Monoculus モノクルス 戦う神父と魔物の男との禁断の愛

TA-gu

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48話 ひとときの終焉

「結局、どうなったんだろう、あれは」

ギルバートもウィリアムも、予備の法衣を着て運搬車の荷台に座っていた。
後片付けに走る人々を遠くに見つめ、帰る時間まで待たされている。
ギルバートの問いにウィリアムは首を横に振った。
「わからない。グレイはディアヴァルよりも悪魔に近かった。あのまま死んだのか、冥界で何かがあるのか。いずれにせよ、彼は俺たちとはかなり違うから」
「ヤツは復活すると思うか?」
ウィリアムはしばらく考えてから頷いた。
「するにしても、ひとつの生命体がどうにかなるのに、やはり数百年はかかるんじゃないかな」
「数百年ね・・・」
自分たちにとって、それは長いのだろうか短いのだろうか。とギルバートは思う。
あの場所は時間がよくわからない世界だが、グレイにとってはほんのひと時に過ぎないかもしれない。
「グレイがいなくても、ディアヴァルが消えるわけじゃないし」
ウィリアムの言葉にギルバートも、まぁそうだな、と頷いて、ウィリアムの髪をくしゃりと撫でた。
少なくとも、しばらくの間は戯れに危険な魔物を増やす存在から脅かされる事はないだろう。

やがてどやどやとモノクルスたちが車に乗り込んできた。
幸い大きな怪我をした者はいなかったが、皆が擦り傷や打撲でボロボロになり、疲れ果てている。
「帰ったら、寝るわ、もう死ぬほど寝る」
ルルがクマの出来た顔で唸り、「俺は先に飯だ・・・腹が減って死にそう」とリックが腹を抑えてぼやく。
「俺はもう、なあんにもしたくねぇな」とロッドが足を投げ出しながら漏らすと、同感というようにウコンが隣で頷いた。

「あんたたちは?」
ルルに問われ、
「3日間程は俺たちを呼び出さないでほしいね」
ギルバートがしれっと返すとルルがうんざりとした顔で「また?あんたら、いっつもそれじゃんか!」と叫んだ。
「まぁ・・ほら、久しぶりに会った恋人同士だしな・・・・」
とよくわからない擁護をしたロッドに「200年ぶりだったもんな」とニヤニヤと言ったのはリックだ。
「ジジイなんだから少しは自重しなさいよ!」
ルルの言葉にウィリアムが「ジジイじゃないし」と唇を尖らせたのを見て、思わずギルバートは大きな声で笑った。

そのギルバートの笑い声に皆がぽかんとした顔をする。
「あんたって、そんなふうに笑うのねぇ」
というルルの言葉に、そういえば自分が人前でこんなに快活に笑った事はなかったかもなと思う。
人であった頃も含めて、ギルバートはいつだって陰鬱な気分でいた。復讐に身を焦がして、楽しみも何もなくひたすらに魔物を狩ることばかりに囚われていたから。

自分はもう、人ではなくなった。
人ではないが、魔物でもないような気がする。
本当の怪物になるのは、きっと芯から心を失くした時だ。

グレイのように。

だがウィリアムがいる限り、自分はそうはならないだろう。
ギルバートはウィリアムの肩を抱いて自分に引き寄せると、彼の蜂蜜色の髪にキスをした。
「またそれ!?」
「羨ましいか?」
吠えたルルにギルバートが返すと、彼女は眉を吊り上げて「全然!ちっとも!」と怒鳴った。
そんなルルに、ウィリアムがギルバートの腕の中でとうとう笑い出した。

「愛してる」

ウィリアムの耳にギルバートは告げる。
ウィリアムは満足したように眉を上げた。

「俺も」
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