ねこさんは、トレジャーハンター!?

豆井悠

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172 ダンジョンとは……

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「……」

 どこまでも続くような暗闇に、キジメロは飲み込まれていた。

 にゃんこキラーの大口が迫ってきた時には呆気にとられていたが、流石はSSダブルエスランク冒険者である。今はすっかり落ち着きを取り戻し、辺りを窺っていた。

「……ん?」

 だが、完全な闇の中では猫の目もあまり機能しない。

 前方、だと思われる方に、微かな光が見えている、ように感じるのが精一杯だった。

「とりあえず、行ってみましょうか」

 鞘から剣を抜き放つとそれを構え、慎重に歩を進める。

 警戒に警戒を重ねて……明かりが漏れている小部屋に辿り着いた。

 そろりと中を覗き込み……。

「え……どうして……!?」

 キジメロの目に飛び込んできたのは、もっとも見たくない光景だった。


「ぬあーっ! キジメロちゃーん!?」

 気絶していたキジマスが、絶叫しつつ跳ね起きた。

「……って、おい、あんた! こんな危険な事をやるなんて、聞いてないぞ! 私のキジメロちゃんに、もし何かあったらどう責任を取るつもりなんだ!!」

 そして、そのままの勢いでネコサンに詰め寄る。

『いや、高ランク冒険者ならクリアできるレベルの物だが……』

「くっ……」

 自分の娘を高く評価しているだけに、こう言われては返す言葉が見つからないようだ。

「いや、ネコサン様。私も同意見です。このギルド対抗戦は、本来運動会程度の競技で競い合う物なんです。こんな実戦顔負けのレベルの物は──」

『それに何の意味がある?』

「「え?」」

『冒険者やトレジャーハンターは、常に死と隣り合わせだ……ご主人も、あのダンジョンでは本当にヤバかった……』

 遠い目で語るロボ猫に、ギルマスたちも口をつぐんだ。

『イレギュラー的な事柄が、突発的に連続して襲ってくるのがダンジョンだ。あなたたちは、そこを生業の場として選択している。そう言った場所で、命を対価にして活動している。その事を、もっと真剣に受け止めた方がいい』

 ぐうの音も出なかった。

 二匹のギルマスは、いや、その場にいた全員が、ダンジョンに慣れきっていて、基本を忘れていたのだ。

 すでに完全攻略された、と思われているこのかりかりダンジョンでさえ、ダンジョンキーパーがその気になったらこの有様なのだ。

 すっかりお通夜状態となった絶壁前。

 そこに設置された大型モニターの中で、にゃんこキラーが妖しく蠢いていた。
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