10 / 12
真咲の失踪
しおりを挟む
「鈴ヶ宮会長……様?」
夕日がまぶしくて、窓際に立つ人物が誰か分からなかった。
だけど数歩進んでそれが、鈴ヶ宮ではないことが分かった。
「え?
泊崎、せんせ?」
どうしてここに泊崎先生が?
鈴ヶ宮会長は?
真咲はきょろきょろと、鈴ヶ宮の姿を探す。
コワイ会長と、二人っきりじゃなくて良かった!!
そう思った真咲だったが、数秒後にはそれが大きな間違いだったことに気付く。
穏やかだった泊崎は、突如として豹変した。
生徒会室から戻ってきた忍は、まだドキドキと激しく胸を打つ鼓動をどうにかしようと、寮の自室の前で立ち止まった。
これもそれも、会長が変なせいだ。
生徒会室に着いた後すぐに帰ろうとした忍を、鈴ヶ宮は「もう、帰るのか? もう少しゆっくりしていけばいいのに……」とか言い出して、引き留めようとする。
それを他の生徒会役員達に揶揄うように囃し立てられ、忍はいたたまれず逃げるように戻ってきたのだ。
走って戻ったせいで、息も荒い。
……これじゃ、真咲に変に思われる。
ドアの前で、何度も深呼吸をして、息を整える。
そうしてると、通りかかった隣の部屋の牧瀬に呼びかけられた。
「あ、津田!!
遠野が伝言って!!
会長様に呼び出されたから、行ってくるって言ってたぞ?」
「は? 会長??
会長って??」
「そりゃ、生徒会長だろ?」
牧瀬はそう言って、自分の部屋に入っていった。
生徒会長? 鈴ヶ宮が??
でも、さっき、帰ろうとした俺を呼び止めて。
「遠野によろしな?」
そう言った。
だから、生徒会長な訳ない。
そう思った。
だけど俺には真咲がどこかなんて検討もつかなくて……。
ただもと来た道を一目散に駆け抜けた。
ノックもせずに生徒会室に入ってきた忍に、鈴ヶ宮は目を丸くしている。
「遠野は……?
真咲はどこ?」
縋るような忍の問いかけに、「ここにはいない……何があった?」と、鈴ヶ宮は眉を顰めた。
「……あんたに呼ばれたって……いなくなった」
忍が鈴ヶ宮にそう伝えると、生徒会長然と、「おいっ、風紀に連絡しろ!!」と、席をたって役員たちに指示を飛ばす。
そして忍に歩み寄るや、鈴ヶ宮は手を差し伸べた。
「……探しに行くんだろ?」
そう問われて、忍ははっと我を取り戻した。
そうだ……。
今度は絶対助ける。
忍はコクリと頷いて、鈴ヶ宮の差し出した手をぐっと握り返した。
夕日がまぶしくて、窓際に立つ人物が誰か分からなかった。
だけど数歩進んでそれが、鈴ヶ宮ではないことが分かった。
「え?
泊崎、せんせ?」
どうしてここに泊崎先生が?
鈴ヶ宮会長は?
真咲はきょろきょろと、鈴ヶ宮の姿を探す。
コワイ会長と、二人っきりじゃなくて良かった!!
そう思った真咲だったが、数秒後にはそれが大きな間違いだったことに気付く。
穏やかだった泊崎は、突如として豹変した。
生徒会室から戻ってきた忍は、まだドキドキと激しく胸を打つ鼓動をどうにかしようと、寮の自室の前で立ち止まった。
これもそれも、会長が変なせいだ。
生徒会室に着いた後すぐに帰ろうとした忍を、鈴ヶ宮は「もう、帰るのか? もう少しゆっくりしていけばいいのに……」とか言い出して、引き留めようとする。
それを他の生徒会役員達に揶揄うように囃し立てられ、忍はいたたまれず逃げるように戻ってきたのだ。
走って戻ったせいで、息も荒い。
……これじゃ、真咲に変に思われる。
ドアの前で、何度も深呼吸をして、息を整える。
そうしてると、通りかかった隣の部屋の牧瀬に呼びかけられた。
「あ、津田!!
遠野が伝言って!!
会長様に呼び出されたから、行ってくるって言ってたぞ?」
「は? 会長??
会長って??」
「そりゃ、生徒会長だろ?」
牧瀬はそう言って、自分の部屋に入っていった。
生徒会長? 鈴ヶ宮が??
でも、さっき、帰ろうとした俺を呼び止めて。
「遠野によろしな?」
そう言った。
だから、生徒会長な訳ない。
そう思った。
だけど俺には真咲がどこかなんて検討もつかなくて……。
ただもと来た道を一目散に駆け抜けた。
ノックもせずに生徒会室に入ってきた忍に、鈴ヶ宮は目を丸くしている。
「遠野は……?
真咲はどこ?」
縋るような忍の問いかけに、「ここにはいない……何があった?」と、鈴ヶ宮は眉を顰めた。
「……あんたに呼ばれたって……いなくなった」
忍が鈴ヶ宮にそう伝えると、生徒会長然と、「おいっ、風紀に連絡しろ!!」と、席をたって役員たちに指示を飛ばす。
そして忍に歩み寄るや、鈴ヶ宮は手を差し伸べた。
「……探しに行くんだろ?」
そう問われて、忍ははっと我を取り戻した。
そうだ……。
今度は絶対助ける。
忍はコクリと頷いて、鈴ヶ宮の差し出した手をぐっと握り返した。
0
あなたにおすすめの小説
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される
中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」
夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。
相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。
このお話はムーンライトでも投稿してます〜
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜
トマトふぁ之助
BL
某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。
そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。
聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。
告白ごっこ
みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。
ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。
更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。
テンプレの罰ゲーム告白ものです。
表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました!
ムーンライトノベルズでも同時公開。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる