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ニ
しおりを挟む宿屋から逃げ出した男は急いで家路に走った
「お帰りなさいませヘルメス様」
家令に返事も返さずベッドに潜り込むヘルメス・オーランドは現実逃避したかった
「ホッホッホそのように慌てては転びますよ」
家令は穏やかにその後姿を見送る
成人している男性でもあるので朝帰りしても不思議ではない
婚約者もいないので誰とどこで過ごしていても犯罪にさえ手に染めなければ家族は寛容だ
ベッドの中でヘルメスは昨日の出来事を時系列で振り返っていた
「一一一マスターに愚痴ってたのは覚えてる……酎ハイに焼酎、ブランデーを三杯飲んだ当たりから記憶がハッキリしない一一一わからん!誰よあの銀髪!かなりの美形だったぞ、ガタイも良かったが俺が思うことは一つ、イケメン滅べばいい!!あんな美丈夫がいるから俺が振られたんだ!ムカつく!フ、フガァァァあああああ!!俺あいつに処女奪われたんだった!、多分。だがしかし、初めてが脂溢れる狸親父じゃなかっただけましとしよう。忘れろ俺、覚えてないけど。体に疑いようもない痕跡がある。記憶にないが、それにしてもあの銀髪どこかで見たことあるんだよなぁ……どこだっけ?」
ヘルメスは可愛いよりも美人が好きだ
だが男は論外だ
残念ながらどんな美人でも性別が男なら興味が無くなり記憶に欠片しか残らない
「まぁいいか。俺など一夜の相手、犬に噛まれたと思えばいい、さっさと忘れよう。気に入ってたのにあのバー。当分行けないな……ぁ~あ、嫁さん欲しいな」
ヘルメスはその日グダグダしながらベッドで過ごした
次の日には全て過去の事と片付け、仕事に行ったのであった
ヘルメスが男と再び合うのは一週間後
初めてのオトコである美丈夫の正体に驚愕するのだった
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