闇の勇者の冒険録

ヴェレナ

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第一章

第四話 出会い

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どのくらい走ったのだろう。闇魔法もそろそろ限界だ。あの元案内人に連れ込まれ、『殺す』と言われたことは覚えている。その後私は…剣で周りに居た兵士諸共殺した?いや違う。私は絶対殺していない。「ケホッ…流石にもう追手は、」元々体力の少ない私が闇魔法で無理やり動いていたのだ。もう倒れてもおかしくない。
怖い死にたくない嫌だ殺す。なんで私が嫌だ嫌だ嫌だ。だめだ。気を抜いたらどんどん負の感情が増幅されるっ!一度闇魔法を使うのを辞める。
これまでの疲労が一気に来たが、倒れる訳にはいかない。ふと、落ち着いてあたりを見渡してみる。「ここ、村?何でこんなところに?」
村人らしきものがこちらに走ってきたがその姿を確認する前に私は倒れた。
???side
「この人、王に追われている勇者?」実に不思議だ。昨日勇者が人を殺した。と出回ったばかりなのに。勇者は見て分かるくらい疲労が溜まっている。多分王都から逃げてきたのだろう。「匿う?いや匿ったら殺されるからな。」どうしよう?取り敢えず家に運ぶことにした。思ったより軽い。早く家に運ばないといけない。もう朝だし体が冷えているだろうから。
ーー家のベッドに寝かせた。「寝顔かわいい…」「いやっそれより大丈夫かな?」夜が良かった。他の村人にバレたらきっと殺される。この人は勇者だ。出回っている情報と一致している。にしても1日走りっぱなしだったのだろうか。勇者を見てると僕も眠くなってきた。「寝ちゃだめだ。
せめて勇者が起きるまでは。」何時間勇者を眺めていたのだろう。等々起きた。「えっなっあのっ、だっえっ?」とても混乱している。「貴方が家の前で倒れていたので助けた。」ぶっきらぼうに言ったが勇者は、「えっあっ有難う御座います!お陰で助かりました!」疑う事の無い純粋な瞳でこちらを見てくる。そして自分の服が変わっていることに気づいた。実は服を変えていたのだ。勇者ってバレたら匿っている僕にも危害が及ぶから。「貴方は人を殺した。そういう情報が出回っている。」「本当?」人を助けたとは思えない冷徹な声で勇者に尋ねる。勇者はひどく動揺していた。「違っ私は殺して、いや殺したかもしれない…」ここまで動揺するとは。取り敢えず名前を聞こう。コミニュケーションに支障が出かねない。「勇者さん。僕はフェルです。貴方の名前はなんですか?」「私の名前?えっと名前…名前なんてあったっけ?」名前が分からないようだが、前例はある。「名前が分からない勇者は他にもいました。」「他にもいるんですか!?」勇者は驚いてベッドから立ち上がった。はい、と答えようとしたときドアが開けられた。「おい!今日の仕事をサボるな!」「待て。それは勇者か?」
人が来たか…流石に勇者って分かるよな。
「私は勇者じゃ…」勇者が弁解しているが通じるわけない。「てめぇら!この場で殺してやる」
手に持ってたクワを振り下ろしてくる。ここで死ぬのか。と諦めて目を閉じたその時だった。
キンッと金属がぶつかり合う音がした。恐る恐る目を開けると勇者が剣でクワが振り下ろされるのを防いでいる。まて?剣は壁に立て掛けてあった。取りに行く時間なんて…「フェルさん。逃げましょう。」僕が考えている間に村人を撃退していたようだ。僕は黙って頷いた。
「早く行きましょう。」僕たちは村を抜け、
晴れた青空のもと走り出した。
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