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1章
2話-学校生活(登校)-
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自転車をこぎ始める。薄い絹の暖簾をくぐっていくように春の風を私の体が押進んでいる。4月中旬にもなるとさすがに、温かくなってくる。一応雪国である富山は、3月の末を過ぎてもまだ肌寒かったりする。
「やっと温かくなってきたわね」
咲夜が話し始める。咲夜は気温や、匂いを感じられるし、触られる感覚があるらしい。
「んー。あったかくなってきたねー。こないだまで、寒くて自転車こぐと指と耳が痛かったもんね」
咲夜に返答し、その返答が咲夜から帰ってくる。。
「ほんと、風が痛かったわ…」
自転車にのっている咲夜に布か何かを被せればいいのだが、咲夜はそれを嫌う。景色を見たいらしい。いつも咲夜と駄弁りながら、15分かけて最寄り駅まで行く。最寄り駅まで、自転車で15分。15分だ。いつも7:43分発の電車に乗る。富山地方鉄道。通称、地鉄。田舎だけど、さすがに1時間に一本とかしか来ない。なんてことはない。朝なら10分に一本くらいはくる。しかし2両しかない。しかも、満員電車ってほどにはならない。富山県民として不便はないから問題はないが。電車に乗ってからICカードを押す。ここが都会と違うところだ。無人駅も多いから、電車内にICカードを押す機械がある。エコマイカという地鉄でしか使えないICカードだ。空いている椅子を見つけて座る。すると咲夜が、話しかけてくる。
「座れてよかったわね」
そういわれて、咲夜の体を指でトンとたたく。電車の中はさすがに人が多い。人形と話していると変な人扱いされるから、咲夜との取り決めで肯定が1回たたく。否定が2回たたく。このようになっている。60cmくらいある人形を抱えて生活してる時点で、もう変わり者扱いだから、あまり気にしていないのだが、咲夜が知らない人が多いところではこうしなさいと言う。
ともあれ、座れたのは良かった。10回乗って9回という高確率で座れるのだが、私は電車の中で立っているのが苦手なのだ。おじいさんやおばあさんが乗ってきたら、さすがに席を譲るが、朝のこの時間は高校生ばかりで、ご老体はいない。座ってしまえばこっちのものである。10分くらいゆられると終点だ。終点で降りて、歩き始める。学校の最寄り駅まで来ると、さすがに同じ高校の生徒が多い。
当然、咲夜を抱えて歩いているので、ほかの生徒からじろじろ見られる。多分、私を見ているのは1年生だろう。去年、高校に入学してからしばらくほかの生徒にじろじろ見られていたが、1カ月もすれば収まった。今年もまた新入生に1カ月くらい登校中や校内でじろじろみられるだろう。途中のコンビニでパンを2つ買ってまた歩き始める。駅から10分くらいで学校の桜並木まで来る。満開。風でひらひらと舞う花弁。そんな表現をできる場所が、ここなのだ。山の方の学校だから風が強い。並木道を歩いていると後ろから私を呼ぶ声が2つ聞こえた。
「「ちーちゃん」」
私をちーちゃんと呼ぶ人間は決まっている。この学校での1番の私の親友の2人だ。1番が2人いるというのもおかしな話だが、彼、彼女ら2人で1人みないなところがある。振り向いて私も挨拶をする。手を振りながら。
「おはよーー」
自転車登校の2人はすぐに私においつく。背が高くて、スラっとしている黒髪ポニーテールの女の子が宮本凜。りんと同じくらいの身長(170cmくらい)の黒髪の男の子が宮本龍。双子だ。凜と龍が自転車の速度を遅くして、私の歩く速度に合わせる。そして凜が私に話しかける。
「先に駐輪場に自転車止めてくるね!」
続けて龍が話す。
「生徒玄関でね!」
そういって2人は速度を落とした自転車に鞭を打つように、ペダルをぐっと踏んだ。2人はしゃべりながら駐輪場まで自転車をこいでいった。2人の背中を見ていると、咲夜が話しかけてきた。
「年頃の、しかも男女の兄妹であそこまで仲がいいのは珍しいわよね」
肯定の合図を咲夜に出す。確かに仲はいい。いつも一緒にいるし。でもあの2人はちょくちょく、くだらない言い合いをしているような気がする。
並木道も終わって、校門をまたいで、生徒玄関に。ここで、ちょうどいいタイミングで、凜と龍に合流する。いつものパターンである。私と双子は同じクラスで、2-Bだ。教室は3階。階段がだるい。
「うぇー、階段だや」
龍がそう言いだす。"だや"というのは富山弁の"だやい"の応用である。"だやい"は標準語で怠いとかを意味する。こんな龍の発言に私が言い返す。
「こないだまで4階の教室だったんだから文句言わない」
つい1か月前、1年生の時は4階だった。この学校は1年生が4階2年生が3階3年生が2階に教室が割り振られている。3年生が羨ましい。
「可愛いちーちゃんの言う通り、贅沢いわず、1カ月前の思いを噛みしめて階段を上りなさい。」
そう凜が言う。その時、そっと咲夜が、
「そう。千夜は可愛い」
といった。素直にうれしい。
「ありがとー」
と咲夜に返す。凜と龍は私が咲夜と話せることを知っている人間なので、2人といるときは構わず咲夜と話す。この2人も母と同じで、咲夜のことを信じてはくれているが、咲夜の声を聴くことはできない。
「さくちゃんなんだって?」
と、龍が、咲夜に返答した私に会話内容を聞いてくる。
「りんが、私を可愛いって言ったのに、肯定してくれたー」
「やっぱ、さくちゃんとは趣味がある気がするわ」
と、こんどは凜が口を開く。こんな話を教室に入ってもしていた。8:45分に始まるHRまではずっとみんなでだべっている。
「やっと温かくなってきたわね」
咲夜が話し始める。咲夜は気温や、匂いを感じられるし、触られる感覚があるらしい。
「んー。あったかくなってきたねー。こないだまで、寒くて自転車こぐと指と耳が痛かったもんね」
咲夜に返答し、その返答が咲夜から帰ってくる。。
「ほんと、風が痛かったわ…」
自転車にのっている咲夜に布か何かを被せればいいのだが、咲夜はそれを嫌う。景色を見たいらしい。いつも咲夜と駄弁りながら、15分かけて最寄り駅まで行く。最寄り駅まで、自転車で15分。15分だ。いつも7:43分発の電車に乗る。富山地方鉄道。通称、地鉄。田舎だけど、さすがに1時間に一本とかしか来ない。なんてことはない。朝なら10分に一本くらいはくる。しかし2両しかない。しかも、満員電車ってほどにはならない。富山県民として不便はないから問題はないが。電車に乗ってからICカードを押す。ここが都会と違うところだ。無人駅も多いから、電車内にICカードを押す機械がある。エコマイカという地鉄でしか使えないICカードだ。空いている椅子を見つけて座る。すると咲夜が、話しかけてくる。
「座れてよかったわね」
そういわれて、咲夜の体を指でトンとたたく。電車の中はさすがに人が多い。人形と話していると変な人扱いされるから、咲夜との取り決めで肯定が1回たたく。否定が2回たたく。このようになっている。60cmくらいある人形を抱えて生活してる時点で、もう変わり者扱いだから、あまり気にしていないのだが、咲夜が知らない人が多いところではこうしなさいと言う。
ともあれ、座れたのは良かった。10回乗って9回という高確率で座れるのだが、私は電車の中で立っているのが苦手なのだ。おじいさんやおばあさんが乗ってきたら、さすがに席を譲るが、朝のこの時間は高校生ばかりで、ご老体はいない。座ってしまえばこっちのものである。10分くらいゆられると終点だ。終点で降りて、歩き始める。学校の最寄り駅まで来ると、さすがに同じ高校の生徒が多い。
当然、咲夜を抱えて歩いているので、ほかの生徒からじろじろ見られる。多分、私を見ているのは1年生だろう。去年、高校に入学してからしばらくほかの生徒にじろじろ見られていたが、1カ月もすれば収まった。今年もまた新入生に1カ月くらい登校中や校内でじろじろみられるだろう。途中のコンビニでパンを2つ買ってまた歩き始める。駅から10分くらいで学校の桜並木まで来る。満開。風でひらひらと舞う花弁。そんな表現をできる場所が、ここなのだ。山の方の学校だから風が強い。並木道を歩いていると後ろから私を呼ぶ声が2つ聞こえた。
「「ちーちゃん」」
私をちーちゃんと呼ぶ人間は決まっている。この学校での1番の私の親友の2人だ。1番が2人いるというのもおかしな話だが、彼、彼女ら2人で1人みないなところがある。振り向いて私も挨拶をする。手を振りながら。
「おはよーー」
自転車登校の2人はすぐに私においつく。背が高くて、スラっとしている黒髪ポニーテールの女の子が宮本凜。りんと同じくらいの身長(170cmくらい)の黒髪の男の子が宮本龍。双子だ。凜と龍が自転車の速度を遅くして、私の歩く速度に合わせる。そして凜が私に話しかける。
「先に駐輪場に自転車止めてくるね!」
続けて龍が話す。
「生徒玄関でね!」
そういって2人は速度を落とした自転車に鞭を打つように、ペダルをぐっと踏んだ。2人はしゃべりながら駐輪場まで自転車をこいでいった。2人の背中を見ていると、咲夜が話しかけてきた。
「年頃の、しかも男女の兄妹であそこまで仲がいいのは珍しいわよね」
肯定の合図を咲夜に出す。確かに仲はいい。いつも一緒にいるし。でもあの2人はちょくちょく、くだらない言い合いをしているような気がする。
並木道も終わって、校門をまたいで、生徒玄関に。ここで、ちょうどいいタイミングで、凜と龍に合流する。いつものパターンである。私と双子は同じクラスで、2-Bだ。教室は3階。階段がだるい。
「うぇー、階段だや」
龍がそう言いだす。"だや"というのは富山弁の"だやい"の応用である。"だやい"は標準語で怠いとかを意味する。こんな龍の発言に私が言い返す。
「こないだまで4階の教室だったんだから文句言わない」
つい1か月前、1年生の時は4階だった。この学校は1年生が4階2年生が3階3年生が2階に教室が割り振られている。3年生が羨ましい。
「可愛いちーちゃんの言う通り、贅沢いわず、1カ月前の思いを噛みしめて階段を上りなさい。」
そう凜が言う。その時、そっと咲夜が、
「そう。千夜は可愛い」
といった。素直にうれしい。
「ありがとー」
と咲夜に返す。凜と龍は私が咲夜と話せることを知っている人間なので、2人といるときは構わず咲夜と話す。この2人も母と同じで、咲夜のことを信じてはくれているが、咲夜の声を聴くことはできない。
「さくちゃんなんだって?」
と、龍が、咲夜に返答した私に会話内容を聞いてくる。
「りんが、私を可愛いって言ったのに、肯定してくれたー」
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