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第六十話 「来たぞ!未来のヴァンパイア界!」

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ちょっとぉ、やめてよぉ。
 
「王女様、そんなにいやがらないで。」
 
「そうですよ。」
 
あたしは王女様じゃないってばぁ~!
ガチャッ。
 
「道華、昨日は寝れたか?」
 
「お父さん!」
 
「おぉ!かわいいなぁ♡俺の娘は♡」
 
お父さん、やめて。
 
「いいじゃないかぁ~♡」
 
よくないっ。
 
「写真、撮るぞぉ~。」
 
は、恥ずかしいよぉ。
 
「大王様、親バカですね。」
 
「えぇ。」
 
「ねぇお父さん、お母さんは来るの?」
 
「ああん?」
 
ひぃ!今日のお父さん、こわ~い。
 
「来るわけないだろ。」
 
どういうこと!?
 
「・・・・・・もう、別れるんだ。」
 
えっ!?
そんな!バカなこと、言わないで!
 
「バカなことじゃない!」
 
お父さんが怒鳴った。
すると、お父さんは、あたしの肩に両手をしゃがんで、あたしの身長に合わせて、しゃがんだ。
 
「これからは、お父さんと一緒だ。二人で仲良く過ごそう。」
 
で、でも、学校の友達とはもう、別れるの?
 
「あたり前だ。これからは、ヴァンパイア界のお友達と、仲良くやるんだぞ。学校の転入手続きはもう、済んでいる。」
 
そんなの、いやだ!
 
「道華!」
 
今度は強く怒鳴られた。
 
「お父さんの言うことを聞きなさいっ!」
 
は、はい・・・・・・。
 
「よし、いい。」
 
お父さんは、にっこりとほほえんだ。
 
「お父さんとお母さん、離婚するの?」
 
「あたり前だ。もう、こっちで離婚届、出しているころだろう。」
 
そ、そんなぁ~。
 
「さぁ、朝食にするぞ。」
 
う、うん。
あたしは小さくうなずいた。
 
 

 
 
「来たぞ!未来のヴァンパイア界!」
 
過去とは相変わらず、変わってないね。
 
「ところで、道華は一体、どこにいるんだ?」
 
ジュンブライトが辺りをキョロキョロ見渡した。
お城よ。
 
「えっ!?城!?」
 
そうよ。
 
「お前、ボケてんなぁ。」
 
「ボケてねぇ!」
 
ジュンブライトは、顔を真っ赤にした。
 
「・・・・・・不安だわぁ。」
 
「なんで?」
 
「・・・・・・あの人に会うから。」
 
「そうだね。」
 
「大丈夫!私がいるから!」
 
私が未来の私に向かって、笑った。
 
「過去の私・・・・・・。」
 
「俺様もいるぜ、真莉亜ちゃん☆」
 
「てめぇ、かっこづけるな。」
 
「あ、お城が見えましたよ!」
 
ルクトさんが、お城を指さした。
 
「いよいよですね、真莉亜お姉様。」
 
「えぇ。」
 
未来の私は、真剣な表情でうなずいた。
 
「心臓が、ドキドキするわぁ。」
 
大丈夫!私がいるから!
 
「俺様も☆」
 
「てめぇ、いいかげんにしろよ。」
 
「ん?なんでしょう、あれ。」
 
「えっ?」
 
人がいっぱい、お城の前に集まっている。
なにが始まるんだろう。
 
「行こう!」
 
「うん!」 「あぁ!」 「はいっ!」 「えぇ!」
 
私達は、人混みの中に入った。
 
「ちょっ、どいてくださ~い。」
 
「おっさん、じゃま!」
 
ふぅ、やっと、目の前に来たよぉ。
パパパパパパパパーン!
わ!突然、なに!?らっぱを鳴らして!
 
「えー、ただいまより、新王女の就任を始める。」
 
新王女の就任?
は!まさか!
 
「道華王女の、おなーり―。」
 
バルコニーの奥から、未来のジュンブライトが出てきた。
そのとなりには、私に似た顔の女の子がいた。
水色のキラキラしたドレスを着た女の子。
ま、まさか!
 
「道華!」
 
渡した未来の私がさけぶと、国民と未来のジュンブライトと道華が、私達の方を見つめた。
 
「お母さん!」
 
「お前ら!なぜ来た!」
 
「助けに来たに決まってんだろ。」
 
ジュンブライトが、ニッと笑った。
 
「やられたらやり返しますっ!100倍返しですっ!」
 
「じゃあ、俺様は100000倍返し。」
 
「ちっ、クソどもめ!道華、行くぞ!」
 
未来のジュンブライトは、道華の手をぎゅっとにぎって、走った。
 
「あぁ!」
 
「道華!」
 
「くっそぉ~!」
 
私達は、走り出した。
 
「ここは通さん!」
 
うわ!門番さんから通せんぼされたよぉ!
誰か助けてぇ~!
 
「私におまかせくださいっ!」
 
マドレーヌちゃん!
マドレーヌちゃんは下を向いて、それから、カッとなった。
 
「てめぇら、どけろぉ~!」
 
ドッ、ドッ!
 
「うわぁ!」
 
うわぁ。二人の門番さんを、一発で蹴り倒したよぉ。
さすがマドレーヌちゃん、強しです。
 
「さ、行くぞ!」
 
うん!
私達はとうとう、中へ入った。
すると・・・・・・。
 
「やつらをつかまえろぉ!」
 
うわぁ~!家来さんが、いっぱいいるよぉ~!
 
「ひぇ―!」
 
未来の私はこわがっている。
 
「ギロ、お前は何倍返しするんだ?」
 
「え―っと、10倍返し、かな?」
 
「けっ、少なすぎだろっ!」
 
「じゃあ、100倍返し?」
 
「そうこなくっちゃなぁ!」
 
二人は大勢の家来さんの方に向かって、走り出した。
 
「ちょっ、まて!あたしも戦わせろ!」
 
ネルさんは、二人のあとを付いた。
 
「ウルフ一郎の、愛いっぱいキ―ック!」
 
「うわぁ!」
 
「ギロエンジェクト!麻酔銃!」
 
ブスッ!刺さったとたん、家来さん達が、ねむりについた。
 
「ネルちゃん、今!」
 
「おう!」
 
ネルさんはジャンプして、刀を大きく振った。
 
「でぃや―っ!」
 
「うわぁ!」
 
たくさん、きったよぉ。
 
「あとはあたし達にまかせろ!」
 
ありがとうございます!
 
「あたしも行くよ!」
 
「私も。」
 
ウルフ一郎さん、ギロさん、ネルさん、テレサさん、リリアさん、お願いしますっ。
 
「真莉亜、行くぞ!」
 
うん!
私達は、階段に上がった。
 
 

 
 
 
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