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その1
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どれほど優秀なアルファでも、どんなに美しいオメガでも、《運命の番》に出会うとは限らない。
大抵は諦めてしまって、違う誰かと番うことも多い。
だけど、僕、木崎颯太は、運命の番である皇さんと出会い、そして結ばれた。
………もっともまだ、結婚式は挙げていないけどね?
その日、僕と皇さんはいつもと変わらない朝を迎えた。
朝の早い皇さんに、濃厚すぎるキスで起こされた僕は、さっとシャワーを浴びて頭をシャっきりさせる。
その間皇さんが朝食の準備を済ませて一緒に食事。
皇さんの着替えをお手伝いしたのち、再び濃厚すぎるキスをして、皇さんは仕事に向かう。
いつもと違ったのは、「そうだ。今日はもしかしたらテレビに出るかもしれない。二時から会見なんだ」って言われたことくらい。
僕は、「分かった。二時ごろ、テレビ見てみるね」って約束して皇さんを送り出した。
そう。
僕と皇さんは同棲をはじめたのだ。
一緒に暮らし始めて分かったけど、皇さんは、凄く過保護だった。
朝食の準備をしてくれるのも、何も僕が妊娠中でよく眠くなるから、だけではない。
同棲する前からその片鱗は見せていたけれど、その過保護っぷりが度を超えて悪化した。
とにかく皇さんは僕の世話を焼くのに熱心だ。
一度、皇さんの仕事が押して帰りが遅くなり、その間夕食の準備を済ませてしまっていたら、ものすごく複雑そうな顔をされた。
いわく。
颯太の手料理を食べられるのは嬉しい。
しかし颯太が包丁で怪我をしてしまうのでは。
料理中にやけどをしてしまうのでは。
そんなことが気になって仕事が手につかないから、家事をするのはお願いだからやめてくれと、心から心配そうな顔で懇願される羽目になった。
多少は抵抗したものの、結局僕は諦めた。
アルファには3種類のアルファがいると言う。
番であるオメガの全てを支配する帝王タイプ。
この帝王タイプのアルファは、番一挙手一投足を規制し、己の意のままにする。
逆に番の全ての行動を甘受し、時に放任主義ともとられる慈愛タイプ。
一見よさそうな気もするが、この慈愛タイプは帝王タイプとともに複数のオメガを囲い、ハーレムを形成することもあるので良いことばかりではない。
最後が溺愛タイプ。とにかく番の全てを愛し、全ての世話を焼きたがるという。
まさに皇さんは、この溺愛タイプだろう。
智子姉の夫である馨さんに聞いたところ、トイレ、お風呂、全ての世話を焼くアルファを知っているとのこと。
それに比べたら、僕はまだましな方。
そう思うことにした。
このタイプのアルファは、溺愛するあまり時に番を監禁することすらあるらしい。
僕はまだ監禁もされていないし、トイレだって一人で行く。
お風呂はまぁその……過剰なスキンシップがないわけじゃないけど、まだ許容範囲というか……僕も嫌いじゃないというか……。
ま、まぁ、そんな訳で僕の目下の仕事は皇さんの番として相応しくなるべく教養と外見を磨くのが日課となっている。
それは、もちろん来る結婚式のために、だけじゃなくて、いつか頃合いを見て皇さんの番と発表される日に備えて、ということもある。
今回の挙式は皇さんと僕の家族だけのこじんまりとした挙式だけど、出産して落ち着いたころには対外的な披露宴を行うからだ。
別に僕は式には拘らなかったんだけど、「入籍だけでもいいけど?」って言ったら皇さんに泣かれた。
何も泣かなくてもと思うんだけど、皇さんにとっては大事なイベントらしい。
皇さんによると、披露宴で自分の番を美しく着飾り自慢するのがアルファの醍醐味なんだとか。
ロマンチストな皇さんは、披露宴にも思い入れがって、自分と番との披露宴にはこうしたい、ああしようとか、ずっと前から密かに思い描いていたことがあったらしく、打ち合わせは僕より皇さんの方の力が入っていた。
鏡の前で皇さんの見繕った男性オメガ用のウェディングドレススーツってやつを何着も試着させられたし、僕が試着する度に皇さんは記念用と言って写真をバシャバシャ撮っていた。
すごく高額そうだけど、これって二回目の挙式でも着れるのかな?
皇さんのことだから、なんだかんだと新調されそうな気もする。
唯一僕が決めたのは、ウェディングケーキくらい。
実はこのケーキ、作ってくれるのは僕の高校時代の友人。
同じ男性オメガですでに子供も三人いる妻帯者なのに、奈留って友達に頼みたいって言ったら、皇さん、「その人、誰?」って、怖い顔で聞いてきた。
どうも僕から家族以外の知らない名前を聞いて、妬いたみたいだ。
皇さんて、ほんとに可愛いよね?
同棲して以来、僕の想像していた皇さん像とはだいぶかけ離れてきたけど、番効果なのか、なんでも許せちゃうから不思議だよね?
結局どこで挙式するか式場だけ決まってない状況で、見つからないなら東京ドームを貸し切ってやるなんて冗談言ってたら、たまたま箱根エンパイヤホテルに入って予約が日程変更になったとかで、ほくほく顔で皇さんが帰ってきたという訳だった。
人気のホテルだからとてもこんな急には予約できないって思ってたけど、近親者だけならそんなに大きな会場いらないからって、皇さんが諦めずにキャンセル待ちしてたみたい。
皇さんの秘書の幸田さんが、「あれはまぁキャンセル待ちというかなんというか、力技……ですけどね?」なんて言ってたからちょっと気になったけど、皇さんに聞いたら笑って教えてくれなかった……。
そんな訳で、皇さんを見送った今日の僕の仕事は、ブライダルエステに行くこと。
僕たちの挙式は、2週間後の大安の日。
場所は、僕たちが2度の再会を果たした箱根エンパイアホテルだ。
お陰でエステサロンのお姉さんの熱意は半端ない。
もちろんこのエステサロンも皇グループ系列のエステサロンであだ。
僕の妊娠もあり挙式を急いだためまだ公式には発表されていないから、秘密プロジェクトとして僕のキラキラお嫁さん作戦は進行しているようだ。
皇さんに「エステのマッサージ、すんごく気持ちよかった」って報告したら、妙に皇さんが対抗して来て、毎晩寝る前に優しくマッサージしてくれるようになった。
でもなんか………違う気持ちよさなんだよね。
うん。
そんなこと言ったら泣いちゃうかもだから言えないけど。
大抵は諦めてしまって、違う誰かと番うことも多い。
だけど、僕、木崎颯太は、運命の番である皇さんと出会い、そして結ばれた。
………もっともまだ、結婚式は挙げていないけどね?
その日、僕と皇さんはいつもと変わらない朝を迎えた。
朝の早い皇さんに、濃厚すぎるキスで起こされた僕は、さっとシャワーを浴びて頭をシャっきりさせる。
その間皇さんが朝食の準備を済ませて一緒に食事。
皇さんの着替えをお手伝いしたのち、再び濃厚すぎるキスをして、皇さんは仕事に向かう。
いつもと違ったのは、「そうだ。今日はもしかしたらテレビに出るかもしれない。二時から会見なんだ」って言われたことくらい。
僕は、「分かった。二時ごろ、テレビ見てみるね」って約束して皇さんを送り出した。
そう。
僕と皇さんは同棲をはじめたのだ。
一緒に暮らし始めて分かったけど、皇さんは、凄く過保護だった。
朝食の準備をしてくれるのも、何も僕が妊娠中でよく眠くなるから、だけではない。
同棲する前からその片鱗は見せていたけれど、その過保護っぷりが度を超えて悪化した。
とにかく皇さんは僕の世話を焼くのに熱心だ。
一度、皇さんの仕事が押して帰りが遅くなり、その間夕食の準備を済ませてしまっていたら、ものすごく複雑そうな顔をされた。
いわく。
颯太の手料理を食べられるのは嬉しい。
しかし颯太が包丁で怪我をしてしまうのでは。
料理中にやけどをしてしまうのでは。
そんなことが気になって仕事が手につかないから、家事をするのはお願いだからやめてくれと、心から心配そうな顔で懇願される羽目になった。
多少は抵抗したものの、結局僕は諦めた。
アルファには3種類のアルファがいると言う。
番であるオメガの全てを支配する帝王タイプ。
この帝王タイプのアルファは、番一挙手一投足を規制し、己の意のままにする。
逆に番の全ての行動を甘受し、時に放任主義ともとられる慈愛タイプ。
一見よさそうな気もするが、この慈愛タイプは帝王タイプとともに複数のオメガを囲い、ハーレムを形成することもあるので良いことばかりではない。
最後が溺愛タイプ。とにかく番の全てを愛し、全ての世話を焼きたがるという。
まさに皇さんは、この溺愛タイプだろう。
智子姉の夫である馨さんに聞いたところ、トイレ、お風呂、全ての世話を焼くアルファを知っているとのこと。
それに比べたら、僕はまだましな方。
そう思うことにした。
このタイプのアルファは、溺愛するあまり時に番を監禁することすらあるらしい。
僕はまだ監禁もされていないし、トイレだって一人で行く。
お風呂はまぁその……過剰なスキンシップがないわけじゃないけど、まだ許容範囲というか……僕も嫌いじゃないというか……。
ま、まぁ、そんな訳で僕の目下の仕事は皇さんの番として相応しくなるべく教養と外見を磨くのが日課となっている。
それは、もちろん来る結婚式のために、だけじゃなくて、いつか頃合いを見て皇さんの番と発表される日に備えて、ということもある。
今回の挙式は皇さんと僕の家族だけのこじんまりとした挙式だけど、出産して落ち着いたころには対外的な披露宴を行うからだ。
別に僕は式には拘らなかったんだけど、「入籍だけでもいいけど?」って言ったら皇さんに泣かれた。
何も泣かなくてもと思うんだけど、皇さんにとっては大事なイベントらしい。
皇さんによると、披露宴で自分の番を美しく着飾り自慢するのがアルファの醍醐味なんだとか。
ロマンチストな皇さんは、披露宴にも思い入れがって、自分と番との披露宴にはこうしたい、ああしようとか、ずっと前から密かに思い描いていたことがあったらしく、打ち合わせは僕より皇さんの方の力が入っていた。
鏡の前で皇さんの見繕った男性オメガ用のウェディングドレススーツってやつを何着も試着させられたし、僕が試着する度に皇さんは記念用と言って写真をバシャバシャ撮っていた。
すごく高額そうだけど、これって二回目の挙式でも着れるのかな?
皇さんのことだから、なんだかんだと新調されそうな気もする。
唯一僕が決めたのは、ウェディングケーキくらい。
実はこのケーキ、作ってくれるのは僕の高校時代の友人。
同じ男性オメガですでに子供も三人いる妻帯者なのに、奈留って友達に頼みたいって言ったら、皇さん、「その人、誰?」って、怖い顔で聞いてきた。
どうも僕から家族以外の知らない名前を聞いて、妬いたみたいだ。
皇さんて、ほんとに可愛いよね?
同棲して以来、僕の想像していた皇さん像とはだいぶかけ離れてきたけど、番効果なのか、なんでも許せちゃうから不思議だよね?
結局どこで挙式するか式場だけ決まってない状況で、見つからないなら東京ドームを貸し切ってやるなんて冗談言ってたら、たまたま箱根エンパイヤホテルに入って予約が日程変更になったとかで、ほくほく顔で皇さんが帰ってきたという訳だった。
人気のホテルだからとてもこんな急には予約できないって思ってたけど、近親者だけならそんなに大きな会場いらないからって、皇さんが諦めずにキャンセル待ちしてたみたい。
皇さんの秘書の幸田さんが、「あれはまぁキャンセル待ちというかなんというか、力技……ですけどね?」なんて言ってたからちょっと気になったけど、皇さんに聞いたら笑って教えてくれなかった……。
そんな訳で、皇さんを見送った今日の僕の仕事は、ブライダルエステに行くこと。
僕たちの挙式は、2週間後の大安の日。
場所は、僕たちが2度の再会を果たした箱根エンパイアホテルだ。
お陰でエステサロンのお姉さんの熱意は半端ない。
もちろんこのエステサロンも皇グループ系列のエステサロンであだ。
僕の妊娠もあり挙式を急いだためまだ公式には発表されていないから、秘密プロジェクトとして僕のキラキラお嫁さん作戦は進行しているようだ。
皇さんに「エステのマッサージ、すんごく気持ちよかった」って報告したら、妙に皇さんが対抗して来て、毎晩寝る前に優しくマッサージしてくれるようになった。
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うん。
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