夫の親友〜西本匡臣の日記〜

ゆとり理

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プロローグ

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「俺、結婚するから」


親友が結婚するらしい。
彼女がいることは知っていた。
写真も一度見たことがあるが、アイツの隣で笑っていた女だったかは覚えていない。
もしかしたら、前の彼女の写真だったのかもしれないがそんなことは言えない。
【カノジョ】は少なくともは3人知っている。
そう思いつつも
「前に写真見せてくれた人?おめでとう」
と嬉しさに驚き混じりの声が出る。
自分で言いながら自然と頬が上がるのがわかる。
アイツと待ち合わせした、いつもの喫茶店の音楽がやけに心地よく感じる。

「サンキュー、なんか照れるわー」
アイツが照れながら応える。
アイツの隣でも彼女が「へへ」と照れ笑いしている。

品定めをするつもりではないがアイツの彼女に笑顔を向けつつ頭から指先まで見つめる。
細身の身体に少し日焼けした肌。
短く整えられた爪。
左手薬指の指輪。
胸の下まである長く黒い髪。
恥ずかしそうに笑う顔は俺たちより少し若そうだ。
そう思いながら身体をジロジロ見られるのは女性からしたら気持ち悪い行為だということに気が付き、アイツに視線を戻す。

「プロポーズしようと思って海に行ったんだよ」
アイツが俺の視線に気付いたように話し出す。
「でも、疲れちゃって結局家でしたんだよ~」
「しかも、帰りの電車で俺爆睡しちゃってさー、降りる時荷物全部持たせちゃって」
そう気まずそうに笑うアイツの肌は浅黒い。
となりで、「ふふふ」と笑う彼女幸せそうな笑顔が好ましい。


ガッガッガッ、ガサガサ
何の音だろう、近くで工事でもしているのだろうか。
窓から外を覗き込もうと思うが身体が動かない。
おまけに身体が沈み込む。
視界が真っ黒になり、光がさす。
子供の声が聞こえる。
醤油とだしのいい匂いがする。
ふわふわで肌触りが良いものが肌にふれる。

そこで目が覚めた。
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