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第五十五話 「ギロさんとジュンブライトの過去」

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ヴァンパイア暴力団に入って一週間後。
俺は部屋の掃除をしていた。
ふふふふふーん、ふふふふふーん。
さぁ、きれいにできたかなぁ~?
三人がいない間、お掃除してるんだっ☆
三人とも、びっくりするかなぁ~?ピッカピカのお部屋を見て。
さっすが、俺って真面目だなぁ・・・・・・。
ゴンッ!
いたっ!
・・・・・・痛いよぉ~。ベッドにぶつかったよぉ~。
ん?なにか落ちてる。
俺は不思議に思いながら、その何かを拾った。
あ、写真だ。
ん?この天然パーマの人は・・・・・・。
ジュンブライトさん!?
アハッ、これ、最近のやつだなぁ・・・・・・って、え~!?
ジュ、ジュンブライトさん、王冠かぶってるぅ~!
服装は王子様らしいし、目がとんがってない。
ジュンブライトさんって、まさか・・・・・・。
ガチャッ!
 
「おい!なにやってる!」
 
ひぃぃぃぃ!
俺は写真を、背中に隠した。
 
「それより、部屋がきれいだねぇ。」
 
えへへへへ。そーでしょ?
 
「本当だ。これ、全部お前がやったのか?」
 
あ、あたり前じゃないですかぁ。
 
「・・・・・・怪しい。」
 
ジュンブライトさんが、顔を近づけた。
ひぃ!
 
「な、なにも怪しくないッスよ~。アハハハハ~。」
 
そのとたん、写真がヒラリと落ちた。
 
「あ!」
 
「!?」
 
しまった!写真を落としてしまった!
と、その時。ジュンブライトさんが歩き始めた。
俺の横を通り、しゃがんで、その写真を拾い、じ―っと見つめた。
 
「あ―あ。ジュンブライトの秘密、知っちゃったみたいだねぇ。」
 
ジュンブライトさんの秘密?
俺は首をかしげた。
 
「おい!」
 
ひぃぃぃぃぃ!
振り返ると、そこにはジュンブライトさんが怒っていた!
 
「てめぇ、なにを見たんだ!」
 
な、なにも見ていませ~ん。
 
「とぼけるな!」
 
ジュンブライトさんは、俺の胸ぐらをひっぱった。
は、離してください!
 
「離すもんか!人の個人情報を、勝手にのぞきやがって!ああん?」
 
か・・・・・・勝手にのぞいていません!
ただ、掃除をしていて、頭がベッドに当たって・・・・・・当たった瞬間、ヒラリと落ちてて、それを拾っただけなんです!
 
「うそつけ!」
 
ジュンブライトさんの怒鳴り声が、部屋じゅう、響き渡った。
 
「・・・・・・しょうがねぇ。話すか。」
 
アルマ先輩、なにを話すんですか?
 
「ジュンブライトのことに決まってんだろ。」
 
アルマ先輩は、急に真剣な顔になった。
 
「ジュンブライトの正体は、ヴァンパイア界の王子だよ。」
 
な~んだぁ。ジュンブライトさんってぇ、王子様だったんだぁ~。
やっぱりぃ。・・・・・・って。
 
「え~~~~~~!?ジュンブライトさんって、王子様だったの~~~~~~~~~~~!?」
 
「バカ!声大きい!」
 
す、すみません・・・・・・。
 
ん!?まてよ?
 
「じゃあ、ジュンブライトさんって、王子様で・・・・・・。」
 
「ヴァンパイア界の大王、ヒアン様の息子だ。」
 
え~!?とてもすご~い!
 
「あんた!驚くときは、もっと小さな声で驚きな!」
 
はい、すみません・・・・・・。
それより、びっくりしたなぁ。
あのジュンブライトさんが、王子様だったなんて・・・・・・。
俺、貴族出身だから、小さい頃、よく窓からお城を見ていたよ。
父さんに聞いたけど、「名前はわかるが、顔はよく知らない。私だけではない。ここに住むみんなも、顔は知らん。」って、言ってた。
まさか、ここで王子様と会うとは・・・・・・。
けど、なんでお城を出て、暴力団に入ったんですか?
 
「気に入らないからだ。」
 
えっ?
 
「城が気に入らないからって言ってんだろ!」
 
な、なんで!?どうして!?
 
「親父はうるせーし、誰もかれもが俺のこと、「王子、王子。」って、いちいちやかましいし、とにかく、城での生活は飽きたんだよ。入る前、城のやつらに暴力を振った。」
 
ひ、ひどい・・・・・・。
 
「それが、ヴァンパイア界の王子がやることなんですか!」
 
俺、思いっ切り、さけんじゃった・・・・・・。
 
「城が気に入らないからって、王子の座を捨てるんですか!みんなから好かれえるのがいやだから、逃げてるんですか!そんなの、王子らしくありません!もう一度、一からやり直してください!みんながまってますよ!大王様も、お城にいるみんなも、国民のみんなも、み―んな!ジュンブライトさん!実家に帰った方が、いいと思いますよ・・・・・・。」
 
バシッ!
えっ?
俺、ジュンブライトさんに、ほっぺたをたたかれた?
そんな・・・・・・。なにも悪いこと、してないのに・・・・・・。
たたかれたあと、俺はたたかれたところを、両手でおさえた。
 
「な、なにをするんです!」
 
半分、半泣き状態だった。
 
「てめぇ、人の過去に手ぇ出すんじゃねぇよ!」
 
出してません!俺は、俺は・・・・・・。
 
「言い訳をしてもムダだ、クソ。」
 
ゔ・・・・・・ゔぅ・・・・・・。
 
「もう!ジュンブライトさんなんか、知りません!」
 
俺は泣きながら、走り出し、ドアをバタンと閉めて行った。
 
「おい!追いかけないのかい!?」
 
「・・・・・・いいんだ、放っとけ。」
 
 
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