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バトル開始編
いきなりスキャンダル⁉
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初顔合わせの次の日、せいらはローシュタインのシステムについて頭の中で反芻していた。
「お前たちのポジションは投票で決まる」
ゼネラルマネージャー前島の言葉に、なんだか選挙みたいな言い回しだなと思った。とりあえず、一番人気がある者がセンターになれるという解釈で良いのだろう。
そしてデビュー曲が決定するのは、約一ヶ月後らしい。つまり、一ヶ月後に一番人気であることがセンターの条件である。
「後、参考までにこの数字を意識していてくれ。これは社外秘のAIランクシステムで集計した結果をプロジェクターで投影したものだ。事務所ではずっとこのスクリーンに投影しておくから、随時確認しておくように」
人工知能がインターネット上での声や広告企業の期待値などをリアルタイムで収集し、メンバーの人気を数字として可視化させる装置らしい。もちろん、彼女たちの順位も分かるし、どれくらいの差が開いているのかも見えてしまう。さらりと紹介がなされたがかなり残酷なシステムである。
そこには既に彼女たちの人気の数値が表示されていた。合格後に、各自スマホで撮って送るように指示されていた自己紹介動画が、顔合わせ中にyoutubeや各種SNSで公開されていたようだ。
ということは、このとき映し出されている数値は、ズバリ顔や雰囲気のみでついたランキングということである。
1 星川せいら 2 炎城りり 3 宵空みちる 4 雪町さな 5 姫宮マリア
順位はこの通りだ。せいらも自分の顔が最も万人受けするということは自覚していたので、1位であることは当然の結果だと思う。
驚いたのは炎城りりの順位だ。スキャンダルで引退していたにも関わらず、せいらに肉薄する数値を出している。もし彼女にスキャンダルがなく、移籍という形でローシュタインに入っていたとしたら、独走状態だっただろう。
それに数値の差は全員そこまで開いているわけではない。むしろ唯一の長所である見た目で圧倒できなかったことを焦ったほうが良い、ということをせいらは理解していた。
特別な期待を背負っているローシュタインは、異例の待遇を受けている。予定を見た限り、デビューシングルまでにもかなりメディア露出の機会がある。宵空みちるたちの武器が活かされる場所はそこにあるのだ。
回想がおわり、これからどう戦っていくべきが考えるが、彼女の平凡な頭では良さげな案は浮かばなかった。
おもむろに、手首につけている純白のシュシュに目をやる。これはプロデューサー春元から直々に配布されたものだ。
「僕はねぇ、アイドルに大切なものは狂気だと思うんだ。狂気はね、まっしろな少女たちに色をつけていくんだ。オーディエンスはアイドルが独自の色に染まっていく過程に惹かれていくところもある。だから、今はまだ純白な君たちには、このシミ一つない真っ白なシュシュをおくるよ。これに血や涙、汗で色がつくくらい頑張ってほしい」
気持ち悪い表現であるし、中二病的な痛い発言にも聞こえる。しかし、大物プロデューサーが言うと本質をついた有り難い言葉のようにも感じてしまう。春元には嫌悪感を感じるが、なにか重要な意図がある気がして、左手首にこのシュシュを付けておくことにした。
その次の日、せいらは母と過ごしたり、幼馴染とあったりした。しばらく東京のホテルで過ごすことになるからである。まだ、学校の手続きなどがあるため引っ越しはしないが、実家で過ごしていく時間は短くなっていくだろう。
15時頃には家を出て電車で東京に向かう。到着後はホテルで体を休めて、明日のレッスンに備えた。
日が変わり、13時からレッスンがあるため事務所に向かう。ローシュタインの事務所はレッスンスタジオも併設しているのだ。
せいらは一番遅かったらしく、他のメンバーはすでに集まっていた。だが、彼女たちは引きつった顔でせいらを見ている。姫宮マリアがAIランクシステムを指差したので見てみると驚愕の事態が起きていた。
せいらが4位に、炎城りりが5位になっているのである。他の三人の順位はそのまま繰り上がっていた。
「なっ⁉」 せいらは思わず間抜けな声を出してしまう。
「あんたネットニュースみてないんか?」 低い声で宵空みちるが訪ねてきた。
意図を理解して、せいらはネットニュースで芸能記事を確認する。
『期待の新星グループ デビュー前から2人のスキャンダル⁉」という記事が一番上にでている。せいらの自己紹介動画のスクリーンショットと、りりのビタミンC100時代の画像が二分割されたサムネイルになっていた。
『元“ビタミンC100“センター炎城りり 未成年飲酒のあげくおもらし⁉」という1つ目の見出しと伴に、りりがホームパーティと思われる場所で酒瓶を一気飲みしている写真と、泥酔してズボンを履いたまま放尿し、床に水たまりをつくっている写真が掲載されている。
もう1つの見出しは、『美しすぎる期待のエース 彼氏といちゃいちゃハグ⁉』と書いてある。もちろん、せいらのことのようで、せいらが幼馴染の久本勇気と抱き合っている写真が載せられている。
週間バクロという大手週刊誌がネットニュースの記事元らしく、来週号にてこの二人についての詳細が語られると書いてある。新星アイドルのとくダネをつかんだため、他の週刊誌に先を越される前にとりあえずインターネット上の記事として急いで発表したのだろう。
冷静に分析しているつもりだが、冷や汗がとまらない。なんでこんな写真がネットニュースに載せられているのだ。分からない。分からない!
せいらはとうとう我慢しきれなくなって、「ナンジャコリャー⁉」と事務所中に響く大声で叫んでしまった。
「お前たちのポジションは投票で決まる」
ゼネラルマネージャー前島の言葉に、なんだか選挙みたいな言い回しだなと思った。とりあえず、一番人気がある者がセンターになれるという解釈で良いのだろう。
そしてデビュー曲が決定するのは、約一ヶ月後らしい。つまり、一ヶ月後に一番人気であることがセンターの条件である。
「後、参考までにこの数字を意識していてくれ。これは社外秘のAIランクシステムで集計した結果をプロジェクターで投影したものだ。事務所ではずっとこのスクリーンに投影しておくから、随時確認しておくように」
人工知能がインターネット上での声や広告企業の期待値などをリアルタイムで収集し、メンバーの人気を数字として可視化させる装置らしい。もちろん、彼女たちの順位も分かるし、どれくらいの差が開いているのかも見えてしまう。さらりと紹介がなされたがかなり残酷なシステムである。
そこには既に彼女たちの人気の数値が表示されていた。合格後に、各自スマホで撮って送るように指示されていた自己紹介動画が、顔合わせ中にyoutubeや各種SNSで公開されていたようだ。
ということは、このとき映し出されている数値は、ズバリ顔や雰囲気のみでついたランキングということである。
1 星川せいら 2 炎城りり 3 宵空みちる 4 雪町さな 5 姫宮マリア
順位はこの通りだ。せいらも自分の顔が最も万人受けするということは自覚していたので、1位であることは当然の結果だと思う。
驚いたのは炎城りりの順位だ。スキャンダルで引退していたにも関わらず、せいらに肉薄する数値を出している。もし彼女にスキャンダルがなく、移籍という形でローシュタインに入っていたとしたら、独走状態だっただろう。
それに数値の差は全員そこまで開いているわけではない。むしろ唯一の長所である見た目で圧倒できなかったことを焦ったほうが良い、ということをせいらは理解していた。
特別な期待を背負っているローシュタインは、異例の待遇を受けている。予定を見た限り、デビューシングルまでにもかなりメディア露出の機会がある。宵空みちるたちの武器が活かされる場所はそこにあるのだ。
回想がおわり、これからどう戦っていくべきが考えるが、彼女の平凡な頭では良さげな案は浮かばなかった。
おもむろに、手首につけている純白のシュシュに目をやる。これはプロデューサー春元から直々に配布されたものだ。
「僕はねぇ、アイドルに大切なものは狂気だと思うんだ。狂気はね、まっしろな少女たちに色をつけていくんだ。オーディエンスはアイドルが独自の色に染まっていく過程に惹かれていくところもある。だから、今はまだ純白な君たちには、このシミ一つない真っ白なシュシュをおくるよ。これに血や涙、汗で色がつくくらい頑張ってほしい」
気持ち悪い表現であるし、中二病的な痛い発言にも聞こえる。しかし、大物プロデューサーが言うと本質をついた有り難い言葉のようにも感じてしまう。春元には嫌悪感を感じるが、なにか重要な意図がある気がして、左手首にこのシュシュを付けておくことにした。
その次の日、せいらは母と過ごしたり、幼馴染とあったりした。しばらく東京のホテルで過ごすことになるからである。まだ、学校の手続きなどがあるため引っ越しはしないが、実家で過ごしていく時間は短くなっていくだろう。
15時頃には家を出て電車で東京に向かう。到着後はホテルで体を休めて、明日のレッスンに備えた。
日が変わり、13時からレッスンがあるため事務所に向かう。ローシュタインの事務所はレッスンスタジオも併設しているのだ。
せいらは一番遅かったらしく、他のメンバーはすでに集まっていた。だが、彼女たちは引きつった顔でせいらを見ている。姫宮マリアがAIランクシステムを指差したので見てみると驚愕の事態が起きていた。
せいらが4位に、炎城りりが5位になっているのである。他の三人の順位はそのまま繰り上がっていた。
「なっ⁉」 せいらは思わず間抜けな声を出してしまう。
「あんたネットニュースみてないんか?」 低い声で宵空みちるが訪ねてきた。
意図を理解して、せいらはネットニュースで芸能記事を確認する。
『期待の新星グループ デビュー前から2人のスキャンダル⁉」という記事が一番上にでている。せいらの自己紹介動画のスクリーンショットと、りりのビタミンC100時代の画像が二分割されたサムネイルになっていた。
『元“ビタミンC100“センター炎城りり 未成年飲酒のあげくおもらし⁉」という1つ目の見出しと伴に、りりがホームパーティと思われる場所で酒瓶を一気飲みしている写真と、泥酔してズボンを履いたまま放尿し、床に水たまりをつくっている写真が掲載されている。
もう1つの見出しは、『美しすぎる期待のエース 彼氏といちゃいちゃハグ⁉』と書いてある。もちろん、せいらのことのようで、せいらが幼馴染の久本勇気と抱き合っている写真が載せられている。
週間バクロという大手週刊誌がネットニュースの記事元らしく、来週号にてこの二人についての詳細が語られると書いてある。新星アイドルのとくダネをつかんだため、他の週刊誌に先を越される前にとりあえずインターネット上の記事として急いで発表したのだろう。
冷静に分析しているつもりだが、冷や汗がとまらない。なんでこんな写真がネットニュースに載せられているのだ。分からない。分からない!
せいらはとうとう我慢しきれなくなって、「ナンジャコリャー⁉」と事務所中に響く大声で叫んでしまった。
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