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○ 僕ときょうだい

◆54

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「にいしゃま、ねえしゃま。お稽古ちゅりゅでしゅよ!
 ユーリが応援ちまちゅからねっ!」

 ふんむっ!
 僕は応援の為の気合いを入れました!
準備万端っ!これで、いつでも大丈夫です!
 さあ!
さあさあさあっ!

「その歳にして、訓練の大切さが分かるとは!
 これは、将来が楽しみだな!」
「そうでしょう、そうでしょう! ユーリは可愛いらしくてかしこい子なのですわ」
「そうそう! ユーリは僕の可愛い可愛い自慢の弟だからね!」
「普通は訓練より獣人の方が気になるのでは……?
 この国では獣人は珍しいはずなのですが……」
「怖顔に可愛い耳……。俺、獣人を初めて見たけど、違和感しか感じない……。
 あれをスルー出来るユールリウス坊っちゃまは大物なのか……」

 むー……。
みんなごちゃごちゃうるさいですよ!
僕の見学の時間が減っちゃいます!

「しぇんしぇいしゃま! お稽古ちてくだしゃい!」
「おおぅっ! そうだな! っと、その前に……。
 ユールリウス様、丁寧な挨拶をありがとう。俺は月熊族のビクトールと言う。お二方の戦闘指南役をしている」
「ふぉー! 熊しゃんでしゅか! 可愛いでしゅねー!」
「かわっ!?」
「先生を可愛いと言えるのはユーリだけだろうね……」
「そうですわね……。私も流石に先生を可愛いとは思えませんわ……」

 ……?
まんまるお耳、可愛いですよ?
 あのお耳はそう言われれば熊さんっぽいです!言われて納得ですね。うむうむ。
熊さんのまんまるお耳はチャームポイントだと思います。だから可愛いのです。
ぴょん太のお耳と違ったみりょくがあると思います。
ちょこんとしたお耳、あむあむってしたくなっちゃいます。
以前、エリーナがあむあむしたくなるって言ってたのが、何となく分かりました。
 確かにビクトール先生のお顔は怖いです。睨まれたりすると、ちっちゃい子は泣いちゃうかもしれません。
でもじーっくり、よく見ると、お目々は優しいのです。それに気が付けば全然怖く感じませんよ?

「いやー、この歳になって可愛いと言われるとは俺も思ってもみなかった。小さい子供にはよく泣かれていたからなぁ……。そんな俺が可愛い、か……。
 ユールリウス様、ありがとうございます。
 さて二人共、可愛い弟君と話しをして十分休憩できただろう? 弟君も楽しみにしている訓練を再開しよう」

 ビクトール先生はニヤリと笑って言いました。

「やっぱり泣かれてるんですね。それに何ですか、あの笑顔。あれ、絶対悪役でしょう……」
「ユールリウス坊っちゃまも流石に怖がって……ないっ!?
 なんか、めっちゃ笑顔なんですけど。目もキラキラしてるし……。しかもお尻ふりふりして、めちゃくちゃかわいいんですけどぉっ!?」

 ふぉー!!
これからはじまるのですね!ドキドキしますっ!
楽しみな想いが、体から溢れてきちゃってますよ!
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