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第四十九話 「ウルフ一郎さんとウル子ちゃん」
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「ウル子ちゃ―ん、ウル子ちゃ―ん!」
「どこにいるのぉ?」
「返事をしてくれぇ。」
「ウル子様ぁ。」
「ウル子~。」
「お願いだから、返事してぇ~。」
「ウル子~。」
「ウル子ちゃ~ん。」
「お―い、ウル子ぉ~。」
「ウル子~。」
「あたしと一緒に帰ろう。」
「返事をしてくれないかぁ?」
「ウル子ぉ、ウル子ぉ~。」
返事は全くなし。
ウル子ちゃん、本当にどこに行ったんだろ。
ガサガサッ。
ん?なにか音がしなかった?
「全然。」
「聞こえないけど。」
ガサッ。
うわ!草むらの中からなにか出てきた!
ん?あの、子供のオオカミは・・・・・・。
「ウル子ちゃん!」
「みんなぁ、ウル子ちゃん、見つけたよぉ。」
「本当か!?」
みんなが私のところへ駆けつけた。
「ウル子!心配してたんだぞ!さぁ、一緒に帰るぞ!」
ところが、ウル子ちゃんは、小さく首を振った。
「どうしたんだ。早く帰るぞ。」
「クゥ~。」
ガサッ。
うわ!今度はなに!?
ん?ウル子ちゃんよりでかい、黒いオオカミさんはまさか、ウル子ちゃんの本当のお母さん!?
「クゥ~、クゥ~、クゥ~。」
なに言ってるのか、全然わからない・・・・・・。
「私が訳するわ。」
リリアさん、お願いしますっ。
「クゥ~、クゥ~、クゥ~。」
「遊んでる間、オオカミ喉覚えが聞こえて、まさかと思って、森へ行ったんですって。そしたら、自分のお母さんがいたってわけ。」
よかったね、ウル子ちゃん。
「クゥ!」
うふふふふ。
すると、ウル子ちゃんのお母さんが、私達の前に出た。
「ヴ~、ヴ~、ヴ~。」
「娘がお世話になりました。これからは、家族二人で、どんなにつらい壁にも、乗り越えて行きますって。」
うんうん。がんばってね、ウル子ちゃん、ウル子ちゃんのお母さん。
「クゥ!」
「ヴ~。」
二匹が帰ろうとした、その時。
「まて!」
ウルフ一郎さんが呼び止めると、二匹は後ろを振り向いた。
「ウル子・・・・・・元気でな。」
「クゥ~!」
「かぜ、ひくんじゃないぞ!」
「クゥ~!」
「・・・・・・最後だけ言わせてくれ。俺様はいつでも、お前のお父さんだ。」
「クゥ・・・・・・。」
「ヴゥ。」
「クゥ~。」
「ウル子・・・・・・。」
「『じゃあね、お父さん。』」
「!?」
ウル子ちゃんとウル子ちゃんのお母さんは、後ろを向いて、自分達のすみかに戻っちゃった。
ポタポタポタ・・・・・・。
「ん?」
ジュンブライトが、ウルフ一郎さんの顔をのぞきこんだ。
「お前、泣いているのか?」
「・・・・・・バカヤロー!こんなみっともねぇ別れで、男が泣くかよ!」
ウルフ一郎さんの顔が、涙と鼻水でくしゃくしゃになっていた。
あんなに泣くウルフ一郎さんの顔、初めて見た・・・・・・。
☆
満月荘に戻って来て、とんでもない物が届いて来た。
なんと、さつまいもが20個!誰からって言っても、わかるよね?
そう、ウル子ちゃんとウル子ちゃんのお母さん。
ウル子ちゃんのお母さんが、ウル子ちゃんを今までめんどうを見てくれたお礼に、くれたんだ。
しかも、人の畑から盗んださつまいも・・・・・・。
これじゃあ、ありがたいけど、盗んださつまいもは、ちょっとぉ・・・・・・。
「いいじゃねぇか、真莉亜。」
「せっかくもらった食べ物だ。ふかしいもにして、さつまいもパーティーをしよう。」
「やったぁ~!」
はぁ~。あとで畑の人が来ても、知りませんよぉ。
あれっ?一人、足りないような・・・・・・。
「ウルフ一郎さんは?」
「そういえば、いないねぇ。」
「あいつ、ちょっくら散歩に行って来るって、言ってたぞ。」
「えっ!?こんなに暗いのに!?」
「きっと、ウル子と別れて、悲しんでんじゃない?」
そうですよねぇ。
「ギロ、ウルフ一郎を連れ戻しておいで。」
「はい!」
ギロさんは、玄関に行って、くつをはいて、満月荘を出た。
☆
「お~い、ウルフいちろ~う。どこにいるんだぁ~?返事をしてくれぇ~。」
「みんなでさつまいもパーティーするから、一緒に帰ろ~う。」
「ウルフ一郎、ウルフいちろ~う。」
「・・・・・・返事しねぇなぁ。ん!?」
「あの、黒いオオカミは・・・・・・。」
「ウルフ一郎!」
「ワン!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!ウルフ一郎が、犬になってるぅ~!」
「そいつはただの野良犬だ!」
「あ、どうもすみません。」
「クゥン。」
「ったく、お前の天然パワーには、程がある。」
カチッ。
「フ―。」
「ウルフ一郎、早く帰ろう。みんながまっている。」
「・・・・・・なぁ、ギロ。俺様の話、聞いてくれるか?」
「あぁ。さっさと終わらせてくれ。」
「・・・・・・実は俺様、好きな人がいるんだ。」
「どーせ、真莉亜ちゃんだろ?さ、早く帰ろう。」
「いや、真莉亜ちゃんもそうだけど、ちがう人なんだ!」
「じゃあ、早く教えてくれ。」
「・・・・・・ネルだ。」
「へぇ―。なんだ、ネルちゃんかぁ。へぇ―。・・・・・・って。」
「え~!?ネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネルちゃ~ん!?」
「しっ!大きな声出すなっ!驚きすぎだろ!」
「ごめん・・・・・・。でも、ネルちゃんは、先輩のことが・・・・・・。」
「あぁ、知ってる。片想いでも、あいつのことが、好きなんだ!」
「お前、二股だな。」
「あぁ。ギロ、お願いだ!このことは、秘密にしといてくれ!」
「わ、わかったから、秘密にしておくよ。」
「絶っっっっっっ対にだろ―な!?」
「あぁ。」
「お前、天然だから、すぐみんなにバラしそう。」
「みんなにはバラさないから、安心して!」
「・・・・・・よし、帰るか。」
「おう。」
「どこにいるのぉ?」
「返事をしてくれぇ。」
「ウル子様ぁ。」
「ウル子~。」
「お願いだから、返事してぇ~。」
「ウル子~。」
「ウル子ちゃ~ん。」
「お―い、ウル子ぉ~。」
「ウル子~。」
「あたしと一緒に帰ろう。」
「返事をしてくれないかぁ?」
「ウル子ぉ、ウル子ぉ~。」
返事は全くなし。
ウル子ちゃん、本当にどこに行ったんだろ。
ガサガサッ。
ん?なにか音がしなかった?
「全然。」
「聞こえないけど。」
ガサッ。
うわ!草むらの中からなにか出てきた!
ん?あの、子供のオオカミは・・・・・・。
「ウル子ちゃん!」
「みんなぁ、ウル子ちゃん、見つけたよぉ。」
「本当か!?」
みんなが私のところへ駆けつけた。
「ウル子!心配してたんだぞ!さぁ、一緒に帰るぞ!」
ところが、ウル子ちゃんは、小さく首を振った。
「どうしたんだ。早く帰るぞ。」
「クゥ~。」
ガサッ。
うわ!今度はなに!?
ん?ウル子ちゃんよりでかい、黒いオオカミさんはまさか、ウル子ちゃんの本当のお母さん!?
「クゥ~、クゥ~、クゥ~。」
なに言ってるのか、全然わからない・・・・・・。
「私が訳するわ。」
リリアさん、お願いしますっ。
「クゥ~、クゥ~、クゥ~。」
「遊んでる間、オオカミ喉覚えが聞こえて、まさかと思って、森へ行ったんですって。そしたら、自分のお母さんがいたってわけ。」
よかったね、ウル子ちゃん。
「クゥ!」
うふふふふ。
すると、ウル子ちゃんのお母さんが、私達の前に出た。
「ヴ~、ヴ~、ヴ~。」
「娘がお世話になりました。これからは、家族二人で、どんなにつらい壁にも、乗り越えて行きますって。」
うんうん。がんばってね、ウル子ちゃん、ウル子ちゃんのお母さん。
「クゥ!」
「ヴ~。」
二匹が帰ろうとした、その時。
「まて!」
ウルフ一郎さんが呼び止めると、二匹は後ろを振り向いた。
「ウル子・・・・・・元気でな。」
「クゥ~!」
「かぜ、ひくんじゃないぞ!」
「クゥ~!」
「・・・・・・最後だけ言わせてくれ。俺様はいつでも、お前のお父さんだ。」
「クゥ・・・・・・。」
「ヴゥ。」
「クゥ~。」
「ウル子・・・・・・。」
「『じゃあね、お父さん。』」
「!?」
ウル子ちゃんとウル子ちゃんのお母さんは、後ろを向いて、自分達のすみかに戻っちゃった。
ポタポタポタ・・・・・・。
「ん?」
ジュンブライトが、ウルフ一郎さんの顔をのぞきこんだ。
「お前、泣いているのか?」
「・・・・・・バカヤロー!こんなみっともねぇ別れで、男が泣くかよ!」
ウルフ一郎さんの顔が、涙と鼻水でくしゃくしゃになっていた。
あんなに泣くウルフ一郎さんの顔、初めて見た・・・・・・。
☆
満月荘に戻って来て、とんでもない物が届いて来た。
なんと、さつまいもが20個!誰からって言っても、わかるよね?
そう、ウル子ちゃんとウル子ちゃんのお母さん。
ウル子ちゃんのお母さんが、ウル子ちゃんを今までめんどうを見てくれたお礼に、くれたんだ。
しかも、人の畑から盗んださつまいも・・・・・・。
これじゃあ、ありがたいけど、盗んださつまいもは、ちょっとぉ・・・・・・。
「いいじゃねぇか、真莉亜。」
「せっかくもらった食べ物だ。ふかしいもにして、さつまいもパーティーをしよう。」
「やったぁ~!」
はぁ~。あとで畑の人が来ても、知りませんよぉ。
あれっ?一人、足りないような・・・・・・。
「ウルフ一郎さんは?」
「そういえば、いないねぇ。」
「あいつ、ちょっくら散歩に行って来るって、言ってたぞ。」
「えっ!?こんなに暗いのに!?」
「きっと、ウル子と別れて、悲しんでんじゃない?」
そうですよねぇ。
「ギロ、ウルフ一郎を連れ戻しておいで。」
「はい!」
ギロさんは、玄関に行って、くつをはいて、満月荘を出た。
☆
「お~い、ウルフいちろ~う。どこにいるんだぁ~?返事をしてくれぇ~。」
「みんなでさつまいもパーティーするから、一緒に帰ろ~う。」
「ウルフ一郎、ウルフいちろ~う。」
「・・・・・・返事しねぇなぁ。ん!?」
「あの、黒いオオカミは・・・・・・。」
「ウルフ一郎!」
「ワン!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!ウルフ一郎が、犬になってるぅ~!」
「そいつはただの野良犬だ!」
「あ、どうもすみません。」
「クゥン。」
「ったく、お前の天然パワーには、程がある。」
カチッ。
「フ―。」
「ウルフ一郎、早く帰ろう。みんながまっている。」
「・・・・・・なぁ、ギロ。俺様の話、聞いてくれるか?」
「あぁ。さっさと終わらせてくれ。」
「・・・・・・実は俺様、好きな人がいるんだ。」
「どーせ、真莉亜ちゃんだろ?さ、早く帰ろう。」
「いや、真莉亜ちゃんもそうだけど、ちがう人なんだ!」
「じゃあ、早く教えてくれ。」
「・・・・・・ネルだ。」
「へぇ―。なんだ、ネルちゃんかぁ。へぇ―。・・・・・・って。」
「え~!?ネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネネルちゃ~ん!?」
「しっ!大きな声出すなっ!驚きすぎだろ!」
「ごめん・・・・・・。でも、ネルちゃんは、先輩のことが・・・・・・。」
「あぁ、知ってる。片想いでも、あいつのことが、好きなんだ!」
「お前、二股だな。」
「あぁ。ギロ、お願いだ!このことは、秘密にしといてくれ!」
「わ、わかったから、秘密にしておくよ。」
「絶っっっっっっ対にだろ―な!?」
「あぁ。」
「お前、天然だから、すぐみんなにバラしそう。」
「みんなにはバラさないから、安心して!」
「・・・・・・よし、帰るか。」
「おう。」
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