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第二十一話 「ソアンさんの告白大作戦!(前編)」
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暑っ!なんなの?この暑さ、ハンパじゃない!
「お母さん、あせ、いっぱい出てるよ。」
そうだね。満月荘で、シャワー、借りてこよっかな?
私は、道華の手をつないで、満月荘に着いた。
そして、部屋のドアを開いた。
「おじゃましまーす。」
「よぉ、真莉亜、道華。」
「ジュンブライト、シャワーあびるから、のぞきはしないでね。」
「あぁ、わかった・・・・・・って、今、なんて言った。」
「シャワー、あびるから、のぞきはしないでね。」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
ジュンブライトは、蒸気機関車みたいに、鼻息をあらしながら、興奮して、部屋の中を走った。
「なに騒いでるの。」
「真莉亜のおっぱい、見てぇ~!よーし、のぞきをしてやろうじゃねぇか!」
だーめ!テレサさん、シャワー、お借りします。
「はいよ。」
私は、風呂場に向かって、風呂場のドアを閉めた。
「真っ莉亜のおっぱい見たい人、手を挙げてぇ~。は~い。」
「なにしてるんだい!真莉亜の入浴をじゃまするなんて、ゆるさないよ!」
「そ、そんなぁ~。」
☆
シャー。
気持ちいい~。
こんなに気持ちいいお風呂に入れるなんて、しあわせ~。
私は、シャワーを止めて、お風呂に入ろうとした。
ピカーッ!
ん?今、鏡が光った?
なに?なに?
ドサッ!
な、な、な、なんか、鏡の中から出て来たよね?
「う、う~ん。」
男の人の声だ!
こっちに近づいて来る!
「き、霧がじゃまで、前が見えな~い。」
ちょっと!こっちに来ないでください!
「こ・・・・・・ここはどこだぁ?」
ヤ・・・・・・ヤバイ・・・・・・手が、『お』から始まる体の部分まで来てる!
「う、う~ん。」
ムニュ・・・・・・。
「あ・・・・・・。」
「あ・・・・・・。」
私と男の人は、顔を見合わせた。
「キャャャャャア!」
私は、大きな声で悲鳴を上げて、洗面器を持って、男の人の頭をたたいた。
この、変態、エッチ、ド変態!
「ご・・・・・・ごめんなさ~い!」
謝ってもムダです!
ガラッ。
「真莉亜!どうしたんだ!」
ジュンブライトの声が、風呂場にこだました。
ジュンブライト!あのね、この人が、私の胸を、両手でさわったの!
プシューッ!
ジュンブライトが、大量の鼻血を出して、ばたりとたおれた。
「うわぁぁぁぁぁ!先輩が、大量の鼻血を出した―っ!」
「真莉亜のヌード♡真莉亜のおっぱ~い♡サイコ~♡」
だまれ!この、変態王子―っ!
「うわぁぁぁぁぁ!真莉亜ちゃん、それ以上、先輩をなぐったらだめ―っ!」
「ギロ、静かにして。」
「ったく、誰だい!真莉亜の胸をさわったやつは!」
テレサさんは、怒りながら、男の人に近づくと、顔をきょとんとした。
「あんた、ソアンじゃないか!」
ソアンさん?
私が、後ろを振り向くと・・・・・・。
あぁっ!ソアンさんが、傷を負って、たおれてる!
ソアンさんとは知らずに、暴力をふるってしまった・・・・・・。
「いでででで・・・・・・。」
ソアンさんが、手を腰に当てながら、立ち上がろうとした。
「無理矢理立ったらだめですよ!」
ギロさんが、ソアンさんのところにかけよった。
「あんた、誰?」
☆
ギロさんは、ソアンさんを手当てしていた。
「君、すごいなぁ。おかげで痛いのが治ったよ。」
「いえいえ、どういたしまして。」
ソアンさん、ごめんなさい。こんなこと、してしまって。
私は、ソアンさんに向かって、謝った。
「いいよ。気にしなくて。」
「ソアン様、久しぶりですねぇ。元気にしてましたか?」
ルクトさんが、コーヒーを持って来た。
「はい。ジュンブライト、真莉亜ちゃんと仲良くやってるか?」
「ソアン!」
ジュンブライトが、ソアンさんの胸ぐらを引っ張った。
「な、なんだよ!」
「てめぇ、真莉亜のおっぱいをさわるなんて、うらやましいぞ!」
そこかっ。
「わざとさわってねぇよ。」
ジュンブライトは、ソアンさんの胸ぐらを引っ張るのをやめた。
「ところで、この子、誰なんだ?」
ソアンさんが、道華の方を指さした。
「俺と真莉亜の子供。」
「未来から来たの。」
「え~!?」
ソアンさんは、大きな声で驚いた。
「未来から来たなんて、ありえねぇ。」
「黒月道華っていうの。よろしくね。」
道華は、ソアンさんの方に向けて、にこっと笑った。
「ところでソアンお兄様、どうしてここに来たんですか?」
ソアンさんは、急に真剣な顔になった。
「その質問をまっていた。実は俺、二人に相談をしに来たんだ。」
「あたし達に?」
ソアンさんは、うんっとうなずいた。
「その相談っていうのは、俺、子供のころから、好きな人がいるんだ。」
好きな人!?一体、誰!?
「あー!わかった!工藤静香だろ?」
工藤静香?誰それ。
「元おニャン子クラブのメンバーよ。」
おニャン子クラブ?
「猫がいっぱいいるアイドルグループ!?」
「ちがうわ。」
「お前、工藤静香が大好きだったなぁ。」
「あぁ、CDなんか、いっぱい持ってたぜ・・・・・・って、ちがうわ!」
「んじゃあ、板野友美か?」
「ともちんのポスター、いっぱい持ってるぜ・・・・・・って、ちがーう!」
「んじゃあ、初音ミクか?」
「俺達の時代には、そんなアイドルは、いなかっただろーが!」
誰なんですか?
「もしかして、前田敦子か?」
「お前はだまってろ!」
「・・・・・・。」
ジュンブライトは、そのままだまりこんだ。
ソアンさんは、気を取り直して、顔を真っ赤にそめて、体をもじもじさせた。
「・・・・・・リナンだ。」
「えぇ~!?」
「リナン?」
「誰それ。」
「どんな人?」
「さぁ。」
あ、道華と、アキちゃんと、ソラちゃんと、ギロさんは、知らなかったね。
「リナンは、ジュンブライトと、テレサと、ソアンの幼なじみで、読書好きなの。」
どうして、リナンさんを好きになったんですか?
「長い話になると思うけど・・・・・・。」
28年前、ジュンブライトと、テレサさんと、ソアンさんと、アクアさんと、ジャンさんが、幼稚園が終わって、家に帰ろうとしていると、リナンさんが、一人でしくしく泣いていた。
「どうしたの?リナン。」
「泣いてばっかりじゃ、わからないよ。」
「ひくっ、ひくっ、実はね、お母さんから買ってもらった、ハートのヘアピンを、なくしたの。」
「それ、大切なもんなのか?」
「あったり前だろ!?リナン、なくしたものは、しょうがないよ。また、買ってもらおうよ。」
「いやだ、いやだぁ!」
「私のヘアピン、あげよっか?」
「あのヘアピンじゃなきゃ、いやだぁ!」
「・・・・・・探そう。」
「え?」
「みんなでヘアピンを探そう!」
「ソアンくん・・・・・・。」
「そうだな。」
「じゃあ、私ぃ、ジュンくんとぉ、一緒に探すぅ♡」
「くっつくなっ!」
それから一時間、ヘアピンは、なかなか見つからず、夕方になってしまった。
「リナン、ごめん。見つけられなくて。また今度、探そっ。」
「家に帰って、手を洗って、うがいして、おやつ食べて、録画した、『電撃戦隊チェンジマン』を観ーよおっ。」
「ジュンく~ん♡一緒に帰ろっ。」
「だから、くっつくなって!」
「リナン、帰ろう。」
「私、ヘアピンが見つかるまで帰らない!」
「・・・・・・わかった。」
「リナン・・・・・・。」
あきらめるのが大っ嫌いなソアンさんは、リナンさんのために、夜まで探し続けた。そして・・・・・・。
「あ、あった!お~い、リナ~ン!ヘアピン、あったよぉ~!」
「本当!?」
「ほら。」
「うわぁ、ありがとう、ソアンくん!」
あまりのうれしさに、リナンさんは、ソアンさんにだきついた。
「あ・・・・・・あぁ。」
「リナ~ン。」
「ソア~ン。」
「あ、お母さんだ!」
「もう、こんなにおそくまで、お外にいたら、だめよ。」
「うん!あのね、お母さん。ソアンくんがね、私のヘアピンを、見つけてくれたの!」
「ありがとうって、言った?」
「うん!」
「ソアン、ソアン、ソアン!」
「あ・・・・・・。」
「もう、なにボーとしてるの!今日の夜ご飯は、あなたが大好きな、ムカデのグラタンよ。」
「はーい。」
そこから、ソアンさんは、リナンさんのことが、好きになったと言う。
「そういうことかぁ。」
「ジャンは知っているんだね。」
ソアンさんは、うんっとうなずいた。
「けど、一つ問題があるんだ。」
問題?
「どんな問題なんですか?」
「アンクさんは、リナンを溺愛してるんだ。」
アンクさんって、リナンさんとジャンさんのおじいさんで、発明家だったよね。
「溺愛してるくらい、問題ねぇじゃないか。」
「確かに。」
「そこが、問題なんだよぉ!アンクさんは、リナンを、ほかの男には、渡したくないんだよぉ!」
「えぇ~!?」
私達は、驚いた。
「そんなの、あきらめればいいじゃない。」
アキちゃん!
「なに言ってるの!」
「だってぇ、男の人ってぇ、自分の娘や孫娘を、お嫁に行かせたくないんじゃない?」
「あぁ、確かに。」
納得するなっ。
「でしょ~?ジュンブライト様が、あたしの意見を、賛成してくれた♡」
「アキちゃん、俺は、反対するよ。」
「なんで!?」
ソアンさんは、ぎゅっと、拳をにぎりしめた。
「だって、想い続けた28年間を、ここで終わらせたくないから。」
ソアンさん・・・・・・。
「私、いいこと考えた。」
なにを考えたの?
紅葉は、ソアンさんの方に、顔を向けた。
「ソアン、リナンとデートすれば、いいんじゃない?」
「え~!?」
ソアンさんは、顔を真っ赤にして、驚いた。
「それ、いい考えですね!」
「でしょ?デートが終わったあと、リナンに告白するのよ!」
さっすが、私の大親友!
「無理だよぉ~。俺、デート、したことないし~。」
「ソアン!これは、大チャンスだよっ!」
「そうだよ!告白して、ОKもらおうよっ!」
道華とソラちゃんが、ソアンさんを説得した。
「道華ちゃん、ソラちゃん・・・・・・わかった。やるよ。」
ソアンさん、がんばってください!私、応援しますから!
「リナさんを、彼女にしましょう!」
「ギロ、リナじゃなくて、リナンだ。『ン』をつけろ、『ン』を。」
「早速、リナンに連絡しなくちゃね。」
「俺がする。」
ジュンブライトは、スマホを取り出して、リナンさんに、連絡した。
「人間界とヴァンパイア界って、電波、つながってるの?」
「あたり前だろ。」
出た。流行語ノミネート大賞予定の言葉。
「あ、もしもし?リナンか?久しぶりだなぁ。明日、ソアンが、お前と出かけたいって、言い出したんだよぉ。うん、うん。わかった。じゃあな。」
ジュンブライトは、電話を切って、ソアンさんの方を振り向いた。
「どうだった?」
ジュンブライトは、ニッと笑って、大きく手を、まるの形にした。
「明日、来るって!」
「や・・・・・・やったぁ!」
ソアンさんは、子供みたいに、はしゃいだ。
明日が、楽しみだなぁ。
☆
そして、とうとうその日がやって来た。
菜の花広場のふん水前では、ソアンさんが、顔を真っ赤にして、リナンさんを待っていた。
私達は、ふん水の陰に隠れて、ソアンさんを見守る。
緊張するなぁ~。
「ソアンく~ん!」
その声は・・・・・・・。
「リナン!」
「おそくなってごめ~ん。さぁ、どこに行く?」
「えっ・・・・・・えっとぉ・・・・・・。」
ソアンさん、がんばれ!
ソアンさんは、ポケットの中からスマホを取り出して、ジュンブライトに、『LINE』をした。
ピロロロロロ。
送って来たみたいだね。
ジュンブライトは、ポケットの中からスマホを取り出して、顔をのぞきこんだ。
「『なんて言えばいいんだ?』」
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ。
打つの、早っ!
ピロロロロロ。
「来た!」
ソアンさんは、スマホに目を向けた。
「『飯、食いてぇ~。』」
「・・・・・・。」
ちゃんとアドバイスになってないじゃない!
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ。
ピロロロロロ。
ソアンさんはまた、スマホに目を向けた。
「『ナポリタン、食いてぇ~。ファミレス、行こうぜ~。』」
「・・・・・・!」
「どうしたの?」
「い、いや、なんでもない!」
「ソアンのデートを、じゃますんなぁ!」
テレサさんが、ジュンブライトをなぐった。
「だってぇ、本当に空いたんだも~ん。」
「これは、あんたのためにやってんじゃないよ!」
「もっと、真剣に考えなくちゃ。」
「はーい。」
「んじゃあ、ファミレスに行こうか。」
ソアンさん、すみません。うちの彼氏の思い通りにさせちゃって。
「うん!私、サンドウィッチセットが食べたい!」
「じゃあ、俺はオムライスセットで。」
「オムライスセット!?」
ギロさん!そこで反応しないでください!
「え?」
リナンさんが、ふん水の方を振り向いた。
わわわ!バレちゃう!
「どうした?」
「今、声が聞こえなかった?」
「空耳だろ。」
二人はしゃべりながら、菜の花広場を出た。
「あとをつきましょう!」
え!?
「真莉亜お姉様!モタモタしないで、早く行きましょう!」
マドレーヌちゃんが、私の手を引っ張った。
「ナポリタン、早く食いてぇ~。」
お前はそれが目的で行くんかいっ!
「オムライスセット~♪」
ギロさんまで!
「ったく、世話がやけるやつらだねぇ。」
「お母さん、ステーキ食べたーい。」
これは、ただのお出かけじゃないよ。ソアンさんのためにやってるんだから。
「知ってるよ。」
知ってるなら言うなぁ!
「お子様ランチ、食べたーい。」
「あと、ホットケーキも。」
「あんた達、遊びに来ているんじゃないんだから。じゅるるるる・・・・・・。」
クリスさん!よだれ、出てますよ!
「真莉亜、うるさいわよ。」
「うふふふふ。なんか、楽しそうなことになるわね。」
リリアさん!笑わないでください!
「ぐふふふふ・・・・・・。」
☆
「お母さん、あせ、いっぱい出てるよ。」
そうだね。満月荘で、シャワー、借りてこよっかな?
私は、道華の手をつないで、満月荘に着いた。
そして、部屋のドアを開いた。
「おじゃましまーす。」
「よぉ、真莉亜、道華。」
「ジュンブライト、シャワーあびるから、のぞきはしないでね。」
「あぁ、わかった・・・・・・って、今、なんて言った。」
「シャワー、あびるから、のぞきはしないでね。」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
ジュンブライトは、蒸気機関車みたいに、鼻息をあらしながら、興奮して、部屋の中を走った。
「なに騒いでるの。」
「真莉亜のおっぱい、見てぇ~!よーし、のぞきをしてやろうじゃねぇか!」
だーめ!テレサさん、シャワー、お借りします。
「はいよ。」
私は、風呂場に向かって、風呂場のドアを閉めた。
「真っ莉亜のおっぱい見たい人、手を挙げてぇ~。は~い。」
「なにしてるんだい!真莉亜の入浴をじゃまするなんて、ゆるさないよ!」
「そ、そんなぁ~。」
☆
シャー。
気持ちいい~。
こんなに気持ちいいお風呂に入れるなんて、しあわせ~。
私は、シャワーを止めて、お風呂に入ろうとした。
ピカーッ!
ん?今、鏡が光った?
なに?なに?
ドサッ!
な、な、な、なんか、鏡の中から出て来たよね?
「う、う~ん。」
男の人の声だ!
こっちに近づいて来る!
「き、霧がじゃまで、前が見えな~い。」
ちょっと!こっちに来ないでください!
「こ・・・・・・ここはどこだぁ?」
ヤ・・・・・・ヤバイ・・・・・・手が、『お』から始まる体の部分まで来てる!
「う、う~ん。」
ムニュ・・・・・・。
「あ・・・・・・。」
「あ・・・・・・。」
私と男の人は、顔を見合わせた。
「キャャャャャア!」
私は、大きな声で悲鳴を上げて、洗面器を持って、男の人の頭をたたいた。
この、変態、エッチ、ド変態!
「ご・・・・・・ごめんなさ~い!」
謝ってもムダです!
ガラッ。
「真莉亜!どうしたんだ!」
ジュンブライトの声が、風呂場にこだました。
ジュンブライト!あのね、この人が、私の胸を、両手でさわったの!
プシューッ!
ジュンブライトが、大量の鼻血を出して、ばたりとたおれた。
「うわぁぁぁぁぁ!先輩が、大量の鼻血を出した―っ!」
「真莉亜のヌード♡真莉亜のおっぱ~い♡サイコ~♡」
だまれ!この、変態王子―っ!
「うわぁぁぁぁぁ!真莉亜ちゃん、それ以上、先輩をなぐったらだめ―っ!」
「ギロ、静かにして。」
「ったく、誰だい!真莉亜の胸をさわったやつは!」
テレサさんは、怒りながら、男の人に近づくと、顔をきょとんとした。
「あんた、ソアンじゃないか!」
ソアンさん?
私が、後ろを振り向くと・・・・・・。
あぁっ!ソアンさんが、傷を負って、たおれてる!
ソアンさんとは知らずに、暴力をふるってしまった・・・・・・。
「いでででで・・・・・・。」
ソアンさんが、手を腰に当てながら、立ち上がろうとした。
「無理矢理立ったらだめですよ!」
ギロさんが、ソアンさんのところにかけよった。
「あんた、誰?」
☆
ギロさんは、ソアンさんを手当てしていた。
「君、すごいなぁ。おかげで痛いのが治ったよ。」
「いえいえ、どういたしまして。」
ソアンさん、ごめんなさい。こんなこと、してしまって。
私は、ソアンさんに向かって、謝った。
「いいよ。気にしなくて。」
「ソアン様、久しぶりですねぇ。元気にしてましたか?」
ルクトさんが、コーヒーを持って来た。
「はい。ジュンブライト、真莉亜ちゃんと仲良くやってるか?」
「ソアン!」
ジュンブライトが、ソアンさんの胸ぐらを引っ張った。
「な、なんだよ!」
「てめぇ、真莉亜のおっぱいをさわるなんて、うらやましいぞ!」
そこかっ。
「わざとさわってねぇよ。」
ジュンブライトは、ソアンさんの胸ぐらを引っ張るのをやめた。
「ところで、この子、誰なんだ?」
ソアンさんが、道華の方を指さした。
「俺と真莉亜の子供。」
「未来から来たの。」
「え~!?」
ソアンさんは、大きな声で驚いた。
「未来から来たなんて、ありえねぇ。」
「黒月道華っていうの。よろしくね。」
道華は、ソアンさんの方に向けて、にこっと笑った。
「ところでソアンお兄様、どうしてここに来たんですか?」
ソアンさんは、急に真剣な顔になった。
「その質問をまっていた。実は俺、二人に相談をしに来たんだ。」
「あたし達に?」
ソアンさんは、うんっとうなずいた。
「その相談っていうのは、俺、子供のころから、好きな人がいるんだ。」
好きな人!?一体、誰!?
「あー!わかった!工藤静香だろ?」
工藤静香?誰それ。
「元おニャン子クラブのメンバーよ。」
おニャン子クラブ?
「猫がいっぱいいるアイドルグループ!?」
「ちがうわ。」
「お前、工藤静香が大好きだったなぁ。」
「あぁ、CDなんか、いっぱい持ってたぜ・・・・・・って、ちがうわ!」
「んじゃあ、板野友美か?」
「ともちんのポスター、いっぱい持ってるぜ・・・・・・って、ちがーう!」
「んじゃあ、初音ミクか?」
「俺達の時代には、そんなアイドルは、いなかっただろーが!」
誰なんですか?
「もしかして、前田敦子か?」
「お前はだまってろ!」
「・・・・・・。」
ジュンブライトは、そのままだまりこんだ。
ソアンさんは、気を取り直して、顔を真っ赤にそめて、体をもじもじさせた。
「・・・・・・リナンだ。」
「えぇ~!?」
「リナン?」
「誰それ。」
「どんな人?」
「さぁ。」
あ、道華と、アキちゃんと、ソラちゃんと、ギロさんは、知らなかったね。
「リナンは、ジュンブライトと、テレサと、ソアンの幼なじみで、読書好きなの。」
どうして、リナンさんを好きになったんですか?
「長い話になると思うけど・・・・・・。」
28年前、ジュンブライトと、テレサさんと、ソアンさんと、アクアさんと、ジャンさんが、幼稚園が終わって、家に帰ろうとしていると、リナンさんが、一人でしくしく泣いていた。
「どうしたの?リナン。」
「泣いてばっかりじゃ、わからないよ。」
「ひくっ、ひくっ、実はね、お母さんから買ってもらった、ハートのヘアピンを、なくしたの。」
「それ、大切なもんなのか?」
「あったり前だろ!?リナン、なくしたものは、しょうがないよ。また、買ってもらおうよ。」
「いやだ、いやだぁ!」
「私のヘアピン、あげよっか?」
「あのヘアピンじゃなきゃ、いやだぁ!」
「・・・・・・探そう。」
「え?」
「みんなでヘアピンを探そう!」
「ソアンくん・・・・・・。」
「そうだな。」
「じゃあ、私ぃ、ジュンくんとぉ、一緒に探すぅ♡」
「くっつくなっ!」
それから一時間、ヘアピンは、なかなか見つからず、夕方になってしまった。
「リナン、ごめん。見つけられなくて。また今度、探そっ。」
「家に帰って、手を洗って、うがいして、おやつ食べて、録画した、『電撃戦隊チェンジマン』を観ーよおっ。」
「ジュンく~ん♡一緒に帰ろっ。」
「だから、くっつくなって!」
「リナン、帰ろう。」
「私、ヘアピンが見つかるまで帰らない!」
「・・・・・・わかった。」
「リナン・・・・・・。」
あきらめるのが大っ嫌いなソアンさんは、リナンさんのために、夜まで探し続けた。そして・・・・・・。
「あ、あった!お~い、リナ~ン!ヘアピン、あったよぉ~!」
「本当!?」
「ほら。」
「うわぁ、ありがとう、ソアンくん!」
あまりのうれしさに、リナンさんは、ソアンさんにだきついた。
「あ・・・・・・あぁ。」
「リナ~ン。」
「ソア~ン。」
「あ、お母さんだ!」
「もう、こんなにおそくまで、お外にいたら、だめよ。」
「うん!あのね、お母さん。ソアンくんがね、私のヘアピンを、見つけてくれたの!」
「ありがとうって、言った?」
「うん!」
「ソアン、ソアン、ソアン!」
「あ・・・・・・。」
「もう、なにボーとしてるの!今日の夜ご飯は、あなたが大好きな、ムカデのグラタンよ。」
「はーい。」
そこから、ソアンさんは、リナンさんのことが、好きになったと言う。
「そういうことかぁ。」
「ジャンは知っているんだね。」
ソアンさんは、うんっとうなずいた。
「けど、一つ問題があるんだ。」
問題?
「どんな問題なんですか?」
「アンクさんは、リナンを溺愛してるんだ。」
アンクさんって、リナンさんとジャンさんのおじいさんで、発明家だったよね。
「溺愛してるくらい、問題ねぇじゃないか。」
「確かに。」
「そこが、問題なんだよぉ!アンクさんは、リナンを、ほかの男には、渡したくないんだよぉ!」
「えぇ~!?」
私達は、驚いた。
「そんなの、あきらめればいいじゃない。」
アキちゃん!
「なに言ってるの!」
「だってぇ、男の人ってぇ、自分の娘や孫娘を、お嫁に行かせたくないんじゃない?」
「あぁ、確かに。」
納得するなっ。
「でしょ~?ジュンブライト様が、あたしの意見を、賛成してくれた♡」
「アキちゃん、俺は、反対するよ。」
「なんで!?」
ソアンさんは、ぎゅっと、拳をにぎりしめた。
「だって、想い続けた28年間を、ここで終わらせたくないから。」
ソアンさん・・・・・・。
「私、いいこと考えた。」
なにを考えたの?
紅葉は、ソアンさんの方に、顔を向けた。
「ソアン、リナンとデートすれば、いいんじゃない?」
「え~!?」
ソアンさんは、顔を真っ赤にして、驚いた。
「それ、いい考えですね!」
「でしょ?デートが終わったあと、リナンに告白するのよ!」
さっすが、私の大親友!
「無理だよぉ~。俺、デート、したことないし~。」
「ソアン!これは、大チャンスだよっ!」
「そうだよ!告白して、ОKもらおうよっ!」
道華とソラちゃんが、ソアンさんを説得した。
「道華ちゃん、ソラちゃん・・・・・・わかった。やるよ。」
ソアンさん、がんばってください!私、応援しますから!
「リナさんを、彼女にしましょう!」
「ギロ、リナじゃなくて、リナンだ。『ン』をつけろ、『ン』を。」
「早速、リナンに連絡しなくちゃね。」
「俺がする。」
ジュンブライトは、スマホを取り出して、リナンさんに、連絡した。
「人間界とヴァンパイア界って、電波、つながってるの?」
「あたり前だろ。」
出た。流行語ノミネート大賞予定の言葉。
「あ、もしもし?リナンか?久しぶりだなぁ。明日、ソアンが、お前と出かけたいって、言い出したんだよぉ。うん、うん。わかった。じゃあな。」
ジュンブライトは、電話を切って、ソアンさんの方を振り向いた。
「どうだった?」
ジュンブライトは、ニッと笑って、大きく手を、まるの形にした。
「明日、来るって!」
「や・・・・・・やったぁ!」
ソアンさんは、子供みたいに、はしゃいだ。
明日が、楽しみだなぁ。
☆
そして、とうとうその日がやって来た。
菜の花広場のふん水前では、ソアンさんが、顔を真っ赤にして、リナンさんを待っていた。
私達は、ふん水の陰に隠れて、ソアンさんを見守る。
緊張するなぁ~。
「ソアンく~ん!」
その声は・・・・・・・。
「リナン!」
「おそくなってごめ~ん。さぁ、どこに行く?」
「えっ・・・・・・えっとぉ・・・・・・。」
ソアンさん、がんばれ!
ソアンさんは、ポケットの中からスマホを取り出して、ジュンブライトに、『LINE』をした。
ピロロロロロ。
送って来たみたいだね。
ジュンブライトは、ポケットの中からスマホを取り出して、顔をのぞきこんだ。
「『なんて言えばいいんだ?』」
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ。
打つの、早っ!
ピロロロロロ。
「来た!」
ソアンさんは、スマホに目を向けた。
「『飯、食いてぇ~。』」
「・・・・・・。」
ちゃんとアドバイスになってないじゃない!
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ。
ピロロロロロ。
ソアンさんはまた、スマホに目を向けた。
「『ナポリタン、食いてぇ~。ファミレス、行こうぜ~。』」
「・・・・・・!」
「どうしたの?」
「い、いや、なんでもない!」
「ソアンのデートを、じゃますんなぁ!」
テレサさんが、ジュンブライトをなぐった。
「だってぇ、本当に空いたんだも~ん。」
「これは、あんたのためにやってんじゃないよ!」
「もっと、真剣に考えなくちゃ。」
「はーい。」
「んじゃあ、ファミレスに行こうか。」
ソアンさん、すみません。うちの彼氏の思い通りにさせちゃって。
「うん!私、サンドウィッチセットが食べたい!」
「じゃあ、俺はオムライスセットで。」
「オムライスセット!?」
ギロさん!そこで反応しないでください!
「え?」
リナンさんが、ふん水の方を振り向いた。
わわわ!バレちゃう!
「どうした?」
「今、声が聞こえなかった?」
「空耳だろ。」
二人はしゃべりながら、菜の花広場を出た。
「あとをつきましょう!」
え!?
「真莉亜お姉様!モタモタしないで、早く行きましょう!」
マドレーヌちゃんが、私の手を引っ張った。
「ナポリタン、早く食いてぇ~。」
お前はそれが目的で行くんかいっ!
「オムライスセット~♪」
ギロさんまで!
「ったく、世話がやけるやつらだねぇ。」
「お母さん、ステーキ食べたーい。」
これは、ただのお出かけじゃないよ。ソアンさんのためにやってるんだから。
「知ってるよ。」
知ってるなら言うなぁ!
「お子様ランチ、食べたーい。」
「あと、ホットケーキも。」
「あんた達、遊びに来ているんじゃないんだから。じゅるるるる・・・・・・。」
クリスさん!よだれ、出てますよ!
「真莉亜、うるさいわよ。」
「うふふふふ。なんか、楽しそうなことになるわね。」
リリアさん!笑わないでください!
「ぐふふふふ・・・・・・。」
☆
0
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