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サン
しおりを挟む残された男は目覚めた
昨日散々鳴かせた可愛い人へ無意識に手を伸ばし求めたが温もりは無くなっていた
隣を見れば誰もいないことを知る
銀の髪と同じ色の長い睫毛の奥の新緑を思わせるエメラルドの瞳に戸惑いの色が浮かべた
「……どこへ?」
部屋を見回しても人の気配がない事実に落胆する
「……何故…どうして……い、な、い………」
男は項垂れる
「昨日あれ程愛し合ったのに、妻になってくれるといったのに……」
世間ではベッドの中の睦言はリップサービスの一つと考えられても可笑しくない
そして酔っぱらいの言ったことを話半分の割合で聞くべし
泥酔した相手の言葉は信じるべからず
しかも相手は昨夜初めて知り合った相手なら尚更だ
だがしかし相手は酔っても顔に出ないタイプだった為誤解を生じさせた
昨夜の相手の男であるヘルメスの酒癖は聞き上手の褒め上手のヨイショタイプの適当タイプだ
始まりは仕事帰りに寄ったバーだった
男はヘルメスを一目見てエメラルドの双眸が固まった
「可愛い……」
酔っぱらって気持ち良くなってるヘルメスの頬は酒でほんのり赤く、やや吊りぎみの瞳は優しく垂れていた
「お兄さんかなり疲れてるね。一杯奢るよ」
微笑むヘルメスに男の胸は高鳴った
「あ、ああ頂くよ……」
ヘルメスはナンパしたつもりはない
新たなに絡む相手を見付けただけにすぎない
男は違った
ヘルメスに運命を感じたのだ、人はそれを一目惚れという
愛を囁けばヘルメスは男に頷いていて返す
この時既にかなりの酒を飲んでいたヘルメスは男の話しは右から左に抜けていた
何か言ってる取り敢えず頷いていおこう
終始こんな感じだったので更に誤解が誤解を生み
男は将来の妻にとっておいた童貞をヘルメスに捧げたのだ
妻になる者以外と肌を重ねたくなかった男は他人に体を開くなどもっての他
だが昨夜は運命の人と愛し合い(男だけが思っている)目覚めるまでは幸せだった
よ~く考えてみよう初めて合った相手と体を繋げる行為は世間では尻軽るという
朝起きればヘルメスは居らず
書き置きも伝言すらない
男は裏切られたと思った
「まさか……私を謀ったのか………」
悲しみと怒りに顔を歪める
淀んだ色が心を支配していく
「妻になると愛していると可愛く頷いていくれたのは嘘だったのか……巫山戯な!!この私がやり逃げされると思うなよ!許さない!28年間守り続けた童貞を騙し、奪われた!私の唯一を夢見ていたのに……地の底まで追いかけて!責任をとってもらおう!!」
エメラルドの瞳に男は剣呑な光を浮かべ決意する
重い…重過ぎる!今時の処女だってここまで重くない
童貞拗らせし者、その名はエルネスト・コーラル
コーラル公爵家の次男、そして現宰相だ
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