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2023年11月

11月5日

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ドアが閉まる音で目が覚めた。
昨日の寝る前に隣の奥さんに誘われたから行きたいと相談を受けたので了承した朝市に行くのだろうと時間を確認すると6時半過ぎだった。
どうやら戻ってきた音だったらしく「ただいま」と頭の上から声が聞こえた。
5時からお店が並ぶとの事で4時に起きたらしい。
しばらく妻と話していると長男がドアを開け入ってきた。

長男をトイレに連れていきリビングに降りると、朝市で買ったというスイートポテトを渡され食べた。
スイートポテトを食べている俺たちを見ながら見たことない野菜があったけど食べ方分からないから買えなかったと笑っていた。
「このさつまいもの中かぼちゃみたいな色なんだって」と2本のさつまいもを自慢気に見せてきた。
「このさつまいもは普通のさつまいもですが美味しいです」と食べかけのスイートポテトを見せると、ハッとしたような顔をした。
「私さつまいもばっかり買ってきてる」と苦笑いしながら、お店の人にのせらたと話していた。
このさつまいもでタルトを作るとかわいいと言われて作る余裕なんてないのにと肩を落としていた。

朝食をパジャマのままの長男と待っていたが2人で二度寝したようだった。
長女がいつも見ているアニメの声で目が覚めた。
そのまま朝昼兼用の食事をとり一日中ぼーっとして過ごした。
午後になり物置きのドアのことを思い出したが疲れ果てているのかめんどくさく感じ諦めた。
アイツなら要領良く1日で終わらせれるのだろうかなどと意味のないことを考えていた自分に対しもやもやする。

日記を書き始めてから色々と考えるようになった気がする。
その日にあったことを日記に書こうとしようとする為か他人の話をきちんと聞いたりするようになった気がする。
表情もしっかり確認するようにもなり人間関係が円滑になった気もする。
初めは書くことが無いと感じていたが毎日何かしらのことが起きていることにも気が付いた。
双子を出産したあとの妻の不機嫌も理由があったのかもしれない。
妻と初めて会った日の笑顏は覚えているのに、子どもたちを産んだあとはどんな顔で生活していたのかは覚えていない。
妻と一緒に生きていくと決めたのに何をしていたのだろう。
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