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プロローグ
しおりを挟むヘルメスは焦っていた
上司からの命令で宰相のところに行くように言われたからじゃない
扉を開けた先に居た男に
「先週は世話になったね」
黒い笑みを浮かべた美丈夫はヘルメスに微笑んだ
ヘルメスは子爵家の5男防
家族仲は良好
継げる爵位はなく文官になった
勤続6年で24歳童顔
何処にでも有り触れた顔は驚愕に見開かれて固まっていた
一夜の相手だ
そしてこの国の宰相だ
何故呼ばれたのか不思議だったが男を見て合点がいった
ここに呼ばれたのは不敬罪で牢獄入りさせる為だと
きっとあの夜粗相をしたのだ
全然おぼえてないけど
自分のことを探す程恨みを持たれたに違いない
逃げたい、脱兎の如く逃げたいが家族に迷惑が掛かってしまう
「すみませんでした」
スライディング土下座で謝る
「私はどうなってもかまいません。家族には何もしないで下さい」
「君は何か勘違いしているようだな。ふむ…まぁちょうどいいか。ここに座りなさい」
あの日の美丈夫が床に平伏しているヘルメスに隣に座るように促す
おずおず座るヘルメスの手を取り男は言った
「君は責任をとって私の妻になりたまえ」
「はっ?」
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