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第1章 異世界転生
第2の人生 Part2
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僕のこの姿はこの世界の僕の姿である。
僕にとっては転生をして新鮮味のあるこの容姿はこの世界の彼らからすれば、普段と変わりない僕の姿だと言う。しかし、彼らは転生について何処までのことを知っているのだろうか。そんな事を考えながらも、僕はこんな質問を彼らにしていた。
「この世界での僕の名前は?」
一瞬、まるで僕の耳が聞こえなくなったのかと思うほどに周りが静かになった。それもそのはずだ。話している相手の名前を相手から尋ねられるなどと言う事は、どの世界でもそうそう無い事だからだ。
「ルーナ、ルーナ・レイディアンス!」
僕の後ろからそう叫ぶ声が聞こえ、思わず振り向いた。そこに映り込んだ彼女の姿を見て僕は驚きを隠せなかった。
「瑠花!どうしてここに。」
瑠花とは、前の世界の僕の妹の事だ。僕だけでなく妹までもが転生をしてきたと言うのだろうか。そう思った僕の考えは、直ぐ様間違いである事が分かった。
「私は瑠花じゃない!ミアでしょ!」
「だとしても、僕の前世ではお前は僕の妹の瑠花である事に変わりはない。会えてよかったよ。」
「何言ってるの?前世だとか何とかって、それからあんた、姉ちゃんに向かってお前呼ばわりはないでしょうが。」
ようやく理解ができた。つまりは、ミアはこの世界の瑠花であって、僕は今この世界の瑠花と対面したのであると。
そして彼女は、妹ではなく姉だったと言う事を。
「ミア、今は少し待っていてくれ。リンはミアを頼む。」
ミアとの会話に割って入ったのはクリスだった。リンはミアを司令室から連れ出した。
「悪いな。さて、話を戻そうか。」
「君が誰でこの世界が何なのかを説明しよう。」
この世界は神と人間。魔族と魔獣の4つの種族が存在している。
今から10年前、魔族と魔獣は神と人間に対して突如戦争を仕掛けてきた。
圧倒的なその強さに神と人間は敗北寸前にまで追いやられた。
そこに現れたのが、神と人間のハーフである、この世界の僕だったらしい。
この世界の僕、つまり彼女は、たった1人で魔族達と戦っていた。
戦いの終止符となったのが、彼女の魂を魔族の王に宿らせ、戦いを終わらせる事だった。
そして、別の次元の自分に自分を始末させるのが彼女の目的であり、僕のやるべき事らしい。
「どうして、僕が彼女を始末しないといけないんだ?」
おかしな話である。彼女は魂として生きている。そして、戦争も終わったと言うのに。
「そこまでは、私には分からない。ただ、それがルーナの望みだ。」
その夜、僕はクリスの部屋に招かれそこに泊まる事になった。
「明日の夜までには君の部屋を整理する予定だ。それまでは、こんな所で良ければゆっくりしていってくれ。」
見た目とは裏腹に女の子らしい部屋だった。と言っても、女の子の部屋に入った事など無かったのだけれど、なんとなく想像はできる。それらしい部屋だったという事だ。
「クリスとこの世界の僕は、いったいどんな関係だったんだ?」
「小さい頃からの幼馴染だ。まさか、あんなに泣き虫だったルーナにこんな力があったなんて、その時は思いもしてなかったけどな。」
「へぇ、この世界の僕は泣き虫だったのか。」
「あぁ、ルーナが泣いているといつもミアが飛んできて優しくなだめていたよ。」
「けど、戦争が始まってルーナは変わった。どんな戦場でも真っ先に敵に喰らい付いた。まるで、」
「"獣"」
僕はクリスよりも早く、その言葉が出てきた。それは、僕の前世に関係があったからだ。そう言う一面が僕にはあった。
僕にとっては転生をして新鮮味のあるこの容姿はこの世界の彼らからすれば、普段と変わりない僕の姿だと言う。しかし、彼らは転生について何処までのことを知っているのだろうか。そんな事を考えながらも、僕はこんな質問を彼らにしていた。
「この世界での僕の名前は?」
一瞬、まるで僕の耳が聞こえなくなったのかと思うほどに周りが静かになった。それもそのはずだ。話している相手の名前を相手から尋ねられるなどと言う事は、どの世界でもそうそう無い事だからだ。
「ルーナ、ルーナ・レイディアンス!」
僕の後ろからそう叫ぶ声が聞こえ、思わず振り向いた。そこに映り込んだ彼女の姿を見て僕は驚きを隠せなかった。
「瑠花!どうしてここに。」
瑠花とは、前の世界の僕の妹の事だ。僕だけでなく妹までもが転生をしてきたと言うのだろうか。そう思った僕の考えは、直ぐ様間違いである事が分かった。
「私は瑠花じゃない!ミアでしょ!」
「だとしても、僕の前世ではお前は僕の妹の瑠花である事に変わりはない。会えてよかったよ。」
「何言ってるの?前世だとか何とかって、それからあんた、姉ちゃんに向かってお前呼ばわりはないでしょうが。」
ようやく理解ができた。つまりは、ミアはこの世界の瑠花であって、僕は今この世界の瑠花と対面したのであると。
そして彼女は、妹ではなく姉だったと言う事を。
「ミア、今は少し待っていてくれ。リンはミアを頼む。」
ミアとの会話に割って入ったのはクリスだった。リンはミアを司令室から連れ出した。
「悪いな。さて、話を戻そうか。」
「君が誰でこの世界が何なのかを説明しよう。」
この世界は神と人間。魔族と魔獣の4つの種族が存在している。
今から10年前、魔族と魔獣は神と人間に対して突如戦争を仕掛けてきた。
圧倒的なその強さに神と人間は敗北寸前にまで追いやられた。
そこに現れたのが、神と人間のハーフである、この世界の僕だったらしい。
この世界の僕、つまり彼女は、たった1人で魔族達と戦っていた。
戦いの終止符となったのが、彼女の魂を魔族の王に宿らせ、戦いを終わらせる事だった。
そして、別の次元の自分に自分を始末させるのが彼女の目的であり、僕のやるべき事らしい。
「どうして、僕が彼女を始末しないといけないんだ?」
おかしな話である。彼女は魂として生きている。そして、戦争も終わったと言うのに。
「そこまでは、私には分からない。ただ、それがルーナの望みだ。」
その夜、僕はクリスの部屋に招かれそこに泊まる事になった。
「明日の夜までには君の部屋を整理する予定だ。それまでは、こんな所で良ければゆっくりしていってくれ。」
見た目とは裏腹に女の子らしい部屋だった。と言っても、女の子の部屋に入った事など無かったのだけれど、なんとなく想像はできる。それらしい部屋だったという事だ。
「クリスとこの世界の僕は、いったいどんな関係だったんだ?」
「小さい頃からの幼馴染だ。まさか、あんなに泣き虫だったルーナにこんな力があったなんて、その時は思いもしてなかったけどな。」
「へぇ、この世界の僕は泣き虫だったのか。」
「あぁ、ルーナが泣いているといつもミアが飛んできて優しくなだめていたよ。」
「けど、戦争が始まってルーナは変わった。どんな戦場でも真っ先に敵に喰らい付いた。まるで、」
「"獣"」
僕はクリスよりも早く、その言葉が出てきた。それは、僕の前世に関係があったからだ。そう言う一面が僕にはあった。
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