遠くて近きルナプレール ~転生獣人と復讐ロードと~

ヘボラヤーナ・キョリンスキー

文字の大きさ
205 / 496
第三章 クラス丸ごと異世界転生!? 追放された野獣が進む、復讐の道は怒りのデスロード!

3-5. マジュヌーン(精霊憑き)(5) -ZOO

しおりを挟む

 
 

 
 樫屋が手にした金ピカの皿は、乾いた血やら土ぼこりやらで汚れてはいたものの、汚れを落として軽く磨いたらそれなりには鏡の代わりになるシロモノだった。何だかすげえな。一財産にはなりそうだぜ。
 その金ピカの大皿に映し出された俺の顔は、確かにこれは「猫の顔」だ。
 いや、厳密には完全に猫の顔……というのとは微妙に違うか。猫として見れば人間臭い。全体に薄茶色の毛に覆われて、ライオンの鬣っぽく見える髪があるが、これもライオンのそれなのか人間的な頭の毛なのかもよく分からねえ。
 例えばハリウッドのSF大作で、特殊メーキャップを使い作られた猫と人間の合成された猫怪人が出てくるとしたら、こんな感じになるんじゃないか……という感じだ。
 
「あの汚ぇジジィの言ってた事覚えてる? ほら、おめーら死んだから新しい人生くれてやる、みてえなの」
 樫屋の言葉を頭の中で反復する。死んだ───そう、飛行機が墜落して、次には何故か真っ赤な空のイカレた荒野。そこで骨と皮みてえな汚ぇ爺がべちゃくちゃ言ってやがったのがその話───別の世界で新しい人生を与えられる───とかいう戯言。
 そして……そうだ大野の奴が浮かれた調子で何か騒いで───特別な魔法の力……?
 
「何だ、その魔法の力? 猫に変身するとかってーのか?」
「いや、違うらじい」
 相変わらず重低音のだみ声になってる犀男の田上が答える。
「どうやら、そういう種族……のようです」
 引き継いで答えるのはパッと見はごく普通の人間。顔立ちからすると白人系の欧米人っぽい。鼻が高く、髪はやや茶髪よりの金髪。全体的にはこう……ちょっと角張ったホームベースみてーな感じ顔立ちの男。
 服装はこれまた細かい所まではよく見えねえが、映画か何かにでも出てきそうな古代の鎧か。革と金属板を組み合わせたみてえなそれに、腰には剣。
 そして手には……んん? これは何だ。ボード……片手で持てる程度の画板のような首から下げる紐の付いた木の板。右上の位置にインク壷が取り付けてあり、やはり金色のペンに何枚もの紙か挟み込まれて居る。
「何だそりゃ? てか、いや、あんたがテレンス……だよな?」
「ハイ、そうです。そして、私はどうやら、セクレタリー……ええ、軍、に、同行して、記録を取る仕事、しているようです」
 何だって?
 
 ここからテレンスの憶測を交えた経緯と状況説明が入る。
 まず俺たちは全員、あの爺が言った通りに飛行機事故で死に、そして元居た日本……地球とは異なる世界で生まれ変わった。
 大野の言うところの「異世界転生」とかいうやつだ。
 
 だが生まれたてにしちゃ身体がでけえ。赤ん坊とはとても思えねえよな、どいつもこいつもよ。
 で、テレンスに至っては成人してこの世界の軍隊に従軍して仕事までしていた。
 


「私は、ここで、また一度死んだような、記憶がアリマス」
 
 全く意味の分からん事を言い出すが、曰わく、こうだ。
 従軍して書記官としてこの地にやってきていたテレンスは、なんとこの世界のとんでもねえ魔術師だかの攻撃を受けて部隊が壊滅的ダメージを受けた。全滅したのかどうかは分からねえが、地割れを起こされ床が崩落し、それに巻き込まれて地下の奥深くへと落ちて行った。
 そのときにプツリと意識が一旦途切れる。
 で、それからどれくらい経ったか不明ながら、意識を取り戻したときに、「あれ? さっきまで飛行機に乗ってたんじゃなかったっけ?」と思い出した。
 
 今現在のテレンスは、その思い出した「前世の記憶」と、「朧気に思い出せるこの世界で生まれ、生きてきたときのぼんやりとした記憶」の両方があるらしい。
 この世界での記憶はかなり曖昧だそうだが、それでも基本的な事……例えば言葉や大まかな世界の知識なんかはあるし、何かの弾みで不意に思い出したりもするらしい。
 
 で、話を戻すと、
「マジュマさん、アナタはタブン、猫獣人バルーティというシュゾクです。
 猫獣人バルーティは、気紛れで、自由な精神を持つ、猫に近い外見のシュゾクで、匂いへの感覚が鋭く、俊敏で有能な狩人であり戦士デス」
「マジかよ。マジで怪奇・猫人間かよ」
 そう呆然と呟くと、
「俺なんが、ザイだ」
「俺はチンパンジーみてえだぜ」
 田上と樫屋が言う。
 
「タウエさんは、犀人オルヌスです。硬い皮膚を持ち、怪力で体力も高い。俊敏ではナイですが、突進力が高く、脅威的な戦士デス。
 カシヤさんは、猿獣人シマーシー。私の覚え書きにも、名前と外見への記述しかナイです。どちらも、本来もっとかなり南の方に住んでるはずです」
 
 揃いも揃ってまるで動物園かよ。ふざけた話だ。なんつうか、これが前世の業……ってなやつか?

「あー……まあ、何だ。まだしっくりともピンとも来ねえけどよ。
 何だ、その、俺とかが猫人間に生まれ変わった……てのは、信じらんねーけど信じるしかねえんだろーが……」
 口ではそう言うものの、別に何一つ納得はしちゃ居ねえ。つうか、出来るかよ、こんなの。

「テレンス、あんたはその、こっちの世界で生きてきた記憶も、形跡もまあ、あるんだよな?
 けど、俺は今、こー……色々アタマん中ほじくり返して思い出そうとしても、この怪奇猫人間として生きてきた時のこととか、イマイチ思い出してこねえんだがよ」
 そう。
 俺の意識は飛行機の中から、爺の居た気味の悪い荒野から、今ココこの瞬間に一直線で繋がってる。
 日本生まれ日本育ちの糞ガキの、真嶋櫂の意識そのまんまだ。
 
「それがよ、俺たちも殆どねーんだよ」
 俺のその問いに、樫屋の奴がそう答える。
「俺ば、ずごじだげ、ある。だが……良いぎおぐじゃ、ない」
 続ける田上は、その重低音のだみ声をややトーンダウンさせつつ言う。
 
「コレは、また、スイソクですが……」
 続けるテレンスの言葉は、確かに田上の言うとおり、あまり気持ちの良い話じゃあなかった。
 
 テレンスの従軍書記官としての知識、記憶からは、今居るこの場所はクトリアと呼ばれる街の地下遺跡だろうとのことだ。
 そしてこの街は長い間邪術士と呼ばれるとんでもねえゲスで邪悪な魔術師達の集団に支配されていた。
 その中でも特に邪悪な行いは、魔術によるある種の人体実験。
 つまり魔法の力とやらで生きた人間やら何やらを、無理やり魔物みてえなもんに変えちまう、ってなものらしい。
 
「恐らく、みなさんは、その実験の為に、用意された奴隷だったと、思われマス」
 その中でも俺たち獣人種とされるもの達は、さっきの解説通りにそれぞれ普通の人間よりも身体能力が高く、戦士としての実力が高い種族な上、本来住んでる場所がもっと南の方であるため、所謂「普通の人間の奴隷」よりも貴重な存在。
 つまり逃げられたくはないわけだ。
 それで、薬なり何らかの魔術なりを使い、意識をもうろうとさせたり眠ったままの状態にしたり……と、具体的に何かは分からないが、とにかくまともに思考や行動の出来ない状態で監禁されていたのではないか、と。
 閉じ込められ、意識もなく居たのなら、なる程確かに「この世界で生きてきた記憶」はなかなか思い出せないかもしれない。
 
「ただ、ワタシもソウでしたが、何かのキッカケで、色々思い出すかも、しれまセン」
 テレンスはそう締めくくるも、その推測通りだとしたら、思い出さねえでいるままの方がマシかもしんねえな。
 
 一通りテレンスを中心としたこいつらに話を聞いて、一応は現状と立場を把握はした。まあ推測が多いからどれも確証のない話だけどな。
 それからこれまた金ピカの壷に入れられてた汚ぇ水を飲まさせられたりもして落ち着いてから、改めて周りを見回す。
 実際、テレンスの推測はかなり当たってるんじゃねえかと思える。
 ちょっと見渡した感じでも、ここでマトモな格好……あー、服と呼べるものを身にまとっているのはテレンスのみで、他は裸か半裸に近いぼろ布ばかり。
 飢えてやせ細り、暴力による傷跡も多く、中には手足が切られてたり目や耳がなかったり、酷い有り様の奴らも居る。
 それを考えれば、確かに前世の感覚からすりゃあ俺たちは特撮ヒーローの敵怪人みたいな姿になりはしたが、そういう酷い、回復させられねえ怪我を負わされているというワケでもない。テレンスの言うとおり、「貴重な素材、奴隷」としては、丁重に扱われていた……と言うことなのかもしれねえな。
 
「なあ、ここに居ンのはみんなあの飛行機に乗ってた乗客か?」
 気になり改めてそう聞いてみると、
「イエ、ソウでもナイみたいデス。
 ワタシはただこの地下遺跡の中で見つけられたヒトを集めてきたダケです。地球の言葉、通じるヒト、それほど居ませンです」
 
「クラスの奴らや静修さんらは?」
 そう。爺の言ってた話じゃあ、元々親しい者やあのとき近くにいる者同士、縁が深ければまた巡り会う……みてえな事らしいが、実際のところ樫屋と田上とはこうして即座に落ち合えている。あの場所で数回話した程度のテレンスとも、だ。
 なら、テレンスよりは親しいはずのクラスの奴らや担任の駒井に副担任の在原、それに三年生の大賀や宮尾、何より静修さんもここに居てもおかしくはない。
 
「大野とかクラスの連中はあそこら辺」
 樫屋我指し示す一画には、明らかに憔悴し怪我だらけで、やせ衰えた普通の人間……そう見える連中が居る。
 大野と日乃川のオタクコンビは、チートだかスキルだか言ってはしゃいで居たが、どうもあの様子じゃそれどころの話じゃあ無さそうだ。
 
「静修さんは?」
 だがそいつらよりも気になるのはそっちだ。
 どんな風に生まれ変わってるのか? 
 俺たちみたいに人間じゃねえ存在になってるのか。
 テレンスみたいに前世とこちらでの記憶や生活を両方持ってるのか。
 大野達みてえにズタボロにされた状態なのか……。
 
 糞。あの爺の言ってた調子の良い謳い文句が思い出されてくるぜ。
 強く願えば? 特別な力や加護を得られる?
 まあ、俺なんかは特に何を願ったとも言えねえ方だが、オタクコンビなんかは間違いなく熱心に祈りでも捧げていただろうぜ。
 口先では調子の良い事をいって、期待だけ持たせて実際にはこのザマとは、俺の直感の通りにとんでもなく悪質な神様気取りの糞爺だぜ。
 
「多分、じぎに、戻る」
「彼も、ワタシ同様に、生き延びたヒト達を、探してイマス」
 それを聞いて、何だかかなり腑に落ちた。
 いや、樫屋と田上が、このイカレちまった状況に意外にすんなり順応して、落ち着いてるように感じるのはそのためだろう。
 俺たち同様、静修さんの前世の記憶や人格が蘇っているのなら、きっと率先して周りを引っ張り、鼓舞し、状況を良くするため行動を起こしているはずだ。
 静修さんが居る。ただそれだけでも俺達はなんとなく大丈夫だと思えるし、安心出来るわけだ。
 
「……く、痛つつ……」
 やや落ち着いて気が緩んだのか、また周りを無理に見回そうとして負荷がかかったのか、瓦礫に押し潰されていたすねやらわき腹の辺りやらがズキリと痛んだ。
 思ってた以上に俺の身体は怪我をしているようで、わき腹、肩、左の二の腕、右太股に左のすね……と、どうもかなり色んな場所が痛む。
「おお、大丈夫かよ真嶋くん」
「はぁ……けっこうヒデェ感じだな」
 顔をしかめて返すが、実際怪我のことを意識し始めたら、だんだんその痛みまで増して来た気がする。
 
「少し、調べてみます。痛いでしょうが、ガマンして」
 テレンスがそう言いながら身体を触りつつ確認する。痛む場所を聞きながら、ソフトな触り方だがやはり痛いもんは痛い。とは言えガキみてえに悲鳴をあげるのもみっともねえし、奥歯を噛み締め堪えるしかねえ。
「ぐっ……つつ……」
「ウーン……骨折という程ではアリマセンが、骨にヒビくらいはは入ってるかもしれません。でなくとも、打ち身はかなり、ひどいデスね」
 おおざっぱにだがそう告げる。
「よく分かるな」
「フリージャーナリストは、キケンなチイキにも行くマス。応急手当てと救命のレクチャー、ウケました」
 なんともマメな奴だ。そしてそういう前世の諸々の知識がこうして役に立ってるってのも面白ぇ話だな。
 ああ、糞。俺なんざそう言う意味じゃ、喧嘩の技くれえしか取り柄はねえし、今の身体の状態じあゃあ、それすら役に立ちゃしねえわ。
 
 そんなことをしていると、突然ホールの反対側方面が騒がしくなる。
「何だ?」
「三年組が戻って来たんじゃねえの?」
 樫屋の言う三年組、つまりは宍堂さんを中心とした数名は、けっこう早くからまとまって周囲の探索をしてたらしい。
 テレンスや樫屋、田上なんかもそれぞれに探索しながら再会し、このホールを仮の集合場所に決めてからまた別れて探索をした。
 樫屋は小柄で手足が長いから、人よりも何か使える物がないかを中心に探してたとかで、さっき鏡代わりにした金ピカ大皿をはじめとした集めた物資は、ホールの真ん中あたりにまとめて置いてあり、余裕のある別の奴らが大まかな種類毎に整頓してたりもする。
 
 三年組が戻って来たと言うのなら、当然静修さんも来てるはず。
 俺はよく見えるよう身体を起こし、さらには匂いを嗅ごうとして鼻をひくつかせる。
 ああ、糞。頭で考えている以上にこの新しい猫の身体に慣れて来てるな。
 そうして匂いを辿り出すと、ホールに居る無数の生き物の雑多な匂いの向こうから、嗅いだ事のない奇妙な匂い。
 乾いた、なんとなく獣臭い感じのする匂いだが、毛のある生き物の匂いじゃない。
 そして何よりも最も強く、激しく俺の鼻孔へと感じられるのは───。
 
「……おい、何かヤベェぞ。警戒しとけ」
「へ?」
「どうじだ?」
「───血だ、血の匂いだ」
 俺がそう答えるのと、向こうから数人の悲鳴が聞こえるのとどちらが早かったか……。
 
  
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

『三度目の滅びを阻止せよ ―サラリーマン係長の異世界再建記―』

KAORUwithAI
ファンタジー
45歳、胃薬が手放せない大手総合商社営業部係長・佐藤悠真。 ある日、横断歩道で子供を助け、トラックに轢かれて死んでしまう。 目を覚ますと、目の前に現れたのは“おじさんっぽい神”。 「この世界を何とかしてほしい」と頼まれるが、悠真は「ただのサラリーマンに何ができる」と拒否。 しかし神は、「ならこの世界は三度目の滅びで終わりだな」と冷徹に突き放す。 結局、悠真は渋々承諾。 与えられたのは“現実知識”と“ワールドサーチ”――地球の知識すら検索できる探索魔法。 さらに肉体は20歳に若返り、滅びかけの異世界に送り込まれた。 衛生観念もなく、食糧も乏しく、二度の滅びで人々は絶望の淵にある。 だが、係長として培った経験と知識を武器に、悠真は人々をまとめ、再び世界を立て直そうと奮闘する。 ――これは、“三度目の滅び”を阻止するために挑む、ひとりの中年係長の異世界再建記である。

異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした【改稿版】

きたーの(旧名:せんせい)
ファンタジー
【毎週火木土更新】 自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。 その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ! 約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。 ――― 当作品は過去作品の改稿版です。情景描写等を厚くしております。 なお、投稿規約に基づき既存作品に関しては非公開としておりますためご理解のほどよろしくお願いいたします。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

処理中です...