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194 空中浮遊アーティファクトの真実
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挑戦者たちを威圧するかのように、ずわー、とそびえ立つ絶壁を見て、ロークが立ち尽くした。
「じゃあ、今日は、これを克服したら終了なのねー! なーに、楽勝なのね!!」
この困難に初対峙した時には、あっさりと尻尾を巻いて逃げた者の今のセリフが、これである。
成長したのか、ただ何も考えていないだけなのか……いや、成長したと信じたい。
「……いや、無理ですよ、こんなの……」
「ロークさんや、ねこさんたちの職業を思い出すのねー」
「……ねこさんが所属している部署ですと……集客のためのコンサルティングを軸に、SNS活用の提案、イベントの提案や、その運営、またこれに適した猫材の派遣など……ざっくり言うと、プロモーション活動の補助的な仕事を行っていますね……まあ、これは我が社の主な業務の一部ですが……」
「……え!? 風船配りの会社……じゃ、なかったのね?」
「それはイベント運営の一部ですね」
「……」
何だか敗北した気分になったねこさんが、がっくりと膝から崩れ落ちた。
「親父と親しいようですが、聞いてなかったんですか?」
「……たぶん」
遠い記憶を呼び起こしてみても、靄がかかったみたいで、さっぱりだった。
「それで、この絶壁とプロモーションの仕事、それがどう結びつくんですか?」
遠い目をしているねこさんを不憫に思ったのか、ロークが話を元に戻した。
「……ぷろもーしょん? は、わからないけど……これなのね!」
ゆっくりと立ち上ったねこさんが、アイテムボックスからあのアーティファクトたちを取り出した。
「ヘリウム……風船?」
「そうなのね! いざ!」
紐をしっかりと握りこみ、本体をそっと宙に浮かばせる。
「あ……!?」
無重力状態になったねこさんが、ふわりふわりと空中散歩を開始した。
「ヘリウム風船に、こんな使い方が!?」
「えっへん! なのねー」
空いている左手で、胸をぽす、と叩きドヤ顔である。
「……ちなみにそれは、自前ですよね? 会社の備品じゃないですよね?」
その問いに、絶壁の中腹辺りまで来ていたねこさんの全身が、びくうっ!? と大きく揺れ動いた。
「じゃあ、今日は、これを克服したら終了なのねー! なーに、楽勝なのね!!」
この困難に初対峙した時には、あっさりと尻尾を巻いて逃げた者の今のセリフが、これである。
成長したのか、ただ何も考えていないだけなのか……いや、成長したと信じたい。
「……いや、無理ですよ、こんなの……」
「ロークさんや、ねこさんたちの職業を思い出すのねー」
「……ねこさんが所属している部署ですと……集客のためのコンサルティングを軸に、SNS活用の提案、イベントの提案や、その運営、またこれに適した猫材の派遣など……ざっくり言うと、プロモーション活動の補助的な仕事を行っていますね……まあ、これは我が社の主な業務の一部ですが……」
「……え!? 風船配りの会社……じゃ、なかったのね?」
「それはイベント運営の一部ですね」
「……」
何だか敗北した気分になったねこさんが、がっくりと膝から崩れ落ちた。
「親父と親しいようですが、聞いてなかったんですか?」
「……たぶん」
遠い記憶を呼び起こしてみても、靄がかかったみたいで、さっぱりだった。
「それで、この絶壁とプロモーションの仕事、それがどう結びつくんですか?」
遠い目をしているねこさんを不憫に思ったのか、ロークが話を元に戻した。
「……ぷろもーしょん? は、わからないけど……これなのね!」
ゆっくりと立ち上ったねこさんが、アイテムボックスからあのアーティファクトたちを取り出した。
「ヘリウム……風船?」
「そうなのね! いざ!」
紐をしっかりと握りこみ、本体をそっと宙に浮かばせる。
「あ……!?」
無重力状態になったねこさんが、ふわりふわりと空中散歩を開始した。
「ヘリウム風船に、こんな使い方が!?」
「えっへん! なのねー」
空いている左手で、胸をぽす、と叩きドヤ顔である。
「……ちなみにそれは、自前ですよね? 会社の備品じゃないですよね?」
その問いに、絶壁の中腹辺りまで来ていたねこさんの全身が、びくうっ!? と大きく揺れ動いた。
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