念願の異世界転生をしたらその世界は終末を迎えていました

KiNG

文字の大きさ
2 / 2
第1章 異世界転生

第2の人生 Part2

しおりを挟む
   僕のこの姿はこの世界の僕の姿である。

   僕にとっては転生をして新鮮味のあるこの容姿はこの世界の彼らからすれば、普段と変わりない僕の姿だと言う。しかし、彼らは転生について何処までのことを知っているのだろうか。そんな事を考えながらも、僕はこんな質問を彼らにしていた。

「この世界での僕の名前は?」

   一瞬、まるで僕の耳が聞こえなくなったのかと思うほどに周りが静かになった。それもそのはずだ。話している相手の名前を相手から尋ねられるなどと言う事は、どの世界でもそうそう無い事だからだ。

「ルーナ、ルーナ・レイディアンス!」

  僕の後ろからそう叫ぶ声が聞こえ、思わず振り向いた。そこに映り込んだ彼女の姿を見て僕は驚きを隠せなかった。

「瑠花!どうしてここに。」

  瑠花とは、前の世界の僕の妹の事だ。僕だけでなく妹までもが転生をしてきたと言うのだろうか。そう思った僕の考えは、直ぐ様間違いである事が分かった。

「私は瑠花じゃない!ミアでしょ!」

「だとしても、僕の前世ではお前は僕の妹の瑠花である事に変わりはない。会えてよかったよ。」

「何言ってるの?前世だとか何とかって、それからあんた、姉ちゃんに向かってお前呼ばわりはないでしょうが。」

  ようやく理解ができた。つまりは、ミアはこの世界の瑠花であって、僕は今この世界の瑠花と対面したのであると。

そして彼女は、妹ではなく姉だったと言う事を。

「ミア、今は少し待っていてくれ。リンはミアを頼む。」

   ミアとの会話に割って入ったのはクリスだった。リンはミアを司令室から連れ出した。

「悪いな。さて、話を戻そうか。」
「君が誰でこの世界が何なのかを説明しよう。」

   この世界は神と人間。魔族と魔獣の4つの種族が存在している。
   今から10年前、魔族と魔獣は神と人間に対して突如戦争を仕掛けてきた。
   圧倒的なその強さに神と人間は敗北寸前にまで追いやられた。
   そこに現れたのが、神と人間のハーフである、この世界の僕だったらしい。
   この世界の僕、つまり彼女は、たった1人で魔族達と戦っていた。
   戦いの終止符となったのが、彼女の魂を魔族の王に宿らせ、戦いを終わらせる事だった。
   そして、別の次元の自分に自分を始末させるのが彼女の目的であり、僕のやるべき事らしい。

「どうして、僕が彼女を始末しないといけないんだ?」

   おかしな話である。彼女は魂として生きている。そして、戦争も終わったと言うのに。

「そこまでは、私には分からない。ただ、それがルーナの望みだ。」

   その夜、僕はクリスの部屋に招かれそこに泊まる事になった。

「明日の夜までには君の部屋を整理する予定だ。それまでは、こんな所で良ければゆっくりしていってくれ。」

   見た目とは裏腹に女の子らしい部屋だった。と言っても、女の子の部屋に入った事など無かったのだけれど、なんとなく想像はできる。それらしい部屋だったという事だ。

「クリスとこの世界の僕は、いったいどんな関係だったんだ?」

「小さい頃からの幼馴染だ。まさか、あんなに泣き虫だったルーナにこんな力があったなんて、その時は思いもしてなかったけどな。」

「へぇ、この世界の僕は泣き虫だったのか。」

「あぁ、ルーナが泣いているといつもミアが飛んできて優しくなだめていたよ。」
「けど、戦争が始まってルーナは変わった。どんな戦場でも真っ先に敵に喰らい付いた。まるで、」

「"獣"」

   僕はクリスよりも早く、その言葉が出てきた。それは、僕の前世に関係があったからだ。そう言う一面が僕にはあった。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

悪役令嬢が処刑されたあとの世界で

重田いの
ファンタジー
悪役令嬢が処刑されたあとの世界で、人々の間に静かな困惑が広がる。 魔術師は事態を把握するため使用人に聞き取りを始める。 案外、普段踏まれている側の人々の方が真実を理解しているものである。

ざまぁされるための努力とかしたくない

こうやさい
ファンタジー
 ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。  けどなんか環境違いすぎるんだけど?  例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。  作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。  ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。  恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。  中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。  ……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ハイエルフの幼女に転生しました。

レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは 神様に転生させてもらって新しい世界で たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく 死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。 ゆっくり書いて行きます。 感想も待っています。 はげみになります。

義弟の婚約者が私の婚約者の番でした

五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」 金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。 自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。 視界の先には 私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。

悪役令嬢の父は売られた喧嘩は徹底的に買うことにした

まるまる⭐️
ファンタジー
【第5回ファンタジーカップにおきまして痛快大逆転賞を頂戴いたしました。応援頂き、本当にありがとうございました】「アルテミス! 其方の様な性根の腐った女はこの私に相応しくない!! よって其方との婚約は、今、この場を持って破棄する!!」 王立学園の卒業生達を祝うための祝賀パーティー。娘の晴れ姿を1目見ようと久しぶりに王都に赴いたワシは、公衆の面前で王太子に婚約破棄される愛する娘の姿を見て愕然とした。 大事な娘を守ろうと飛び出したワシは、王太子と対峙するうちに、この婚約破棄の裏に隠れた黒幕の存在に気が付く。 おのれ。ワシの可愛いアルテミスちゃんの今までの血の滲む様な努力を台無しにしおって……。 ワシの怒りに火がついた。 ところが反撃しようとその黒幕を探るうち、その奥には陰謀と更なる黒幕の存在が……。 乗り掛かった船。ここでやめては男が廃る。売られた喧嘩は徹底的に買おうではないか!! ※※ ファンタジーカップ、折角のお祭りです。遅ればせながら参加してみます。

処理中です...