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結
【side リーシャ】
衝撃的な光景を目撃した翌日。私はレイチェルを連れてグランツ伯爵家を訪れた。
(さて……どんな様子かしらね)
今朝、先触れの手紙は出している。だから、昨日、デニール様がグランツ伯爵に何も言っていなかったとしても、グランツ伯爵は事の経緯を知っているはずだ。私が知っているグランツ伯爵であれば、こちらを罵倒してくるような事はしてこないと思うが、グランツ伯爵がデニール様に甘い。
(レイチェルの責任だけを追及してくるような事が無いといいのだけど……)
今回の事は、デニール様とレイチェル両方に責任があると思っている。だから、こちらからデニール様を追及するつもりは無いが、グランツ伯爵にレイチェルの責任だけを追及された場合、話がこじれてしまうかもしれない。
(まぁ、なるようになるしかないわね)
さすがに緊張しているのか、いつもより大人しいレイチェルと共に、私はグランツ伯爵家へ向かった。
「ルージェル子爵。この度は愚息が失礼をした。まことに申し訳ない」
私達がグランツ伯爵家の玄関に着くやいなや、グランツ伯爵が頭を下げて謝罪してきた。
(驚いた。まさか伯爵自ら玄関に出向いて謝罪されるなんて……)
伯爵が玄関まで出迎えして下さるだけで驚愕なのに、頭を下げて謝罪をされたのだ。驚かない方が無理だろう。
(この様子なら、レイチェルの責任だけを追及されることはなさそうね。ひとまず、安心して良さそうだわ)
「頭を上げてください。グランツ伯爵。こちらこそ、愚妹が失礼致しました」
こちらも謝罪の意を表明し、とりあえず応接室に案内してもらう。応接室には、顔面に殴られた痕のあるデニール様の他に、2人の男性が待機されていた。
「会うのは初めてだったかな? この2人はデニールの兄のガルシャとハイネだ」
「ガルシャと申します」
「ハイネと申します」
(デニール様のお顔については触れない方がよさそうね……)
何となくそう考え、私はちらちらとこちらを見ているデニール様をスルーして、2人に挨拶を返す。
「ご丁寧にありがとうございます。初めましてガルシャ様。ハイネ様。ルージェル子爵家当主のリーシャです。こちらは、私の妹のレイチェルです」
「レイチェルです。よろしくお願いいたします」
一通りの自己紹介がすんだところで、グランツ伯爵が本題に入る。
「さて……改めて、今回は我が家の愚息がご迷惑をお掛けしてしまって申し訳ない。先触れには、婚約の解消と書いてあったが、私しては、デニール有責での婚約破棄でも構わないと考えている」
意外にも、グランツ伯爵はデニール様に厳しい事をおっしゃられた。
「いえ、今回の件はこちらにも原因がありますので、そちらのみの有責にしていただく必要はありません。婚約を続けるのは難しいですが、破棄ではなく、解消で結構でございます」
「そうか……承知した。早急に婚約解消の手続きを行おう」
そう言って、グランツ伯爵はなぜか厳しい顔をされる。
(私に引け目を感じてくださっているのかな? なら……)
「ありがとうございます。あの……もし、可能であれば、私の新しい婚約者についてご紹介をお願いできますでしょうか。お恥ずかしい話なのですが、私は殿方に好かれにくいようでして……」
グランツ伯爵の引け目に付け入るようで申し訳ないのだが、私は早急に次の婚約者を決める必要がある。そう思って、新しい婚約者の紹介をお願いしたところ、グランツ伯爵はますます厳しい顔になってしまった。
「それについてなのだが……もし、ルージェル子爵が嫌でなければ、だが……我が家の次男であるハイネと婚約してもらう事は出来るだろうか?」
「……ぇ?」
思わぬ提案に、そして、グランツ伯爵のあり得ぬ低姿勢に、思わず変な声が出てしまう。
(ハイネ様との婚約は……正直ありがたい。ハイネ様がどんな人物か分からないけど、とにかく婚約できるのだから。それより、なんでグランツ伯爵はこんなに低姿勢なの? ………………ダメ。グランツ伯爵の意図が読めない)
伯爵であるグランツ伯爵が子爵である私に『婚約してもらう事は出来るだろうか?』などど聞く事が、常識的に考えておかしい。何か裏があるのは確実なのだが、その裏が全く読めない。
「それと……今回の件で、レイチェル嬢の婚約も難しくなってしまっただろう。責任をとるという意味でも、レイチェル嬢に、ガルシャの婚約者となってもらいたいと考えているのだがいかがだろうか?」
「「ぇ? …………ぇぇえええ!!??」」
私と、そしてレイチェルの叫び声が応接室にこだました。
【side レイチェル】
(私がガルシャ様の婚約者!? 何がどうしてそうなったの!?)
混乱する私(とお姉ちゃん)の前で、グランツ伯爵が言葉を続ける。
「もちろん、今回のレイチェル嬢の件を口外する気はない。とはいえ、人の口に戸は立てられぬのも事実。であるならば、こちらが責任を取るのが筋であろう」
「…………だったら俺が」
「「――お前は黙ってろ!!」」
ぼこっ!!
「ぐふっ!!」
グランツ伯爵とガルシャ様の拳が、デニール様の頭とみぞおちに落ちた。デニール様は痛そうにうずくまる。
(わぁ、いい気味……じゃなくて、痛そう)
冷静に考えれば、今回の件はそこまでデニール様に非はないはずなのだが、デニール様が余計な事をしなければ、あんな姿になる事もなかったと思うと、どうしてもいい気味と思わずにいられなかった。
「…………というわけで、レイチェル嬢には、グランツ伯爵家に嫁入りしてもらいたいと考えているのだが、いかがだろうか」
「え、あ、えっと……その……」
突然、話を振られて、私は戸惑ってしまう。思わずお姉ちゃんを見ると、お姉ちゃんは戸惑いながらも、ゆっくり頷いてくれた。
「いい話だと思うし、私に文句はないわ。まぁ、貴女が義姉になってしまうのは複雑だけど、それはそれね」
「お姉ちゃん……」
そう言ってお姉ちゃんは優しく微笑んだ。お姉ちゃんのこんな顔、初めて見た気がする。
(私がガルシャ様と婚約……そんな事、考えてもみなかった)
そもそもグランツ伯爵家は伯爵家の中でもかなり裕福な家で、その家の長男であるガルシャ様は、侯爵家どころか、公爵家の令嬢と婚約しても、おかしくないようなお方である。子爵令嬢である私なんかを相手にするわけがないと思っていたし、それが普通だ。
(でも……もし叶うなら……)
「ありがとうございます。ぜひお受けさせて頂きたいと考えております」
ガルシャ様の婚約者になりたい。そう思ったのだ。
「良かった。それじゃ、これからよろしく頼むよ」
そう言って笑うガルシャ様は、いつもの笑みとは異なる、とてもいい笑顔をされていた。
【あとがき】
本編はこれで完結です。最後に各キャラの紹介とこの婚約に対する気持ちをどうぞ!
・リーシャ
恋愛に無頓着な模範的な貴族令嬢。
(これで貴族の義務を果たせるわ!)
ハイネと結婚後は、グランツ伯爵家と繋がりを持てた事で、ますますルージェル子爵家を発展させていった。
・レイチェル
優れた能力を持ちつつ、平民並みに恋愛に憧れを持つ貴族令嬢。
(ガルシャ様の婚約者か……勢いでOKしちゃったけど、大丈夫よね? あの笑顔はいつもの笑みとは違ったもの……きっと大丈夫よ!!)
ガルシャとの結婚後も、自分を認めて、大事にしてくれるガルシャを大切に思っている。2人っきりの時に着せられる扇情的過ぎる部屋着を恥ずかしく思いつつ、夫の不器用な愛情表現を嬉しく思っている事は、彼女だけの秘密だ。
・ガルシャ
非常に優秀な貴族令息。情に脆い父を反面教師とし、グランツ伯爵領をさらに発展させた。
(ふふ。これで一生、レイチェルで遊べる。さぁ、まずはどの服を着てもらおうかな。とりあえず、デニールに見せた服より、凄い服を着てもらわないとな!)
レイチェルに対する恋愛感情に気付いてからは、独占欲を全開にし、速攻で婚約までこぎつけた。相手のレイチェルがガルシャに恋愛感情を持っていたので良かったが、そうでなかったらちょっとヤバい事になっていたかも……。レイチェルと結婚した後は、針子に指示して作らせた様々な部屋着(?)をレイチェルに着せる事を一番の楽しみにしている。
・ハイネ
能力的には優秀だが、自発的に行動する事はできない貴族令息。
(よくわかんないけど、これまで通り、兄貴の言う通りにしよう)
指示する相手が、ガルシャからリーシャに変わっただけなのだが、本人に不満はない。結婚後は、妻であるリーシャの指示のもと、グランツ伯爵領の発展に貢献した。
・デニール
甘やかされて育った末っ子気質の強い貴族令息。
(また、兄上達に奪われた! クソがぁぁああ!!!)
潜在能力的には兄達に引けを取らないのだが、努力嫌いで、経験が圧倒的に不足しているため、正しい判断を下せない事がしばしば。問題が起きた時、他人のせいにしてしまう癖を直せない限り、彼が成長する事はないだろう。
リーシャとハイネは、政略結婚ではあるものの、非常に相性が良く、ルージェル子爵家をさらに発展させていきました。
ガルシャとレイチェルは、ガルシャがレイチェルを振り回しまくるものの、優秀なレイチェルは苦労しながらもガルシャの期待に応え続けて行きます。ちなみに学生時代、レイチェルに交際の申し込みが無かった理由は、『ガルシャがレイチェルにご執心だ』という噂が流れていたからです。レイチェルは最後まで気付きませんでしたが、実は、学生時代からガルシャの独占気質の片鱗は見えていたのです。
デニールは、実はそこまで悪い事をしたわけではないのですが、ガルシャの根回しのせいでグランツ伯爵から鉄拳制裁を受ける事に。彼にも幸せがあるといいですね。
ちなみにグランツ伯爵がデニールに鉄拳制裁を食らわせたのは、ガルシャから『デニールが部屋着のレイチェル嬢をルージェル子爵と間違えて襲おうとして、その現場をルージェル子爵に見られた』と聞いていたためです。
優しくも、貴族の慣習に厳しいグランツ伯爵は『なんの咎もないの貴族令嬢』を襲おうとしたデニールに激怒し、甘やかしてきた事を反省しました。そして、『なんの咎はなくとも襲われかけた貴族令嬢』は、婚約者探しに苦労するだろうと思い、ガルシャと婚約する事を進めたのです。作中でグランツ伯爵がかなりの低姿勢で険しい顔をしていたのは、『なんの咎もない貴族令嬢』であるレイチェルへの罪悪感のためでした。
衝撃的な光景を目撃した翌日。私はレイチェルを連れてグランツ伯爵家を訪れた。
(さて……どんな様子かしらね)
今朝、先触れの手紙は出している。だから、昨日、デニール様がグランツ伯爵に何も言っていなかったとしても、グランツ伯爵は事の経緯を知っているはずだ。私が知っているグランツ伯爵であれば、こちらを罵倒してくるような事はしてこないと思うが、グランツ伯爵がデニール様に甘い。
(レイチェルの責任だけを追及してくるような事が無いといいのだけど……)
今回の事は、デニール様とレイチェル両方に責任があると思っている。だから、こちらからデニール様を追及するつもりは無いが、グランツ伯爵にレイチェルの責任だけを追及された場合、話がこじれてしまうかもしれない。
(まぁ、なるようになるしかないわね)
さすがに緊張しているのか、いつもより大人しいレイチェルと共に、私はグランツ伯爵家へ向かった。
「ルージェル子爵。この度は愚息が失礼をした。まことに申し訳ない」
私達がグランツ伯爵家の玄関に着くやいなや、グランツ伯爵が頭を下げて謝罪してきた。
(驚いた。まさか伯爵自ら玄関に出向いて謝罪されるなんて……)
伯爵が玄関まで出迎えして下さるだけで驚愕なのに、頭を下げて謝罪をされたのだ。驚かない方が無理だろう。
(この様子なら、レイチェルの責任だけを追及されることはなさそうね。ひとまず、安心して良さそうだわ)
「頭を上げてください。グランツ伯爵。こちらこそ、愚妹が失礼致しました」
こちらも謝罪の意を表明し、とりあえず応接室に案内してもらう。応接室には、顔面に殴られた痕のあるデニール様の他に、2人の男性が待機されていた。
「会うのは初めてだったかな? この2人はデニールの兄のガルシャとハイネだ」
「ガルシャと申します」
「ハイネと申します」
(デニール様のお顔については触れない方がよさそうね……)
何となくそう考え、私はちらちらとこちらを見ているデニール様をスルーして、2人に挨拶を返す。
「ご丁寧にありがとうございます。初めましてガルシャ様。ハイネ様。ルージェル子爵家当主のリーシャです。こちらは、私の妹のレイチェルです」
「レイチェルです。よろしくお願いいたします」
一通りの自己紹介がすんだところで、グランツ伯爵が本題に入る。
「さて……改めて、今回は我が家の愚息がご迷惑をお掛けしてしまって申し訳ない。先触れには、婚約の解消と書いてあったが、私しては、デニール有責での婚約破棄でも構わないと考えている」
意外にも、グランツ伯爵はデニール様に厳しい事をおっしゃられた。
「いえ、今回の件はこちらにも原因がありますので、そちらのみの有責にしていただく必要はありません。婚約を続けるのは難しいですが、破棄ではなく、解消で結構でございます」
「そうか……承知した。早急に婚約解消の手続きを行おう」
そう言って、グランツ伯爵はなぜか厳しい顔をされる。
(私に引け目を感じてくださっているのかな? なら……)
「ありがとうございます。あの……もし、可能であれば、私の新しい婚約者についてご紹介をお願いできますでしょうか。お恥ずかしい話なのですが、私は殿方に好かれにくいようでして……」
グランツ伯爵の引け目に付け入るようで申し訳ないのだが、私は早急に次の婚約者を決める必要がある。そう思って、新しい婚約者の紹介をお願いしたところ、グランツ伯爵はますます厳しい顔になってしまった。
「それについてなのだが……もし、ルージェル子爵が嫌でなければ、だが……我が家の次男であるハイネと婚約してもらう事は出来るだろうか?」
「……ぇ?」
思わぬ提案に、そして、グランツ伯爵のあり得ぬ低姿勢に、思わず変な声が出てしまう。
(ハイネ様との婚約は……正直ありがたい。ハイネ様がどんな人物か分からないけど、とにかく婚約できるのだから。それより、なんでグランツ伯爵はこんなに低姿勢なの? ………………ダメ。グランツ伯爵の意図が読めない)
伯爵であるグランツ伯爵が子爵である私に『婚約してもらう事は出来るだろうか?』などど聞く事が、常識的に考えておかしい。何か裏があるのは確実なのだが、その裏が全く読めない。
「それと……今回の件で、レイチェル嬢の婚約も難しくなってしまっただろう。責任をとるという意味でも、レイチェル嬢に、ガルシャの婚約者となってもらいたいと考えているのだがいかがだろうか?」
「「ぇ? …………ぇぇえええ!!??」」
私と、そしてレイチェルの叫び声が応接室にこだました。
【side レイチェル】
(私がガルシャ様の婚約者!? 何がどうしてそうなったの!?)
混乱する私(とお姉ちゃん)の前で、グランツ伯爵が言葉を続ける。
「もちろん、今回のレイチェル嬢の件を口外する気はない。とはいえ、人の口に戸は立てられぬのも事実。であるならば、こちらが責任を取るのが筋であろう」
「…………だったら俺が」
「「――お前は黙ってろ!!」」
ぼこっ!!
「ぐふっ!!」
グランツ伯爵とガルシャ様の拳が、デニール様の頭とみぞおちに落ちた。デニール様は痛そうにうずくまる。
(わぁ、いい気味……じゃなくて、痛そう)
冷静に考えれば、今回の件はそこまでデニール様に非はないはずなのだが、デニール様が余計な事をしなければ、あんな姿になる事もなかったと思うと、どうしてもいい気味と思わずにいられなかった。
「…………というわけで、レイチェル嬢には、グランツ伯爵家に嫁入りしてもらいたいと考えているのだが、いかがだろうか」
「え、あ、えっと……その……」
突然、話を振られて、私は戸惑ってしまう。思わずお姉ちゃんを見ると、お姉ちゃんは戸惑いながらも、ゆっくり頷いてくれた。
「いい話だと思うし、私に文句はないわ。まぁ、貴女が義姉になってしまうのは複雑だけど、それはそれね」
「お姉ちゃん……」
そう言ってお姉ちゃんは優しく微笑んだ。お姉ちゃんのこんな顔、初めて見た気がする。
(私がガルシャ様と婚約……そんな事、考えてもみなかった)
そもそもグランツ伯爵家は伯爵家の中でもかなり裕福な家で、その家の長男であるガルシャ様は、侯爵家どころか、公爵家の令嬢と婚約しても、おかしくないようなお方である。子爵令嬢である私なんかを相手にするわけがないと思っていたし、それが普通だ。
(でも……もし叶うなら……)
「ありがとうございます。ぜひお受けさせて頂きたいと考えております」
ガルシャ様の婚約者になりたい。そう思ったのだ。
「良かった。それじゃ、これからよろしく頼むよ」
そう言って笑うガルシャ様は、いつもの笑みとは異なる、とてもいい笑顔をされていた。
【あとがき】
本編はこれで完結です。最後に各キャラの紹介とこの婚約に対する気持ちをどうぞ!
・リーシャ
恋愛に無頓着な模範的な貴族令嬢。
(これで貴族の義務を果たせるわ!)
ハイネと結婚後は、グランツ伯爵家と繋がりを持てた事で、ますますルージェル子爵家を発展させていった。
・レイチェル
優れた能力を持ちつつ、平民並みに恋愛に憧れを持つ貴族令嬢。
(ガルシャ様の婚約者か……勢いでOKしちゃったけど、大丈夫よね? あの笑顔はいつもの笑みとは違ったもの……きっと大丈夫よ!!)
ガルシャとの結婚後も、自分を認めて、大事にしてくれるガルシャを大切に思っている。2人っきりの時に着せられる扇情的過ぎる部屋着を恥ずかしく思いつつ、夫の不器用な愛情表現を嬉しく思っている事は、彼女だけの秘密だ。
・ガルシャ
非常に優秀な貴族令息。情に脆い父を反面教師とし、グランツ伯爵領をさらに発展させた。
(ふふ。これで一生、レイチェルで遊べる。さぁ、まずはどの服を着てもらおうかな。とりあえず、デニールに見せた服より、凄い服を着てもらわないとな!)
レイチェルに対する恋愛感情に気付いてからは、独占欲を全開にし、速攻で婚約までこぎつけた。相手のレイチェルがガルシャに恋愛感情を持っていたので良かったが、そうでなかったらちょっとヤバい事になっていたかも……。レイチェルと結婚した後は、針子に指示して作らせた様々な部屋着(?)をレイチェルに着せる事を一番の楽しみにしている。
・ハイネ
能力的には優秀だが、自発的に行動する事はできない貴族令息。
(よくわかんないけど、これまで通り、兄貴の言う通りにしよう)
指示する相手が、ガルシャからリーシャに変わっただけなのだが、本人に不満はない。結婚後は、妻であるリーシャの指示のもと、グランツ伯爵領の発展に貢献した。
・デニール
甘やかされて育った末っ子気質の強い貴族令息。
(また、兄上達に奪われた! クソがぁぁああ!!!)
潜在能力的には兄達に引けを取らないのだが、努力嫌いで、経験が圧倒的に不足しているため、正しい判断を下せない事がしばしば。問題が起きた時、他人のせいにしてしまう癖を直せない限り、彼が成長する事はないだろう。
リーシャとハイネは、政略結婚ではあるものの、非常に相性が良く、ルージェル子爵家をさらに発展させていきました。
ガルシャとレイチェルは、ガルシャがレイチェルを振り回しまくるものの、優秀なレイチェルは苦労しながらもガルシャの期待に応え続けて行きます。ちなみに学生時代、レイチェルに交際の申し込みが無かった理由は、『ガルシャがレイチェルにご執心だ』という噂が流れていたからです。レイチェルは最後まで気付きませんでしたが、実は、学生時代からガルシャの独占気質の片鱗は見えていたのです。
デニールは、実はそこまで悪い事をしたわけではないのですが、ガルシャの根回しのせいでグランツ伯爵から鉄拳制裁を受ける事に。彼にも幸せがあるといいですね。
ちなみにグランツ伯爵がデニールに鉄拳制裁を食らわせたのは、ガルシャから『デニールが部屋着のレイチェル嬢をルージェル子爵と間違えて襲おうとして、その現場をルージェル子爵に見られた』と聞いていたためです。
優しくも、貴族の慣習に厳しいグランツ伯爵は『なんの咎もないの貴族令嬢』を襲おうとしたデニールに激怒し、甘やかしてきた事を反省しました。そして、『なんの咎はなくとも襲われかけた貴族令嬢』は、婚約者探しに苦労するだろうと思い、ガルシャと婚約する事を進めたのです。作中でグランツ伯爵がかなりの低姿勢で険しい顔をしていたのは、『なんの咎もない貴族令嬢』であるレイチェルへの罪悪感のためでした。
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