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○僕とおうちたんけん
◆65
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お部屋から出ると、窓から入る大小二つのお月様の光が薄らと廊下を照らしていました。
お日様のようなキラキラとした感じはないですが、ふわっとした、思わず微笑んでしまうような光り方です。
そのお月様の光が僕を見つけたのか、ふんわりと優しく包み込んでくれるように僕を照らしています。
むふふっ。お月様、ありがとうです。
僕は心の中で感謝を伝えました。
そんな僕の様子を、ぴょん太がニコッとして見ていました。
「ぴょん太、行くでしゅよー」
『どちらへ?』
むぅ。困りました。
探検なので、目的地は無いのです。心の赴くままなのですよ。
でも、時間は有限なのです。タイムリミットがあるのです。
うむむ、うむむ……。むっ!
ぴかりんこっ!と、閃きましたよー。
「ぴょん太、おそとでしゅっ!」
『お外はダメですね。禁止されてますよ。それにリスクがかなり高すぎます』
「む。おそとであって、おそとじゃないのでしゅ!」
『お外であってお外じゃない……?』
むむぅ?と首をひねるぴょん太に、僕は伝わらない事がなんだかモヤモヤとして、右足をダンダンッ!と踏み鳴らしました。
今は、しーっ!中なので、ゆっくりとですけどね。
『ぽぴゅって、何ですか! あまりの可愛さに悶え死んじゃいそうになりますよ!』
ぽぴゅっ?
僕、知らないですよ?
『右足から聴こえる、ぽぴゅぽぴゅっという音のなんて可愛らしいこと……。くぅー……っ!』
またぴょん太がくねくねしだしました。
ぴょん太は、くねくねが本当に好きなのですね。
とりあえず、ぴょん太の謎かけになってる答えを教えてあげてー。と、記憶さん。
謎かけ、ですか?
僕、そんなの言ってないですよ?
お外であってお外じゃないって言ってたでしょー。
確かに記憶さんが言ってた事、言いました。でも僕、謎かけのつもりで言ってないです。
僕、あの場所の事なんて言うのか知らないのです……。
ああ、そうなんだ。あの場所は、テラス、もしくはバルコニーになるんじゃないかと思うよー。
ふぉっ!そうなんですね!ありがとうございます、記憶さん!
「ぴょん太ー。テリャシュ? バリュコイー? に行きたいでしゅ!」
僕はくねくねぴょん太を、ツンツン突いて言いました。
くねくねぴょん太!
ふぉっ!なんかぴょん太のお名前がさらに可愛くなった気がします!
『テリャシュ? バリュコイー? ああ、分かりました。バルコニーですね!』
ぴょん太はくねくねをやめると、うむうむと頷きました。
『月明かりが少々気にかかりますが、折角のユーリ様のご希望ですものね。
バルコニーは、こちらの方になります』
ぴょん太は僕をチラチラ見ながらも、静かに歩いています。
僕もぴょん太の後ろを着いて、てくてくと静かに歩いていきます。
不思議な事に何の音も聞こえません。
鳥さんの声も虫さんの声も──。
あまりにも静かで、この世界には、僕とぴょん太と記憶さんとお月様しかいないような気がしてきます。
それほどなにか、いつもと違う感じがするのです。
夜だからでしょうか。
この独特な静謐さは、そう言う気持ちになるからね。よく分かるよー。激しく同意しちゃうねー。と、記憶さん。
むっ。記憶さん、なんか難しいお言葉を使いましたね。僕には分かるのですよ。
でも、難しいお言葉を使いたい気持ちは分かるので、僕は聞かなかった事にしますね!
あははっ。ありがとう。難しい言葉を使いたい年頃なんだよねー。と、記憶さん。
うむうむ。分かります、分かります。僕もそう言うお年頃の時ありましたから。
まだ三歳なのに、そういうお年頃って早くないー?
むっ。エリーナが言ってました。「そういうお年頃なんですねー」って。
ああ、あの侍女かー。うーん……。あっ!バルコニーに着いたみたいだよー。
ひょっ!?
記憶さんとお話ししていたら、いつの間にか着いたみたいです。
僕のお部屋から、そんなに離れていない場所にあったのでしょうか?
でも、今まで見た記憶がないです。なら、やっぱり遠いところにあるのでしょうか?
『ユーリ様。ご希望のバルコニーに着きましたよ』
ぴょん太が可愛いお手手で、バルコニーのドアを指します。
このドアの向こう側はお外に繋がっているのですね!
僕はぴょんぴょんと飛び跳ねたい気持ちを抑えて、ゆっくりとバルコニーに出ようとしましたが、何故かぴょん太に止められました。
ぴょん太、なんでそんな意地悪するんですか?
お日様のようなキラキラとした感じはないですが、ふわっとした、思わず微笑んでしまうような光り方です。
そのお月様の光が僕を見つけたのか、ふんわりと優しく包み込んでくれるように僕を照らしています。
むふふっ。お月様、ありがとうです。
僕は心の中で感謝を伝えました。
そんな僕の様子を、ぴょん太がニコッとして見ていました。
「ぴょん太、行くでしゅよー」
『どちらへ?』
むぅ。困りました。
探検なので、目的地は無いのです。心の赴くままなのですよ。
でも、時間は有限なのです。タイムリミットがあるのです。
うむむ、うむむ……。むっ!
ぴかりんこっ!と、閃きましたよー。
「ぴょん太、おそとでしゅっ!」
『お外はダメですね。禁止されてますよ。それにリスクがかなり高すぎます』
「む。おそとであって、おそとじゃないのでしゅ!」
『お外であってお外じゃない……?』
むむぅ?と首をひねるぴょん太に、僕は伝わらない事がなんだかモヤモヤとして、右足をダンダンッ!と踏み鳴らしました。
今は、しーっ!中なので、ゆっくりとですけどね。
『ぽぴゅって、何ですか! あまりの可愛さに悶え死んじゃいそうになりますよ!』
ぽぴゅっ?
僕、知らないですよ?
『右足から聴こえる、ぽぴゅぽぴゅっという音のなんて可愛らしいこと……。くぅー……っ!』
またぴょん太がくねくねしだしました。
ぴょん太は、くねくねが本当に好きなのですね。
とりあえず、ぴょん太の謎かけになってる答えを教えてあげてー。と、記憶さん。
謎かけ、ですか?
僕、そんなの言ってないですよ?
お外であってお外じゃないって言ってたでしょー。
確かに記憶さんが言ってた事、言いました。でも僕、謎かけのつもりで言ってないです。
僕、あの場所の事なんて言うのか知らないのです……。
ああ、そうなんだ。あの場所は、テラス、もしくはバルコニーになるんじゃないかと思うよー。
ふぉっ!そうなんですね!ありがとうございます、記憶さん!
「ぴょん太ー。テリャシュ? バリュコイー? に行きたいでしゅ!」
僕はくねくねぴょん太を、ツンツン突いて言いました。
くねくねぴょん太!
ふぉっ!なんかぴょん太のお名前がさらに可愛くなった気がします!
『テリャシュ? バリュコイー? ああ、分かりました。バルコニーですね!』
ぴょん太はくねくねをやめると、うむうむと頷きました。
『月明かりが少々気にかかりますが、折角のユーリ様のご希望ですものね。
バルコニーは、こちらの方になります』
ぴょん太は僕をチラチラ見ながらも、静かに歩いています。
僕もぴょん太の後ろを着いて、てくてくと静かに歩いていきます。
不思議な事に何の音も聞こえません。
鳥さんの声も虫さんの声も──。
あまりにも静かで、この世界には、僕とぴょん太と記憶さんとお月様しかいないような気がしてきます。
それほどなにか、いつもと違う感じがするのです。
夜だからでしょうか。
この独特な静謐さは、そう言う気持ちになるからね。よく分かるよー。激しく同意しちゃうねー。と、記憶さん。
むっ。記憶さん、なんか難しいお言葉を使いましたね。僕には分かるのですよ。
でも、難しいお言葉を使いたい気持ちは分かるので、僕は聞かなかった事にしますね!
あははっ。ありがとう。難しい言葉を使いたい年頃なんだよねー。と、記憶さん。
うむうむ。分かります、分かります。僕もそう言うお年頃の時ありましたから。
まだ三歳なのに、そういうお年頃って早くないー?
むっ。エリーナが言ってました。「そういうお年頃なんですねー」って。
ああ、あの侍女かー。うーん……。あっ!バルコニーに着いたみたいだよー。
ひょっ!?
記憶さんとお話ししていたら、いつの間にか着いたみたいです。
僕のお部屋から、そんなに離れていない場所にあったのでしょうか?
でも、今まで見た記憶がないです。なら、やっぱり遠いところにあるのでしょうか?
『ユーリ様。ご希望のバルコニーに着きましたよ』
ぴょん太が可愛いお手手で、バルコニーのドアを指します。
このドアの向こう側はお外に繋がっているのですね!
僕はぴょんぴょんと飛び跳ねたい気持ちを抑えて、ゆっくりとバルコニーに出ようとしましたが、何故かぴょん太に止められました。
ぴょん太、なんでそんな意地悪するんですか?
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