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196 ねこさん、指導員適正は、なし!?
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階段の発見により、あっさりと絶壁踏破を果たしたロークの研修は、その後何事もなく進み、気づけば今日が最終日であった。
彼の言動、と言うか、物事の考え方の根本から変化が見られ、ギルドとしてはこれ以上教えることがないレベルにまで達していたのだ。
「このままうちのギルド員に、なってくれねーか?」
ギルマスに至っては、こんな事を口走る状況である。
「ありがたいお誘いですが、僕には僕の仕事がありますから」
しかし、ロークは、笑顔でそれを断り胸を張る。
「そうかい……」
「はい、短い間でしたが、お世話になりました」
深々とお辞儀をする彼を見て、ギルマスも頬がゆるんだ。
そこへ。
「お、お……おはようごじゃいみゃす……」
よろよろと現れたのは、ねこさんだった。
「あ! ねこさん! 今回の研修、ありがとうございました!」
「こ、こちらこそ……ありがとさんだったのねー……」
「? どうしたんですか?」
すっかり弱り切った様子のねこさんに、ロークは首を傾げる。
「なんでも……ないのね……」
「そうですか……」
全然大丈夫には見えなかったが、彼がここにいられる時間は、残りわずかだった。
「あ、すいません……もう会社に戻らないと……」
「そうかい……ま、何かあったら気軽に訪ねてくれや」
「そうします……では」
再びギルマスに頭を下げ、ねこさんにもお辞儀をすると、研修初日が嘘のようなしゃっきりとした姿勢でギルドを後にした。
「ふう、何とか終わったな、ねこさん指導員」
「指導員は、無理なのね……」
ギルマスのねぎらいの言葉が、逆につらい。
「よくやっていたと思うが?」
「ねこさん、他猫にものを教えるのは……無理なの……ねー!?」
どたーん!
「あー! ねこさーん!?」
実は、ただでさえ普段と違う仕事内容に困惑していた所へ、例の階段発見のような事柄が多発し、ねこさんはまいっていたのだ。
「ぬわー!? 今までのねこさんの苦労はなんだったのねー!?」
そのため、帰宅後のアパートで、こんな絶叫が日々行われていた……。
そして今、研修から解放された途端、色んな糸が切れてしまったねこさんが、白目を剥いて倒れこんだのだった……。
彼の言動、と言うか、物事の考え方の根本から変化が見られ、ギルドとしてはこれ以上教えることがないレベルにまで達していたのだ。
「このままうちのギルド員に、なってくれねーか?」
ギルマスに至っては、こんな事を口走る状況である。
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しかし、ロークは、笑顔でそれを断り胸を張る。
「そうかい……」
「はい、短い間でしたが、お世話になりました」
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よろよろと現れたのは、ねこさんだった。
「あ! ねこさん! 今回の研修、ありがとうございました!」
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「? どうしたんですか?」
すっかり弱り切った様子のねこさんに、ロークは首を傾げる。
「なんでも……ないのね……」
「そうですか……」
全然大丈夫には見えなかったが、彼がここにいられる時間は、残りわずかだった。
「あ、すいません……もう会社に戻らないと……」
「そうかい……ま、何かあったら気軽に訪ねてくれや」
「そうします……では」
再びギルマスに頭を下げ、ねこさんにもお辞儀をすると、研修初日が嘘のようなしゃっきりとした姿勢でギルドを後にした。
「ふう、何とか終わったな、ねこさん指導員」
「指導員は、無理なのね……」
ギルマスのねぎらいの言葉が、逆につらい。
「よくやっていたと思うが?」
「ねこさん、他猫にものを教えるのは……無理なの……ねー!?」
どたーん!
「あー! ねこさーん!?」
実は、ただでさえ普段と違う仕事内容に困惑していた所へ、例の階段発見のような事柄が多発し、ねこさんはまいっていたのだ。
「ぬわー!? 今までのねこさんの苦労はなんだったのねー!?」
そのため、帰宅後のアパートで、こんな絶叫が日々行われていた……。
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