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○僕とお家訪問

◆ 76

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「むぅ。おかしいでしゅね。ちょっぴりも進みませんよ?」

 僕が両手両足を伸ばして考えていると、上からなんかクスクスって笑い声が聞こえてきました。
 誰ですか?笑っているのは?
こそっと上を見てみると……。

「カチョッ!?」

 カショウがニコニコと笑っていました。

「何か楽しいのでしゅか?」
「いやいや、お可愛らしいなーって思いまして」

 何の事でしょうか?
そんな事よりもと、僕はカショウに相談する事にしました。

「カチョ! 大変でしゅ!
 僕、お空バビューン! 出来たにょに、なぜか前に進みましぇん。
 困った困ったでしゅよ!」
「うぅーん。それは困りましたね。
 でもですね、実は……」
「じつは……?」
「坊っちゃまはお空を飛んでいません!
 何故なら! 私が抱っこしてるからですっ!」
「ふぇっ!?」

 僕は慌てて僕の体を見ました。
ピーン!とのびているお手手、お足。異常はありません。うむうむ。
そして更にお顔を下に向けます。

「……っ!!」

 ふえっ!?
思わずお目々がまん丸になりました……。
なんでですか……。

「ふっ……。ふぇーんっ!!」

 僕のお腹にカショウの腕がありました……。
僕、お空を飛ぶ事が出来たと嬉しく思ったのに……。
酷いのです……。

「ゔえぇーんっ!!」

 あまりにも悲しくなって、涙さんが沢山出てきました。
でも、涙さんが沢山出てくるのは仕方ないと思います。
だって僕、本当にとてもとても悲しかったのです。

「えっ!? えっ!?」
『馬鹿者っ! 何をやっているかっ!』
「坊っちゃまを泣かすなんて、最低っ!!」

 カショウにぴょん太とエリーナが何か言ってますが、涙さんが沢山お出かけ中の僕には聞く事も出来ません……。

『さっさと謝らぬかっ!!』
「そうよそうよ! 謝りなさいよっ!」
「は、はいっ」
「ゔえぇーん……」

 涙さん、悲しい悲しいお散歩です……。

『むっ!? いかんっ!!
 マティアス離れろ! アーミーアントンの様子がおかしいっ!!』
「これはっ!?」
「目が赤くなってきているの!?」

 ぴょん太がありさんを見てから僕を見ているような気がしますが、涙さんバリアーがある為、よく見えません。
でもでも、ありさんの事を言っているのが聞こえてきたのでなんとなく気になります……。

 涙さん、涙さん。ちょっとバリアーをお休みしてもらえませんか?
僕、ありさんが見たいのです。
なんかありさんがぷんぷん!ってなっている気がするのです。
でも、涙さんバリアーでよく見えないので、ちょこっとでいいのでバリアーをお休み出来ないでしょうか?
……。
いいよってお声が聞こえた気がします!
お声の後から、涙さんバリアーがほんのちょこっと止まりました。
ありがとうです!涙さん。

 僕はありさんを見ました。
さっきまで涙さんがお散歩していたのでお目々がショボショボしてますが、なんとかお目々を大きく開いてみました。

 ふぉっ!?
本当にありさんの真っ黒お目々が真っ赤っかになってます!
ぷんぷんぷんぷん!真っ赤っかです!
真っ赤っか!
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