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第十六話 「道華が産まれた日」

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5カ月後。私はテレビを観ていた。
 
「『今日はホワイトデーですねっ。』」
 
「『ということで、今回はホワイトデー特集ー!』」
 
ホワイトデー・・・・・・か。
私のお腹は、すいかより大きくなってる。
ズキン!
・・・・・・ゔ!な、なに?この痛さ、ハンパない。
生理より痛い・・・・・ヤバイ!
産まれて来そう・・・・・・あー!
さけんでいる場合じゃない!
私は大きな声で、旦那さんを呼んだ。
 
「ジュンブライト、ジュンブライト!」
 
私の声に気づいたジュンブライトは、急いで私のところにやって来た。
 
「おい!どうしたんだ?」
 
「じ・・・・・・陣痛が来たの。救急車を呼んで!早く!」
 
ジュンブライトはあわてて、電話をかけた。
 
「救急車をお願いします!俺の妻が・・・・・・俺の妻が、大変なんだ!ああ、妊婦なんだ。早くしねぇと、間に合わねぇ!・・・・・・わかった。」
 
ジュンブライトは、電話をきると、私のところに駆けつけた。
 
「もうすぐ来るから、おとなしくしろよ。」
 
うん・・・・・・。
 
「俺も、ついて行くから。」
 
ジュンブライトが、ニッと笑った。
ありがとう、ジュンブライト。
 
 

 
 
病院に運ばれた私は、分晩室に運ばれた。
 
「う、う~ん。」
 
「奥さん、頑張ってくださいっ!」
 
「う、う~ん。」
 
「あせ、ふきましょうか。」
 
一人の看護師さんが、あせをふいた。
 
「・・・・・・一つ、言ってもいいか?超~心配。」
 
「う、う~ん。」
 
「旦那さん、もしかして、心配性ですか?」
 
「ドクターに言われたくねぇよ!」
 
「う、う~ん。」
 
「心配だなぁ。」
 
「やっぱり、心配性なんですね。」
 
「やっかましいわ、ボケーッ!」
 
「頭が出ましたよ!」
 
「奥さん、ゆっくり!」
 
「もう少しですよ!」
 
「う、う~ん。」
 
「ホンギャー、ホンギャー!」
 
「!?」
 
「まぁ。な―んてかわいらしい女の子でしょーう。」
 
「奥さんにそっくり。」
 
ガラッ。
 
「おい!赤ちゃんは!?」
 
「とてもかわいい女の子が、産まれましたよ。」
 
「や・・・・・・やったぁ~!」
 
 

 
 
病室で、赤ちゃんを見つめていた。
かわいい。私にそっくり。
 
「お母さんでちゅよぉ~。お父さん、まだ来てないでちゅねぇ~。どうしたんだろうねぇ~。」
 
私が、赤ちゃんの小さな手をにぎりながら、つぶやいた、その時。
ガラッ。
 
「真莉亜!」
 
その声は・・・・・・。
 
「ジュンブライト!」
 
ジュンブライトが、私のところまで走った。
 
「赤ちゃんは、どこだ?」
 
赤ちゃんは、私のベッドのとなりの赤ちゃん用のベッドに寝てる。
 
「どれどれ?」
 
ジュンブライトが、赤ちゃん用のベッドをのぞいた。
 
「かっわいい~♡真莉亜にそっくりじゃねぇか!だっこしていいか?」
 
もっちろん、いいよ。
ジュンブライトは、笑顔で赤ちゃんをだっこした。
 
「俺と真莉亜の子供・・・・・・天使みてぇだなぁ。」
 
「う!」
 
赤ちゃんが、ジュンブライトの髪の毛を、強く引っ張った。
 
「こ、こら!お父さんの髪の毛を引っ張ったら、だめでちゅよぉ~♡」
 
うふふふふ。
 
「真莉亜、お前に渡したいものがある。」
 
渡したいもの?
ジュンブライトが、ポケットの中から、小さなふくろを取り出して、私に渡した。
これ、クッキー?
 
「売店で買って来たんだ。今日、ホワイトデーだろ?お前の病室に行く前に、売店に寄ったんだ。」
 
ありがとう。クッキー、あとで食べるよ。
ところでさ、なんにする?
 
「なにが?」
 
名前よ、名前。
 
「ああ~。俺、いろいろ考えたんだ。」
 
教えて、教えて!
 
「ナミ。」
 
『ОNEPICE』じゃん!もっといい名前、ないの?
 
「ニコ・ロビン。」
 
それも『ОNEPICE』だよっ!ほかは?
 
「ボア・ハンコック。」
 
もう、全部『ОNEPICE』じゃない!
 
「ブルマ。」
 
『ドラゴンボール』だよっ!
もう、あんたの頭ん中は、まんがのことしか考えてないんだからぁ!
 
「あ!もう一つ、考えたんだ!」
 
どうせ、まんがのキャラの名前でしょ?
 
「ちがう!今度は真剣に考えたんだ!」
 
んじゃあ、言って。なんていう名前なの?
 
「道華。」
 
道華・・・・・それ、かわいい~。
 
「だろ?歩んだ人生の道に、華を咲かせて欲しいから。」
 
それ、いい名前だね。
私は、道華をだっこした。
 
「よろしくね、道華。」
 
ようこそ、黒月家へ。
これから、一緒に頑張ろうね、道華。
 
 

 
 
ー現在ー
 
 
「どう?感動した?」
 
あたり前じゃない!
 
「道華の誕生日は、ホワイトデーなのかぁ。」
 
「うん!」
 
道華が笑顔でうなずいた。
 
「あのころの二人は、仲がよかったんだぁ。でも・・・・・・。」
 
道華の表情が、しゅんとなった。
 
「もしかして、10年後の真莉亜お姉ちゃんとジュンブライト様は、仲が悪くなったの!?」
 
アキちゃんとソラちゃんは、知らなかったね。
 
「ということは、離婚するの!?やったぁ~!」
 
アキちゃんが、うれしそうに飛び上がった。
 
「アキ!少しは空気を読みなさいっ!」
 
「・・・・・・はーい。」
 
 
「いいの。気にしないで。マドレーヌおばちゃん、一緒に遊ぼっ。」
 
「はい!」
 
道華とマドレーヌちゃんは、階段をのぼった。
私達は、道華の姿を、じっと見つめた。
道華・・・・・・。
 
 
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