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ヨン

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 一日目
 ヘルメスは平和に過ごしていた
 失ったものは有ったが自分は女性ではないと開きなおった
 相手の事は行きずりのどっかの人と片付け忘れることにした
 そもそも記憶がないのだ
 よく男を知ったら前だけでは物足りなくなると聞くが全く覚えていないのでそれもない
 普通に女性が好きだ
 抱かれるより抱く方がいい
 彼女に振られたショックは男と一夜を過ごしたショックで消えた、過去の事
 今日も、いつものルーティンを終え定時に上がり、ヘルメスは大人しく寄り道なしで家路に着くのだった
 帰ったヘルメスは部屋に行けば机の上に一輪挿しに赤薔薇が飾られ手紙が一緒に置いて合った
 手紙に差出人の名はなくただ一言だけ『みつけた』と書かれていた
 「誰?そして何を?」
 訝しみヘルメスは手紙について家の者に聞いたら町の子供経由で渡され門番が受け取った物と知る
 可笑しな点がなかったのでヘルメスの机に置いといたとの返答を貰えたが謎でしかない
 薔薇1輪の花言葉は『一目惚れ』『貴方しかいない』まぁ悪い気はしない
 手紙の内容とも一致している
 ニヤつくヘルメス
 勝手に女性だと思ってる
 同性婚も認められてるのに何故か女性1択しかないヘルメス
 相手を知らないって素晴らしい
 
  
  &&&&&&&&&&&&&&&&&&
 

 一方エルネストは仕事も頑張っていた
 3年程前より父から宰相職を承継ぎ、氷結鬼と二つ名で部下に心で呼ばれながら辣腕を振るっていた
 エメラルドの双眸に冷たい色を乗せ部下にダメ出し指示を出し、静かに暗躍し無茶振りもし泣かせて鍛えて部下を可愛がる
 そんなエルネストだったが時折溜息を付き影に調べさせた調査書を見る
 調査書にはヘルメス・オーランドと書かれてあった
 初恋、そして失恋にはさせない想いはエルネストを恋する乙女にした
 手紙に花を添えて出した
 ただ一言に想いを込めて
 自分だと分かってくれるだろうか………恥ずかしくて名前を書けなかった
 胸がドキドキする
 もしかしたら気付いて会いに来てくれないかな?とか思ったりしている乙女全開の28歳美丈夫
 時折空を見て頬を染める氷結鬼が今日は何故かキモい
 「どうしたんだエルネスト。お前キモいぞ」
 部下達の心を代弁した強者は王太子
 幼少期からの友人でもある王太子だから言える暴言
 「チッお前か。何しに来た」
 「お前が可笑しいと宰相補から泣いて縋られた。ついでに書類な」
 机に書類の束を置く王太子
 「仕事はしている」
 その書類を高速で捌きだすエルネスト
 「まぁそうだね。で?どうしたんだ」
 「恋をしたんだ」
 「へっ?……そうか…要約お前に春が来たのか……良かった…良かった……恋はいいぞ」
 王太子は感涙した
 「恋とは難しいものだ」
 

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