118 / 218
116 青空と麦わら帽子とおむすびと
しおりを挟む
梅雨明けはまだだったが、夏のような青空が広がっていた。
日差しもかなり強く、歩いているだけで全身から汗が噴き出した。
「ピクニック気分で、とか言ってたけど、無理なのねー‥‥‥」
『うむ、たしかに‥‥‥』
ねこヘブンはかりかりタウンから十キロほど離れた丘陵地帯にあるダンジョンだ。
道路も整備されていて、何よりダンジョン自体もかなり攻略されている。だから、ねこさんたちのような感覚でリハビリに使用するトレジャーハンターも多かった。
「ダンジョンの難易度以前の問題なのねー」
麦わら帽子をかぶったねこさんが、ぜえぜえと肩で息をしている。
『少し休憩して様子を見よう。焦ることはない。無理そうだったら今日はそのまま帰宅だ』
「な、なのねー」
適当な木陰を見つけて二人で逃げ込んだ。
「おお! 絶景なのねー!」
道路の反対側はなだらかな傾斜が続いていて、遠くまで景色がよく見えた。
『緑が心地いいな』
少し小さめなおそろいの麦わら帽子をかぶったネコサンが、目を細める。
「座るのねー」
『ああ』
大きな木の下にそのまま腰を下ろした。
「あとどれ位あるのね?」
聞きながらアイテムボックスから自分で握ったおむすびと、水筒を二つ取りだす。
『あと三キロくらいだな』
「まだちょっとあるのねー」
す、とネコサンに水筒を一本差し出した。
『む、すまない。冷却用に持ってきてもらって正解だったな』
麦わら帽子を外して、ざばー、と頭から冷水をかぶった。
『ふう、生き返るな‥‥‥』
「なのねー!」
ねこさんも乾いた喉を存分に潤した。
「むむ、これは‥‥‥しゃけなのねー」
おむすびの匂いをふんふん、と嗅ぐと、焼き鮭の食欲をそそる香りが漂っていた。
「では早速‥‥‥へ、へ、へぷちっ☆」
お口まで後僅かと言うところで、ねこさんのくしゃみが炸裂した。
「あー、びっくりした‥‥‥」
目をぱちぱちと瞬かせて、きょとんとする。だが、すぐに気を取り直した。
「では改めていただきますなのねー」
はむ、と右手にあるそれを頬張る。
「むふー、もふもふなのねー」
おむすびが、もふもふ‥‥‥?
「何だか毛づくろいをしているような不思議な感覚に‥‥‥んあ!?」
そーっと右手を口から離してまじまじと見る。
「あれ? おむすびは何処!?」
『ご主人、前だ!』
相棒の声に視線を前方へ飛ばすと、ころころと斜面を転げ落ちるおむすびの姿があった‥‥‥。
日差しもかなり強く、歩いているだけで全身から汗が噴き出した。
「ピクニック気分で、とか言ってたけど、無理なのねー‥‥‥」
『うむ、たしかに‥‥‥』
ねこヘブンはかりかりタウンから十キロほど離れた丘陵地帯にあるダンジョンだ。
道路も整備されていて、何よりダンジョン自体もかなり攻略されている。だから、ねこさんたちのような感覚でリハビリに使用するトレジャーハンターも多かった。
「ダンジョンの難易度以前の問題なのねー」
麦わら帽子をかぶったねこさんが、ぜえぜえと肩で息をしている。
『少し休憩して様子を見よう。焦ることはない。無理そうだったら今日はそのまま帰宅だ』
「な、なのねー」
適当な木陰を見つけて二人で逃げ込んだ。
「おお! 絶景なのねー!」
道路の反対側はなだらかな傾斜が続いていて、遠くまで景色がよく見えた。
『緑が心地いいな』
少し小さめなおそろいの麦わら帽子をかぶったネコサンが、目を細める。
「座るのねー」
『ああ』
大きな木の下にそのまま腰を下ろした。
「あとどれ位あるのね?」
聞きながらアイテムボックスから自分で握ったおむすびと、水筒を二つ取りだす。
『あと三キロくらいだな』
「まだちょっとあるのねー」
す、とネコサンに水筒を一本差し出した。
『む、すまない。冷却用に持ってきてもらって正解だったな』
麦わら帽子を外して、ざばー、と頭から冷水をかぶった。
『ふう、生き返るな‥‥‥』
「なのねー!」
ねこさんも乾いた喉を存分に潤した。
「むむ、これは‥‥‥しゃけなのねー」
おむすびの匂いをふんふん、と嗅ぐと、焼き鮭の食欲をそそる香りが漂っていた。
「では早速‥‥‥へ、へ、へぷちっ☆」
お口まで後僅かと言うところで、ねこさんのくしゃみが炸裂した。
「あー、びっくりした‥‥‥」
目をぱちぱちと瞬かせて、きょとんとする。だが、すぐに気を取り直した。
「では改めていただきますなのねー」
はむ、と右手にあるそれを頬張る。
「むふー、もふもふなのねー」
おむすびが、もふもふ‥‥‥?
「何だか毛づくろいをしているような不思議な感覚に‥‥‥んあ!?」
そーっと右手を口から離してまじまじと見る。
「あれ? おむすびは何処!?」
『ご主人、前だ!』
相棒の声に視線を前方へ飛ばすと、ころころと斜面を転げ落ちるおむすびの姿があった‥‥‥。
0
あなたにおすすめの小説
俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!
くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作)
異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」
巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった
ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。
学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。
だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。
スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました
東束末木
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞、いただきました!!
スティールスキル。
皆さん、どんなイメージを持ってますか?
使うのが敵であっても主人公であっても、あまりいい印象は持たれない……そんなスキル。
でもこの物語のスティールスキルはちょっと違います。
スティールスキルが一人の少年の人生を救い、やがて世界を変えてゆく。
楽しくも心温まるそんなスティールの物語をお楽しみください。
それでは「スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました」、開幕です。
2025/12/7
一話あたりの文字数が多くなってしまったため、第31話から1回2~3千文字となるよう分割掲載となっています。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
無能と追放された結界師、三十路のおっさんですが17歳の辺境伯令嬢と婚約して人生逆転します
みかん畑
ファンタジー
無能と蔑まれ、Aランクパーティを追放された結界師フィン。
行き場を失った彼を拾ったのは、辺境伯の娘リリカだった。
国土結界の恩恵が届かない辺境で、フィンの結界は本当の価値を発揮していく。
領地再建、政治の駆け引き、そして少女のまっすぐな想い。
これは無能と呼ばれた男が、辺境で居場所を見つけ、やがて年の差婚へと至る物語。
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
最安もふもふ三匹に名前をつける変な冒険者ですが、この子たちの力を引き出せるのは私だけです ~精霊偏愛録~
Lihito
ファンタジー
精霊に名前をつける冒険者は、たぶん私だけだ。
うさぎのノル、狐のルゥ、モモンガのピノ。三匹とも最安の契約で、手のひらに乗るサイズ。周りからは「手乗り精霊で何ができる」と笑われている。
でも、この子たちへの聞き方を変えるだけで、返ってくる答えはまるで違う。三匹の情報を重ねれば、上位の精霊一体では見えないものが見える。
上位パーティが三度失敗した大型討伐。私は戦わない。ノルに地中を、ピノに上空を、ルゥに地上を調べさせて、答えを組み上げる。
——この世界の精霊の使い方、みんな間違ってませんか?
出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた
黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆
毎日朝7時更新!
「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」
過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。
絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!?
伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!?
追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる