思うよ、天国で。

「あぁ。そうだな。」

ジュンブライト、あなたに会えて、本当によかったよ。
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